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9 戦場の天使ですか?
9ー11 魔女の夜
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9ー11 魔女の夜
「はやく!アリシア!」
白い猫の姿のハクビがわたしの足元で柔らかい毛並みを擦り付けてくる。
ごろごろと喉を鳴らしながらハクビがわたしを見上げてにんまりと笑う。
「しかし、馬子にも衣装とはよく言ったもんだね」
「ほっといて!」
わたしは、ぷいっとそっぽを向く。
クルルとサリが慌ててわたしに言った。
「大丈夫ですよ、アリシア樣。たぶん、今夜の女王は、アリシア樣に決まりですから」
「そうかな?」
卒業ダンスパーティーで一番魅力的な卒業生が女王に選ばれるのだ。
そして、女王に選ばれた人は、必ず幸せになれるのだとか。
でも。
わたしは、もう、幸せなんだし。
わたしは、にっこりと微笑んだ。
「女王には、他の人がなると思うわ」
キャッキャウフフ言ってるとドアがノックされた。
オルトが来た!
わたしは、鏡の前でもう一度全身を確かめた。
赤い髪によく映える黒いドレス。
卒業ダンスパーティーに黒いドレスなんてって思われるかもしれないけど、わたしは、魔女なんですもの。
黒が似合うの!
絶対に結婚式のドレスも黒にするつもりだし!
首もとにお母様の形見の青いネックレスをつけて。
学園に入学した頃に比べたら、段違いにメリハリのついた身体を引き立てるデザインのドレスは、アルトグレイス侯爵からの卒業祝いだ。
わたしは、ドアに向かって告げた。
「どうぞ、お入りになって」
ドアが開いてオルトが入ってくる。
わたしの姿に目を見開いてオルトは、感嘆していた。
「とっても綺麗だ、アリシア」
「ありがとう、オールドダーク辺境伯」
わたしは、ぺこりと頭を下げた。
手を差し出すとオルトは、笑顔でわたしの手をとる。
「さあ、行きましょうか。僕の美しい魔女よ」
「ええ」
わたしは、頷いた。
「よろこんで」
部屋から出ていくわたしをハクビやクルルたちに混じって幽霊たちが見送ってくれた。
愛おしい人々、そして、幽霊たちに見守られてわたしは、とっても幸せだ。
「オルト」
「何?」
「なんでもない」
わたしは、ダンスパーティーが開かれる大講堂までの道のりで小さな日にオルトが主じゃ嫌だといって泣いたことを思い出していた。
ほんとに、子供だったんだ。
わたしは、隣を歩くオルトを見上げて微笑んだ。
オルトも微笑み返す。
うん。
魔女の夜は、まだまだ始まったばかりなのだ。
「はやく!アリシア!」
白い猫の姿のハクビがわたしの足元で柔らかい毛並みを擦り付けてくる。
ごろごろと喉を鳴らしながらハクビがわたしを見上げてにんまりと笑う。
「しかし、馬子にも衣装とはよく言ったもんだね」
「ほっといて!」
わたしは、ぷいっとそっぽを向く。
クルルとサリが慌ててわたしに言った。
「大丈夫ですよ、アリシア樣。たぶん、今夜の女王は、アリシア樣に決まりですから」
「そうかな?」
卒業ダンスパーティーで一番魅力的な卒業生が女王に選ばれるのだ。
そして、女王に選ばれた人は、必ず幸せになれるのだとか。
でも。
わたしは、もう、幸せなんだし。
わたしは、にっこりと微笑んだ。
「女王には、他の人がなると思うわ」
キャッキャウフフ言ってるとドアがノックされた。
オルトが来た!
わたしは、鏡の前でもう一度全身を確かめた。
赤い髪によく映える黒いドレス。
卒業ダンスパーティーに黒いドレスなんてって思われるかもしれないけど、わたしは、魔女なんですもの。
黒が似合うの!
絶対に結婚式のドレスも黒にするつもりだし!
首もとにお母様の形見の青いネックレスをつけて。
学園に入学した頃に比べたら、段違いにメリハリのついた身体を引き立てるデザインのドレスは、アルトグレイス侯爵からの卒業祝いだ。
わたしは、ドアに向かって告げた。
「どうぞ、お入りになって」
ドアが開いてオルトが入ってくる。
わたしの姿に目を見開いてオルトは、感嘆していた。
「とっても綺麗だ、アリシア」
「ありがとう、オールドダーク辺境伯」
わたしは、ぺこりと頭を下げた。
手を差し出すとオルトは、笑顔でわたしの手をとる。
「さあ、行きましょうか。僕の美しい魔女よ」
「ええ」
わたしは、頷いた。
「よろこんで」
部屋から出ていくわたしをハクビやクルルたちに混じって幽霊たちが見送ってくれた。
愛おしい人々、そして、幽霊たちに見守られてわたしは、とっても幸せだ。
「オルト」
「何?」
「なんでもない」
わたしは、ダンスパーティーが開かれる大講堂までの道のりで小さな日にオルトが主じゃ嫌だといって泣いたことを思い出していた。
ほんとに、子供だったんだ。
わたしは、隣を歩くオルトを見上げて微笑んだ。
オルトも微笑み返す。
うん。
魔女の夜は、まだまだ始まったばかりなのだ。
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