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9 戦場の天使ですか?

9ー8 ばれてるんだよね?

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 9ー8 ばれてるんだよね?

 それから3日後。
 わたしは、見知らぬ部屋で目覚めた。
 「ここは?」
 「気がつかれましたか?」
 そばについていた若い、というか幼い印象がする少年兵が笑顔を見せた。
 わたしは、ここがどこだったかぼんやりと考えていた。
 はっと、息を飲む。
 ここは、オールドダーク領であり、わたしは、オルトに会いたさのあまりにロドニーに成り済まして義勇兵として派遣されていたのだ。
 「ご、ごめんなさいぃっ!」
 わたしは、布団に潜り込んだ。
 わたしの正体は、あっけなくばれてしまった。
 わたしは、あのとき、幽霊たちの力を使ったせいで力尽きて意識を失ってしまったのだ。
 わたしは、どうなるのだろうか?
 偽って軍に入り込んだのだ。
 なんらかの罰は受けることになるに違いない。
 助けて! 
 エミリアおばあ様!
 わたしは、どうなっちゃうの?
 しばらくして廊下が騒がしくなったかと思うとドアがばんと開いた。
 「ロドニー?」
 わたしは、涙目で恐る恐る布団の中からドアの方を見た。
 そこには。
 茶色のさらさらの髪に、薄い茶色の瞳。
 少し、日に焼けた?
 会わない内にすごく男っぽくなっていて胸がドキドキする。
 「オルト」
 わたしは、震える声で彼の名を呼んだ。
 オルトが奇妙な表情を浮かべた。
 「君は、ロドニーじゃない」
 うん?
 わたしは、ちょっと首を傾げた。
 とっくの昔にわたしがロドニーのふりをしてたってばれてるんだよね?
 「わたしは」
 「・・アリシア?」
 オルトがわたしの名を呼ぶとオルトの隣にいたアイビー大尉が慌てて告げた。
 「これは、確かにロドニー・アルトグレイス義勇兵です。間違いありません、オールドダーク辺境伯」
 どういうこと?
 わたしのこと、他の人たちはまだロドニーだと思っているの?
 わたしは、窓辺にどや顔で座っている白猫を見た。
 ハクビ?
 もしかしてハクビがわたしの正体がばれるのを阻止してくれたの?
 そんなことより!
 わたしは、オルトに会えたことでもう胸がいっぱいだった。
 「オルト」
 やっと会えた!
 涙に視界が霞んでいく。
 「よかった。やっと会えた」
 きょとんとしているアイビー大尉をよそにオルトは、呆れた様子で訊ねた。
 「君は、アリシアだろう?」
 わたしは、無言で頷いた。
 オルトは、やれやれというようにため息をついた。
 
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