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9 戦場の天使ですか?

9ー4 戦場へ

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 9ー4 戦場へ

 わたしは、ロドニーに成り済まして学園で募集されている義勇兵に応募した。
 結果、わたしは、それから一週間もしない内にオールドダーク領へと出発することになった。
 わたしは、与えられた灰色の囚人服みたいな上下を身に付けて身の回りのものを小さな鞄一つにまとめて他の義勇兵のみなさんと一緒に荷車に詰め込まれて旅立った。
 マリアンナ樣たちが見送りにきてくれてわたしは、少しセンチメンタルな気持ちになっていた。
 学園を出発してすぐに荷車の中で隣に座っていた茶色の髪の幼さの残った青年がわたしににこっと微笑んだ。
 「よろしく、ロドニー・アルトグレイス」
 うん?
 わたしは、小首をかしげた。
 なんでわたしのこと、知ってるの?
 もしかしてロドニーの知り合い?
 ちょっと焦っていたわたしに青年は、慌てて付け加えた。
 「失礼。君は、学園じゃ有名人だからね。ついつい知り合いみたいな気がして馴れ馴れしかったかな。僕は、騎士科の3年生のラドニア・クルセイドだよ」
 「よ、よろしく」
 わたしは、差し出された手を握った。
 ぎゅうぎゅう詰めの馬車の中でわたしたちは、微笑みあった。
 ラドニアは、わたしに話した。
 「でも、意外だなぁ。高位貴族の子息である君が義勇兵に志願するなんて」
 「ああ」
 わたしは、軽く咳払いをした。
 「国民としての当然の義務だと思ってね」
 「そうなんだ。さすがだね、ロドニー、あの、そう呼ばせてもらってもかまわないか?」
 わたしが頷くとラドニアは、はにかむように笑った。
 話している内に気づいたのだが、義勇兵には、平民や下級貴族の子息が多かった。
 だから、わたしみたいな人は、珍しいようだった。
 まあ、わたしは、ほんとは、みんなのためとかじゃないしな。
  わたしの目的は、あくまでもオルトに会うことだしな。
 なんだか、申し訳ない。
 だが、この義勇兵のみなさんは、ほとんどが愛国心から義勇兵になったわけではなかった。
 ラドニアいわく、みな、単位が足りないとかで進学が危うい人たちが単位のために志願したものが多いのだという。
 みんな、戦争、舐めてない?
 狭くて暑い馬車の中で揺られながらわたしは、ただオルトのことを考えていた。
  オルト。
 どうか、無事でいてね。
 わたしは、祈っていた。
 
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