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8 わたしが聖女?
8ー4 お父様ですか?
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8ー4 お父様ですか?
ミレニア王妃様は、くすっと笑った。
「あなたは、つまり、そんなつもりはない、といいたいのね?」
「はい?」
わたしは、ミレニア王妃様の言葉の意味がよくわからずに小首を傾げた。
すると、ミレニア王妃様は、にっこりと微笑んだ。
「あなたも変わってるわね。クラウスたちに惚れ薬なんかを飲ませたにもかかわらずクラウスの婚約者にはなりたくもないというの?」
いやいや!
ミレニア王妃様、怖すぎ!
目がぜんぜん笑ってないし!
わたしは、ミレニア王妃様から目をそらすとうつむいた。
やっぱりこれは、断罪コース一直線なの?
それとも、なんとか切り抜けられる方法があるの?
わたしは、ぐっと顔をあげるとミレニア王妃様を見つめ返した。
「確かに、わたしは、クラウス王太子殿下たちに惚れ薬を盛りました。それにその、おかしな魔法もかけました。でも、それは、自分の野心のためとか、クラウス殿下たちに危害を加えたかったとかいう、そういうことではございません!ただ、その・・惚れ薬の効果を確かめたかっただけで・・」
苦しい言い訳のようなことを述べるわたしをミレニア王妃様は、すごく冷たい目をして見ていたが、ふぅっとため息をついた。
「あなた、そんなんじゃ、将来の王妃として失格よ。嘘が下手くそな上に言い訳も下手なんですもの」
なんですと?
わたしは、信じられないものを見るような目でミレニア王妃様のことを見つめていた。
ミレニア王妃様は、怒った様子でわたしに告げた。
「普通は、嘘でもクラウスのことが好きで振り向いてほしかったとかいうものでしょう?あなたにとって、クラウスは、そんなに価値がない存在なのかしら?」
「いえ、違います!すごく大切な、友人、です!」
わたしは、きっぱりと答えた。
「その、失いたくない」
ミレニア王妃様は、深いため息をつくと不意に声を張り上げた。
「そうなんですってよ、ゲオラム様!」
はい?
わたしは、ミレニア王妃様のことをまじまじと見つめていた。
ミレニア王妃様の背後からさっきの執事らしきイケオジが近づいてきてミレニア王妃様の肩に手を置いた。
ええっ?
わたしは、呆けたように二人の姿を交互に見比べていた。
どういうことですか?
ちょっとしたパニック状態のわたしを見て、ミレニア王妃様は、ふっと笑った。
「ゲオラム様、あなたの娘は、友だちに惚れ薬を盛っちゃうようなしょうがない子のようですわよ?」
「ああ」
その執事服に身を包んだ赤毛のイケオジはため息を漏らした。
「しょうがない子だが、この子は、ほんとにいい子なんだよ?ミレニア。少し大目に見てやってくれないか。頼むよ」
もしかして?
わたしは、イケオジ執事のことを見上げて言葉を失っていた。
その人は、わたしに優しく微笑みかけた。
「はじめまして、アリシア。私が君の父親であり、君のお母様のもと恋人であった男だよ」
マジですか?
ミレニア王妃様は、くすっと笑った。
「あなたは、つまり、そんなつもりはない、といいたいのね?」
「はい?」
わたしは、ミレニア王妃様の言葉の意味がよくわからずに小首を傾げた。
すると、ミレニア王妃様は、にっこりと微笑んだ。
「あなたも変わってるわね。クラウスたちに惚れ薬なんかを飲ませたにもかかわらずクラウスの婚約者にはなりたくもないというの?」
いやいや!
ミレニア王妃様、怖すぎ!
目がぜんぜん笑ってないし!
わたしは、ミレニア王妃様から目をそらすとうつむいた。
やっぱりこれは、断罪コース一直線なの?
それとも、なんとか切り抜けられる方法があるの?
わたしは、ぐっと顔をあげるとミレニア王妃様を見つめ返した。
「確かに、わたしは、クラウス王太子殿下たちに惚れ薬を盛りました。それにその、おかしな魔法もかけました。でも、それは、自分の野心のためとか、クラウス殿下たちに危害を加えたかったとかいう、そういうことではございません!ただ、その・・惚れ薬の効果を確かめたかっただけで・・」
苦しい言い訳のようなことを述べるわたしをミレニア王妃様は、すごく冷たい目をして見ていたが、ふぅっとため息をついた。
「あなた、そんなんじゃ、将来の王妃として失格よ。嘘が下手くそな上に言い訳も下手なんですもの」
なんですと?
わたしは、信じられないものを見るような目でミレニア王妃様のことを見つめていた。
ミレニア王妃様は、怒った様子でわたしに告げた。
「普通は、嘘でもクラウスのことが好きで振り向いてほしかったとかいうものでしょう?あなたにとって、クラウスは、そんなに価値がない存在なのかしら?」
「いえ、違います!すごく大切な、友人、です!」
わたしは、きっぱりと答えた。
「その、失いたくない」
ミレニア王妃様は、深いため息をつくと不意に声を張り上げた。
「そうなんですってよ、ゲオラム様!」
はい?
わたしは、ミレニア王妃様のことをまじまじと見つめていた。
ミレニア王妃様の背後からさっきの執事らしきイケオジが近づいてきてミレニア王妃様の肩に手を置いた。
ええっ?
わたしは、呆けたように二人の姿を交互に見比べていた。
どういうことですか?
ちょっとしたパニック状態のわたしを見て、ミレニア王妃様は、ふっと笑った。
「ゲオラム様、あなたの娘は、友だちに惚れ薬を盛っちゃうようなしょうがない子のようですわよ?」
「ああ」
その執事服に身を包んだ赤毛のイケオジはため息を漏らした。
「しょうがない子だが、この子は、ほんとにいい子なんだよ?ミレニア。少し大目に見てやってくれないか。頼むよ」
もしかして?
わたしは、イケオジ執事のことを見上げて言葉を失っていた。
その人は、わたしに優しく微笑みかけた。
「はじめまして、アリシア。私が君の父親であり、君のお母様のもと恋人であった男だよ」
マジですか?
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