魔女見習いは、スパダリたちに溺愛される~乙女ゲー世界のモブなんですが、なぜかヒロインポジなんですけど~

トモモト ヨシユキ

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8 わたしが聖女?

8ー1 お茶会

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 8ー1 お茶会

 王城に到着したわたしは、すぐに城の中庭へと通された。
 中庭とはいえなかなかの広さであり、ちょっとした森の中のような印象を与えられる。
 そこに一歩踏み込むとすぅっと温度が下がるのを感じた。
 この乙女ゲームの世界は、すごく暮らしやすい世界で暑さ寒さもそんなに厳しくはない。
 とはいえやはり夏は、それなりに暑かった。
 今はもう夏も終わりだったが少し汗ばむ程度には暑い。
 だが、この中庭に入ると涼しくってすっと汗が引いていく。
 おそらく城の魔道師たちが魔法で中庭の温度を下げているのだろう。
 このかなりの広さの中庭全体に術をかけているとは、さすがというしかなかった。
 森の中の少し開けた場所に白いテーブルと椅子が配置されていた。
 テーブルには美しいレースのテーブルクロスがかけられている。 
 そのテーブルの脇に立っている執事らしき人物がわたしに礼をした。
 それは、見事な赤毛のイケオジだった。
 執事さんは、椅子をひいてくれた。
 わたしは、ペコリンとお辞儀をするとその椅子に腰をかけた。
 爽やかな風が吹き抜けていて木々のざわめき、小鳥のさえずりが聞こえる。
 木漏れ日が暖かかった。
 目を細めていたら森の奥からメイドさんたちを引き連れて鮮やかなブルーのドレスを身にまとった金髪のゴージャスな美女が現れた。
 「よくきてくれたわね、アリシア」
 そう言ってわたしに優しく微笑んだその美しい女性が王妃様であり、クラウス王太子殿下のお母様であられるミレニア・シスナブルその人だった。
 どこかクラウス殿下によく似た面差しのミレニア王妃様は、わたしと向き合った席に腰をかけるとわたしに微笑みかけた。
 「いつもクラウスがお世話になっているようね。あの子は、学園ではどんなふうなのかしら?うまくやっているかしら?」
 「クラウス殿下は」
 わたしは、緊張したまま答えた。
 「いつも明るくて、誰にでもお優しくてご学友の方々に囲まれて楽しそうにして過ごされています」
 「そうなの?」
 ミレニア王妃様は、少し驚いた様子でわたしをじっと見ていたが、にっこりと笑った。
 「あの子が学園で楽しく過ごせているならよかったわ」
 わたしたちの会話は、メイドさんたちの給仕に阻まれてしばらくとどめられた。
 メイドさんたちは、お茶の入ったカップをそれぞれの前に置き、おいしそうなお菓子ののったお皿を並べていった。
 
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