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7 軍資金と流行病と戦争と

7ー6 魔女の試験ですか?

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 7ー6 魔女の試験ですか?

 「なぜ、そのことを私に打ち明けてくれなかったんだ?マナカ」
 アルトグレイス侯爵の問いにジェイドは、頬をぽりぽりとかいた。
 「なぜって・・それは、しばらくこのことを内緒にしたかったからだな」
 「つまり」
 ジェイドは、わたしたちに説明した。
 「エミリア様の研究を続けるために必要な金は、ラスク村のワインの売り上げからちょろまかすことになってたんだよ、坊」
 「坊は、やめろ!マナカ」
 アルトグレイス侯爵がうめいた。
 「確かに今までも時々、ラスク村のワインの売り上げの計算が合わないことはあった。わたしは、そのことについて追求するな、と父から言われていたから今まで目をつぶってきたんだ。まさか、それがエミリア様のもとに流れていたとは」
 「エミリアおばあ様の研究のためにそうすることが決まっていたのなら、なんで今回は、こんなことを?」
 「ああ?」
 ジェイドが訊ねた。
 「こんなことって?」
 「とぼけないで!」
 わたしは、声をあらげた。
 「クルルの一族を捕らえてクルルにワインを盗ませたりしてたじゃない!」
 「ああ、そのことか」
 ジェイドは、真顔でわたしに向き合った。
 「これは、アリシア、お前のための試験さ」
 「試験?」
 わたしがきくとジェイドは頷いた。
 「ああ。これは、エミリア様からのお前への試験だよ」
 試験?
 わたしは、キョトンとしていた。
 なんのための?
 「とにかく、続きは、本人同士で話し合ってもらった方がはやいだろ?エミリア様」
 「ええ、そうね」
 部屋の奥から声がして物陰からエミリアおばあ様が現れた。
 わたしは、すごく驚いていた。
 もう、二度と会えないかもとか思っていたから。
 「エミリアおばあ様?」
 「エミリア様だって?」
 アルトグレイス侯爵ががたん、と音をたてて立ち上がった。
 「いらしておられたのですか?それなら知らせてくださったらよかったのに」
 「いいのよ、クリストファ」
 エミリアおばあ様は、にっこりと微笑んだ。
 「ちょっとこの子に用があっただけだし。すぐに出ていくから」
 「わたしに?」
 わたしがきくと、エミリアおばあ様は、私の方へと歩み寄ってきた。
 「少し見ない間に大きくなったわね、アリシア」
 エミリアおばあ様は、わたしの頬に指先でそっと触れた。
 「試験は、合格よ。アリシア」
 「はい?」
 わたしがぼけっとしているとエミリアおばあ様は、わたしに一冊の黒い手帳を手渡した。
 「おめでとう。アリシア。あなたは、今日から立派な魔女よ」
 ええっ?
 わたしがわけもわからずにその手帳を受けとるとエミリアおばあ様は、頷いた。
 「それをどう扱うのかは、あなたに任せるわ。アリシア」
 そういうと、エミリアおばあ様は、姿を消してしまった。
 「この国の未来は、あなた次第よ、アリシア」
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