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7 軍資金と流行病と戦争と

7ー5 マナカの正体?

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 7ー5 マナカの正体?

 わたしは、呆けたようにフレイズさんのことをじっと見つめていた。
 わたしは、わたしのままでも許されている?
 この、不実な転生者であるわたしが?
 わたしは、また目の奥が熱くなっていた。
 もう!
 今日は、みんなしてわたしを泣かせようとするんだから!
 わたしは、まばたきして涙をはらった。
 フレイズさんがわたしに問いかけた。
 「ご覚悟はよろしいでしょうか?アリシア様」
 「ええ」
 わたしは、頷いた。
 わたしは、もう、転生者なんかじゃない。
 わたしは、この世界の一部なのだ。
 「行くわよ、みんな!」
 わたしは、フレイズさんが開いた扉の中へと飛び込んだ。
 執務室の中には、アルトグレイス侯爵と初めて見るはずのアルトグレイス家の魔道師であるマナカが腰かけていた。
 でも。
 その人は、なぜか、わたしがよく知っている筈の人で。
 驚いて言葉を失くしているわたしにその白髪の大男は、微笑んだ。
 「久しぶりだな、アリシア」
 「ジェイド?」
 ジェイドは、目を丸くしているわたしに向かって目を細めて微笑みかけた。
 「ああ。まあ、ここではマナカという名で呼ばれているがな」
 「な・・なんで?」
 口をぱくぱくさせているわたしにジェイドはにやりと笑った。
 わたしとマナカことジェイドが知り合いだったことは、アルトグレイス侯爵にとっても初耳だったらしい。
 問いかけたそうにしているアルトグレイス侯爵とわたしにジェイドは、話し始めた。
 「俺は、先代の意向でエミリア様がここを出られるときエミリア様の護衛をすることになっていた。だが、エミリア様からは、必要ないから先代をお守りしてほしいといわれてしまった。だから、二人の命をどちらもきくことにしたんだよ」
 ジェイドは、エミリアおばあ様のもとに自分の影を残してアルトグレイス家に戻った。
 そして、先代のもととエミリアおばあ様のもとの両方につかえるようになったのだという。
 「それは、わかったけど」
 わたしは、ジェイドに訊ねた。
 「今回のラスク村の件は、いったいどういうことなの?」
 「それは」
 ジェイドは、答えた。
 「軍資金に困ったときは、こうすることが先代との取り決めだったんでな」
 マジで?
 
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