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7 軍資金と流行病と戦争と
7ー3 帰ってきた魔女
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7ー3 帰ってきた魔女
まさかの友情エンド?
わたしは、クラウス殿下に手をとられたままみんなと一緒に屋敷の中へと戻ろうとした。
そのとき、不意に扉が開いて執事のフレイズさんが現れた。
「アリシア様、旦那様がお呼びでございます」
「アルトグレイス侯爵が?」
クラウス殿下がフレイズさんに訊ねた。
「どういうことだ?」
そこで、わたしは、はっとした。
そうだった!
ワインの盗難とクルルの一件でこれからマナカをとっちめてやらなきゃいけないんだった!
「クルル?」
「はいっ!アリシア様!」
いつの間にかわたしの足元にヒゲトガリネズミにのって駆けつけていたクルルにわたしは、こくりと頷いた。
さあ、断罪の時間だ!
わたしは、クラウス殿下や他のみんなのことを見回すとペコリとお辞儀をした。
「ちょっと失礼いたします」
「ああ」
クラウス殿下がにっこりと微笑む。
「しっかりとやっておいで、アリシア」
わたしは、みなさんに背を向けるとフレイズさんとクルルと共にアルトグレイス侯爵の執務室へと向かった。
執務室は、屋敷の奥の間にあったのでわたしたちは、しばらく歩くことになった。
わたしは、執務室へと続く廊下を歩きながらフレイズさんに訊ねた。
「なんで今度のことをわたしに任せようとしたんですか?フレイズさん」
「あなたは」
フレイズさんがにっこりと微笑んだ。
「エミリア様の血に連なるお方だからでございます」
そうか。
わたしは、すとんとすべてが理解できたような気がしていた。
こんなにもエミリアおばあ様は、この地で信頼され愛されているのだ。
わたしは、ふいっとそっぽを向くとそっけなく言った。
「こんな大切なことをわたしなんかに任せて後悔することにならなければいいんだけど」
「後悔だなんて、とんでもない」
フレイズさんが立ち止まってわたしにぺこりとお辞儀をした。
「あなた様がお戻りになられて以来、この地は喜びに溢れております。わかりますでしょうか?アリシア様。この大地が魔女が戻ったことを知り、沸き立っているのでございます。あなたは、この地の希望であり未来なのです」
まさかの友情エンド?
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そのとき、不意に扉が開いて執事のフレイズさんが現れた。
「アリシア様、旦那様がお呼びでございます」
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クラウス殿下がフレイズさんに訊ねた。
「どういうことだ?」
そこで、わたしは、はっとした。
そうだった!
ワインの盗難とクルルの一件でこれからマナカをとっちめてやらなきゃいけないんだった!
「クルル?」
「はいっ!アリシア様!」
いつの間にかわたしの足元にヒゲトガリネズミにのって駆けつけていたクルルにわたしは、こくりと頷いた。
さあ、断罪の時間だ!
わたしは、クラウス殿下や他のみんなのことを見回すとペコリとお辞儀をした。
「ちょっと失礼いたします」
「ああ」
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「しっかりとやっておいで、アリシア」
わたしは、みなさんに背を向けるとフレイズさんとクルルと共にアルトグレイス侯爵の執務室へと向かった。
執務室は、屋敷の奥の間にあったのでわたしたちは、しばらく歩くことになった。
わたしは、執務室へと続く廊下を歩きながらフレイズさんに訊ねた。
「なんで今度のことをわたしに任せようとしたんですか?フレイズさん」
「あなたは」
フレイズさんがにっこりと微笑んだ。
「エミリア様の血に連なるお方だからでございます」
そうか。
わたしは、すとんとすべてが理解できたような気がしていた。
こんなにもエミリアおばあ様は、この地で信頼され愛されているのだ。
わたしは、ふいっとそっぽを向くとそっけなく言った。
「こんな大切なことをわたしなんかに任せて後悔することにならなければいいんだけど」
「後悔だなんて、とんでもない」
フレイズさんが立ち止まってわたしにぺこりとお辞儀をした。
「あなた様がお戻りになられて以来、この地は喜びに溢れております。わかりますでしょうか?アリシア様。この大地が魔女が戻ったことを知り、沸き立っているのでございます。あなたは、この地の希望であり未来なのです」
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