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6 陰謀を暴け!

6ー5 ばれてる?

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 6ー5 ばれてる?

 「しかし、まさか君がそんな力を持っていたとは驚きだね、アリシア」
 アルトグレイス侯爵がわたしに微笑みかけた。
 「君のおばあ様が魔女だということは知っていたんだが、君まで魔女だったとは思いもしなかったよ」
 「わたしは、魔女ではありません」
 わたしは、にっこりと笑って応じた。
 「まだわたしは、魔女見習いです。エミリアおばあ様に魔女の奥義を教わってはいませんから」
 これは、本当のことだ。
 魔女の奥義とは、何なのか。
 それは、わたしも知らない。
 ただ、それを知らなくては魔女としては完成しないとエミリアおばあ様は言っていた。
 そして、たいていの者は、魔女になることなく終わるのだという。
 魔女になれるのはほんとに限られた一部の者だけなのだ。
 そして、魔女と魔女見習いの間には天と地ほどの差があるのだという。
 その話をきいたアルトグレイス侯爵は、わたしににこやかに微笑んだ。
 しかし。
 目は笑っていない。
 「このことは、我々だけの秘密にした方がいい。アリシア、君が魔女の力をもつということは、これ以上広めてはならない。君も不用意に力を使わないように」
 「わかりました」
 わたしは、こくりと頷いた。
 すると、アルトグレイス侯爵は、今までになく厳しい表情を浮かべてわたしを見た。
 「それから、君は、もしかしてクラウス殿下たちに何らかの術をかけているのではないかな?」
 普段、優しいアルトグレイス侯爵の射るような眼差しにわたしは、どきっとしていた。
 ばれてる?
 アルトグレイス侯爵は、言葉をついだ。
 「もしも、君が何らかの術を君の友人たちにかけているのならはやく解いた方がいい。さもなければ大変なことになるよ、アリシア」
 アルトグレイス侯爵は、あくまでやんわりとわたしに告げていたが、わたしは、背筋が冷えていた。
 まずい。
 いろんなことがまずかった。
 わたしは、この人を敵に回してはいけない。
 だけど、せっかく攻略できたのに、今、術を解けば元の木阿弥だった。
 まあ。
 他に攻略に成功している者もいないわけだけど。
 乙女ゲームの世界がこういうときどうなるのかはわたしにはわからなかった。
 でも。
 みんなと一緒に過ごす時間が長くなるほどにわたしは、心が重くなってきていた。
 だって、みんな、いい人だから。
 惚れ薬を使ってみんなを操っていることにかわりはない。
 
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