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6 陰謀を暴け!

6ー4 マナカ

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 6ー4 マナカ

 わたしとクルルからことの次第をきいたアルトグレイス侯爵は、うーん、と呻いて考え込んだ。
 「マナカは、父の代から我が家につかえてくれている魔導師だ。そんな彼がなぜ?」
 「それは、わかりませんが、このクルルの一族の者たちがとらわれているのです。なんとかしてやらなくては」
 わたしは、テーブルの上に座って人形用の小さなカップでお茶を飲んでいるクルルを見た。
 アルトグレイス侯爵は、クルルを見て微笑んだ。
 「まさかこんな可愛らしいお客様が我が領地におられたとはね。なんとか君たちが安心して暮らせるように援助したい」
 「ありがとうございます、アルトグレイス侯爵様」
 クルルがペコリとお辞儀する。
 一緒に話をきいていたロドニーがアルトグレイス侯爵に言った。
 「しかし、あのマナカがこんなことをするなんて信じられません。私は、マナカに幼少の頃より魔法を学んできましたが、マナカは、清廉で勤勉な人物のように思われます。もし、この話が本当であるなら何か深い事情があるのではないかと思います」
 「うむ」
 アルトグレイス侯爵が頷いた。
 「一度、マナカに詳しく話をきいてみなくてはならないな」
 そして、アルトグレイス侯爵は、わたしに訊ねた。
 「しかし、このクルルにかけられた隷属の魔法を解いたのなら今ごろマナカは、無事ではすまないのでは?」
 「それは」
 わたしは、口ごもった。
 隷属の魔法は、一種の呪いのようなものだ。
 呪いは、魔法をかけた者以外の者が解けば、もともとの術者へと返っていく。
 しかし、今回は、魔法を解いたのではなく上書きをしただけなのでおそらくよほどの術者でなければ感知することはできない筈だった。
 わたしは、そのことを説明した。
 「今回は、普通の魔法で術を解いたのではありません。魔女の癒しの力で術を剥がして書き換えただけなのでたぶん、術者には気づかれていない筈です。できるだけはやくマナカさんに会わせてください。クルルの仲間たちを救いたいんです」
 「マナカなら、ちょうど明日、こっちに戻ってくる予定だが」
 アルトグレイス侯爵が訊ねた。
 「アリシア、君は、マナカのことをどうするつもりだ?」
 「どうも」
 わたしは、答えた。
 「わたしは、なぜ、マナカさんがこんなことをしたのかということをききたいのと、それとクルルの仲間たちを無事に返してほしい。それだけです」
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