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5 戦争の影

5ー12 解決ですか?

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 5ー12 解決ですか?

 わたしたちが頭上でわいわい話しているのをきいていた小人が何か叫んだ。
 「・・う!」
 はい?
 わたしがテーブルの上の小エルフを見下ろすと小エルフは大声でどなった。
 「あたしたちは、そんなの知らない!」
 その小エルフは、泣きながら叫んだ。
 「すべて、お前たち、人間が悪いんだ!あたしたちは、知らない!」
 わたしは、逃げないことを約束させると小エルフを縛った蔓草をといてやった。
 小エルフは、クルルと名乗った。
 「あたしたちは、森が人間たちの戦争のせいで荒らされて住めなくなったからここまで逃れてきたんだ」
 「それがなんでワイン蔵に入り込んで悪さをしてるわけ?」
 わたしは、カマをかけてみた。
 すると、クルルは、答えた。
 「仲間が人質にされているんだ」
 クルルは、話した。
 「あたしたちは、前に住んでたところからなんとかここまで逃げてきた。けど、仲間が『石化の病』にかかってここの森でうごけなくなったんだ。ここの森ではあたしたちは、生きられない。あたしたちは、肉食だけど、この森には狩ることのできる獲物がほとんどいなかった。あたしたちが生き延びられたのはこの」
 クルルは、そばに控えているヒゲトガリネズミを指差した。
 「ヒゲトガリネズミたちのおかげだ。このヒゲトガリネズミたちが食料を分けてくれたからなんとか生き延びられているんだ」
 しかし、ある日クルルは、村に食料の調達にきていておかしな魔道師に捕らえられてしまったのだという。
 「変な魔道師?」
 わたしがきくとクルルは、頷いた。
 「そうだ。この村にきていたマナカとかいう魔道師だ」
 「もしかしてアルトグレイス家の魔道師のマナカ様のことでしょうか」
 ギルさんが言った。
 「マナカ様は、この村に盗難防止の魔法やら魔物避けの魔法をかけてくださっている方です」
 「そのマナカがどうしたんだ?」
 クルツさんがきくとクルルは、おどおどと答えた。
 「それは、言えない」
 「もしかして隷属の魔法をかけられているのか?」
 クルツさんの質問にクルルがこくりと頷いた。
 マジですか?
 クルルは、ギルさんに謝罪すると自分の持つ空間収納から取り出したワイン樽を村へと返した。
 ワイン盗難事件が無事に片付いてギルさんは、ほくほくだった。
 だが。
 事件は、まだ、終わっていなかった。
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