57 / 105
5 戦争の影
5ー8 がっくりですか?
しおりを挟む
5ー8 がっくりですか?
もしかしたら、オルトは、特に何も思わないのかも。
それどころか別に好きな相手がいるのかもしれない。
ふと、アレクシスの顔が思い浮かぶ。
いやいやいや。
わたしは、苦笑して頭を振った。
それは、ないか。
アレクシスは、あくまでもこの乙女ゲームの攻略を目指しているんだし、それには、オルトは、関係ないし。
そんなことを考えている内に目的の村へと到着した。
わたしは、最初、一人で村へと出掛けるつもりでいた。
屋敷でロドニーたちに夕食のときに訊ねられた際には、にっこりと微笑んで気晴らしにその村まで出掛けてくることを話した。
すると、みな、一緒に出掛けたいと言い始めてしまった。
いまさらワイン泥棒の退治にいくとは言い出しかねていたわたしにアレクシスが満面の笑みで言った。
「アリシア様だって、たまには一人になりたいだろうしいいんじゃないの?」
思わぬ助け船にわたしは、ちらっとアレクシスを見た。
アレクシスは、クラウス殿下の隣に腰かけて愛おしげにクラウス殿下を見上げていた。
だが、ロドニーは、譲らなかった。
「では、せめて話し相手にララ様とルーシー様とご一緒してはいかがでしょうか?」
そういうわけで今回の小旅行に二人が同行することになったのだ。
他のメンバーも一緒に行きたがったが、そこは、なんとかお断りをした。
本当は、ララ様とルーシー様もお断りしたかったが、そこはアルトグレイス侯爵のすすめもあって仕方なかった。
必要以上に心配をかけるのはよくないからね。
その小さな山あいの村は、ラスク村と呼ばれていた。
ほんとに小さな村だったが岩山に広がるブドウ畑がなんとも美しくてわたしたちは、しばし見惚れてしまった。
空中に浮かび上がるように広がったブドウ畑の中で数名の村人たちがたち働いているのが見える。
「よくおいでくださいました」
ラスク村の村長は、ギルさんという小太りのおじさんだった。
というかバッカス?
つやつやした肌に、張り出したお腹。
信楽焼の狸にも似ている。
ギルさんは、アルトグレイス家からやってきたのがわたしたちだけだとわかるとあからさまに落胆していた。
無理もない。
ラクス村にとっては、ブドウ酒の盗難は大問題なのだ。
なのに、村の一大事にやってきたのがこんな女の子だけなんてそりゃあ、がっくりするだろう。
もしかしたら、オルトは、特に何も思わないのかも。
それどころか別に好きな相手がいるのかもしれない。
ふと、アレクシスの顔が思い浮かぶ。
いやいやいや。
わたしは、苦笑して頭を振った。
それは、ないか。
アレクシスは、あくまでもこの乙女ゲームの攻略を目指しているんだし、それには、オルトは、関係ないし。
そんなことを考えている内に目的の村へと到着した。
わたしは、最初、一人で村へと出掛けるつもりでいた。
屋敷でロドニーたちに夕食のときに訊ねられた際には、にっこりと微笑んで気晴らしにその村まで出掛けてくることを話した。
すると、みな、一緒に出掛けたいと言い始めてしまった。
いまさらワイン泥棒の退治にいくとは言い出しかねていたわたしにアレクシスが満面の笑みで言った。
「アリシア様だって、たまには一人になりたいだろうしいいんじゃないの?」
思わぬ助け船にわたしは、ちらっとアレクシスを見た。
アレクシスは、クラウス殿下の隣に腰かけて愛おしげにクラウス殿下を見上げていた。
だが、ロドニーは、譲らなかった。
「では、せめて話し相手にララ様とルーシー様とご一緒してはいかがでしょうか?」
そういうわけで今回の小旅行に二人が同行することになったのだ。
他のメンバーも一緒に行きたがったが、そこは、なんとかお断りをした。
本当は、ララ様とルーシー様もお断りしたかったが、そこはアルトグレイス侯爵のすすめもあって仕方なかった。
必要以上に心配をかけるのはよくないからね。
その小さな山あいの村は、ラスク村と呼ばれていた。
ほんとに小さな村だったが岩山に広がるブドウ畑がなんとも美しくてわたしたちは、しばし見惚れてしまった。
空中に浮かび上がるように広がったブドウ畑の中で数名の村人たちがたち働いているのが見える。
「よくおいでくださいました」
ラスク村の村長は、ギルさんという小太りのおじさんだった。
というかバッカス?
つやつやした肌に、張り出したお腹。
信楽焼の狸にも似ている。
ギルさんは、アルトグレイス家からやってきたのがわたしたちだけだとわかるとあからさまに落胆していた。
無理もない。
ラクス村にとっては、ブドウ酒の盗難は大問題なのだ。
なのに、村の一大事にやってきたのがこんな女の子だけなんてそりゃあ、がっくりするだろう。
17
お気に入りに追加
268
あなたにおすすめの小説

【完結】私ですか?ただの令嬢です。
凛 伊緒
恋愛
死んで転生したら、大好きな乙女ゲーの世界の悪役令嬢だった!?
バッドエンドだらけの悪役令嬢。
しかし、
「悪さをしなければ、最悪な結末は回避出来るのでは!?」
そう考え、ただの令嬢として生きていくことを決意する。
運命を変えたい主人公の、バッドエンド回避の物語!
※完結済です。
※作者がシステムに不慣れかつ創作初心者な時に書いたものなので、温かく見守っていだければ幸いです……(。_。///)
※ご感想・ご指摘につきましては、近況ボードをお読みくださいませ。
《皆様のご愛読に、心からの感謝を申し上げますm(*_ _)m》

【完結】神から貰ったスキルが強すぎなので、異世界で楽しく生活します!
桜もふ
恋愛
神の『ある行動』のせいで死んだらしい。私の人生を奪った神様に便利なスキルを貰い、転生した異世界で使えるチートの魔法が強すぎて楽しくて便利なの。でもね、ここは異世界。地球のように安全で自由な世界ではない、魔物やモンスターが襲って来る危険な世界……。
「生きたければ魔物やモンスターを倒せ!!」倒さなければ自分が死ぬ世界だからだ。
異世界で過ごす中で仲間ができ、時には可愛がられながら魔物を倒し、食料確保をし、この世界での生活を楽しく生き抜いて行こうと思います。
初めはファンタジー要素が多いが、中盤あたりから恋愛に入ります!!

オバサンが転生しましたが何も持ってないので何もできません!
みさちぃ
恋愛
50歳近くのおばさんが異世界転生した!
転生したら普通チートじゃない?何もありませんがっ!!
前世で苦しい思いをしたのでもう一人で生きて行こうかと思います。
とにかく目指すは自由気ままなスローライフ。
森で調合師して暮らすこと!
ひとまず読み漁った小説に沿って悪役令嬢から国外追放を目指しますが…
無理そうです……
更に隣で笑う幼なじみが気になります…
完結済みです。
なろう様にも掲載しています。
副題に*がついているものはアルファポリス様のみになります。
エピローグで完結です。
番外編になります。
※完結設定してしまい新しい話が追加できませんので、以後番外編載せる場合は別に設けるかなろう様のみになります。

【完結】貶められた緑の聖女の妹~姉はクズ王子に捨てられたので王族はお断りです~
魯恒凛
恋愛
薬師である『緑の聖女』と呼ばれたエリスは、王子に見初められ強引に連れていかれたものの、学園でも王宮でもつらく当たられていた。それなのに聖魔法を持つ侯爵令嬢が現れた途端、都合よく冤罪を着せられた上、クズ王子に純潔まで奪われてしまう。
辺境に戻されたものの、心が壊れてしまったエリス。そこへ、聖女の侍女にしたいと連絡してきたクズ王子。
後見人である領主一家に相談しようとした妹のカルナだったが……
「エリスもカルナと一緒なら大丈夫ではないでしょうか……。カルナは14歳になったばかりであの美貌だし、コンラッド殿下はきっと気に入るはずです。ケアードのためだと言えば、あの子もエリスのようにその身を捧げてくれるでしょう」
偶然耳にした領主一家の本音。幼い頃から育ててもらったけど、もう頼れない。
カルナは姉を連れ、国を出ることを決意する。
【完結】乙女ゲーム開始前に消える病弱モブ令嬢に転生しました
佐倉穂波
恋愛
転生したルイシャは、自分が若くして死んでしまう乙女ゲームのモブ令嬢で事を知る。
確かに、まともに起き上がることすら困難なこの体は、いつ死んでもおかしくない状態だった。
(そんな……死にたくないっ!)
乙女ゲームの記憶が正しければ、あと数年で死んでしまうルイシャは、「生きる」ために努力することにした。
2023.9.3 投稿分の改稿終了。
2023.9.4 表紙を作ってみました。
2023.9.15 完結。
2023.9.23 後日談を投稿しました。
悪役令嬢に転生したら病気で寝たきりだった⁉︎完治したあとは、婚約者と一緒に村を復興します!
Y.Itoda
恋愛
目を覚ましたら、悪役令嬢だった。
転生前も寝たきりだったのに。
次から次へと聞かされる、かつての自分が犯した数々の悪事。受け止めきれなかった。
でも、そんなセリーナを見捨てなかった婚約者ライオネル。
何でも治癒できるという、魔法を探しに海底遺跡へと。
病気を克服した後は、二人で街の復興に尽力する。
過去を克服し、二人の行く末は?
ハッピーエンド、結婚へ!

【完結済】私、地味モブなので。~転生したらなぜか最推し攻略対象の婚約者になってしまいました~
降魔 鬼灯
恋愛
マーガレット・モルガンは、ただの地味なモブだ。前世の最推しであるシルビア様の婚約者を選ぶパーティーに参加してシルビア様に会った事で前世の記憶を思い出す。 前世、人生の全てを捧げた最推し様は尊いけれど、現実に存在する最推しは…。 ヒロインちゃん登場まで三年。早く私を救ってください。

疲れきった退職前女教師がある日突然、異世界のどうしようもない貴族令嬢に転生。こっちの世界でも子供たちの幸せは第一優先です!
ミミリン
恋愛
小学校教師として長年勤めた独身の皐月(さつき)。
退職間近で突然異世界に転生してしまった。転生先では醜いどうしようもない貴族令嬢リリア・アルバになっていた!
私を陥れようとする兄から逃れ、
不器用な大人たちに助けられ、少しずつ現世とのギャップを埋め合わせる。
逃れた先で出会った訳ありの美青年は何かとからかってくるけど、気がついたら成長して私を支えてくれる大切な男性になっていた。こ、これは恋?
異世界で繰り広げられるそれぞれの奮闘ストーリー。
この世界で新たに自分の人生を切り開けるか!?
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる