41 / 105
4 ダンジョンでどっきり!?
4ー4 バイト
しおりを挟む
4ー4 バイト
実は、この乙女ゲームのファンには、男性も多かった。
それは、乙女ゲームにあるまじき戦闘ゲームの充実さのせいだった。
このシスナブル王国の始祖が冒険者たちだったという設定のせいかもしれないがけっこう戦闘シーンが重視されていた。
わたしは、この戦闘シーンの攻略が苦手でたくさん課金させられたことを思い出していた。
そのうちの一つが学期末のダンジョンでのオリエンテーションだった。
このダンジョンでのオリエンテーションでうまくゲームを攻略できればイケメンたちともぐっと距離が近づくのだが、それがなかなか難しいのだ。
その理由は、ダンジョンに眠っている真のダンジョンマスターの存在にあった。
そいつは、とんでもないものだった。
どうとんでもないのかというとちょっと記憶が定かではないのだが、とにかくとんでもない敵だということだけはわかった。
だが。
わたしには、勝算があった。
どんな敵であれ、魔女の末裔であるこのアリシアであれば攻略できる。
なぜなら、このアリシア・アルトグレイスには、幽霊たちがついているから。
それに、わたしには、究極の奥の手があったし。
それは、ダンジョンの奥深くでわたしを、というかヒロインを待っている筈のものだった。
確か、この度わたしたちが向かうダンジョンの奥には聖遺物と呼ばれるアイテムが眠っているはずなのだ。
それは、普通のゲームでは課金しなくては手に入れることができない。
しかし、この世界では違う(ような気がする)
だが、当然、このことはアレクシスも知っているわけだった。
わたしは、ゲームを攻略しつつ聖遺物をアレクシスよりも早く手に入れなくてはならない。
しかし。
当然のことだが、学園側も生徒たちもこんな事情はご存じない。
オリエンテーションという名の通り、みんな、遠足に毛の生えたもの程度にしか思っていない。
わたしは、アルトグレイス侯爵家のみなさんに頼んであるものを借り受けた。
それは、アルトグレイス家に伝わるミスリルの鎧だった。
これがあれば安心だ。
乙女ゲーム内でもこのミスリルの鎧を着ていたアリシアだけは、怪我を負うこともなかった。
まあ、だからといってもヒロインと攻略対象の愛のパワーの前には、叶わないんだけど。
もともとの乙女ゲームでは、ヒロインと攻略対象のラブパワーが高まることで聖遺物が発動して敵を倒すのだ。
この聖遺物を手に入れるために何度課金したことか。
このシーンの攻略のためにわたしは、バイトをしていたのだ。
なんのバイトかって?
それは、牛のエサやりのバイトだった。
牛のエサやりのバイトをなめてはいけない。
朝早くから晩遅くまで働いてわずかな給金を得ていたことを思い出したときわたしは、思わず泣いていた。
そうまでして手に入れた聖遺物でやっとこのシーンを攻略できたのだ。
実は、この乙女ゲームのファンには、男性も多かった。
それは、乙女ゲームにあるまじき戦闘ゲームの充実さのせいだった。
このシスナブル王国の始祖が冒険者たちだったという設定のせいかもしれないがけっこう戦闘シーンが重視されていた。
わたしは、この戦闘シーンの攻略が苦手でたくさん課金させられたことを思い出していた。
そのうちの一つが学期末のダンジョンでのオリエンテーションだった。
このダンジョンでのオリエンテーションでうまくゲームを攻略できればイケメンたちともぐっと距離が近づくのだが、それがなかなか難しいのだ。
その理由は、ダンジョンに眠っている真のダンジョンマスターの存在にあった。
そいつは、とんでもないものだった。
どうとんでもないのかというとちょっと記憶が定かではないのだが、とにかくとんでもない敵だということだけはわかった。
だが。
わたしには、勝算があった。
どんな敵であれ、魔女の末裔であるこのアリシアであれば攻略できる。
なぜなら、このアリシア・アルトグレイスには、幽霊たちがついているから。
それに、わたしには、究極の奥の手があったし。
それは、ダンジョンの奥深くでわたしを、というかヒロインを待っている筈のものだった。
確か、この度わたしたちが向かうダンジョンの奥には聖遺物と呼ばれるアイテムが眠っているはずなのだ。
それは、普通のゲームでは課金しなくては手に入れることができない。
しかし、この世界では違う(ような気がする)
だが、当然、このことはアレクシスも知っているわけだった。
わたしは、ゲームを攻略しつつ聖遺物をアレクシスよりも早く手に入れなくてはならない。
しかし。
当然のことだが、学園側も生徒たちもこんな事情はご存じない。
オリエンテーションという名の通り、みんな、遠足に毛の生えたもの程度にしか思っていない。
わたしは、アルトグレイス侯爵家のみなさんに頼んであるものを借り受けた。
それは、アルトグレイス家に伝わるミスリルの鎧だった。
これがあれば安心だ。
乙女ゲーム内でもこのミスリルの鎧を着ていたアリシアだけは、怪我を負うこともなかった。
まあ、だからといってもヒロインと攻略対象の愛のパワーの前には、叶わないんだけど。
もともとの乙女ゲームでは、ヒロインと攻略対象のラブパワーが高まることで聖遺物が発動して敵を倒すのだ。
この聖遺物を手に入れるために何度課金したことか。
このシーンの攻略のためにわたしは、バイトをしていたのだ。
なんのバイトかって?
それは、牛のエサやりのバイトだった。
牛のエサやりのバイトをなめてはいけない。
朝早くから晩遅くまで働いてわずかな給金を得ていたことを思い出したときわたしは、思わず泣いていた。
そうまでして手に入れた聖遺物でやっとこのシーンを攻略できたのだ。
26
お気に入りに追加
268
あなたにおすすめの小説
落ちこぼれ盾職人は異世界のゲームチェンジャーとなる ~エルフ♀と同居しました。安定収入も得たのでスローライフを満喫します~
テツみン
ファンタジー
*この作品は24hポイントが0になりしだい、公開を終了します。ご愛読ありがとうございました。
アスタリア大陸では地球から一万人以上の若者が召喚され、召喚人(しょうかんびと)と呼ばれている。
彼らは冒険者や生産者となり、魔族や魔物と戦っていたのだ。
日本からの召喚人で、生産系志望だった虹川ヒロトは女神に勧められるがまま盾職人のスキルを授かった。
しかし、盾を売っても原価割れで、生活はどんどん苦しくなる。
そのうえ、同じ召喚人からも「出遅れ組」、「底辺職人」、「貧乏人」とバカにされる日々。
そんなとき、行き倒れになっていたエルフの女の子、アリシアを助け、自分の工房に泊めてあげる。
彼女は魔法研究所をクビにされ、住み場所もおカネもなかったのだ。
そして、彼女との会話からヒロトはあるアイデアを思いつくと――
これは、落ちこぼれ召喚人のふたりが協力し合い、異世界の成功者となっていく――そんな物語である。
神様の手違いで、おまけの転生?!お詫びにチートと無口な騎士団長もらっちゃいました?!
カヨワイさつき
恋愛
最初は、日本人で受験の日に何かにぶつかり死亡。次は、何かの討伐中に、死亡。次に目覚めたら、見知らぬ聖女のそばに、ポツンとおまけの召喚?あまりにも、不細工な為にその場から追い出されてしまった。
前世の記憶はあるものの、どれをとっても短命、不幸な出来事ばかりだった。
全てはドジで少し変なナルシストの神様の手違いだっ。おまけの転生?お詫びにチートと無口で不器用な騎士団長もらっちゃいました。今度こそ、幸せになるかもしれません?!
オバサンが転生しましたが何も持ってないので何もできません!
みさちぃ
恋愛
50歳近くのおばさんが異世界転生した!
転生したら普通チートじゃない?何もありませんがっ!!
前世で苦しい思いをしたのでもう一人で生きて行こうかと思います。
とにかく目指すは自由気ままなスローライフ。
森で調合師して暮らすこと!
ひとまず読み漁った小説に沿って悪役令嬢から国外追放を目指しますが…
無理そうです……
更に隣で笑う幼なじみが気になります…
完結済みです。
なろう様にも掲載しています。
副題に*がついているものはアルファポリス様のみになります。
エピローグで完結です。
番外編になります。
※完結設定してしまい新しい話が追加できませんので、以後番外編載せる場合は別に設けるかなろう様のみになります。
溺愛最強 ~気づいたらゲームの世界に生息していましたが、悪役令嬢でもなければ断罪もされないので、とにかく楽しむことにしました~
夏笆(なつは)
恋愛
「おねえしゃま。こえ、すっごくおいしいでし!」
弟のその言葉は、晴天の霹靂。
アギルレ公爵家の長女であるレオカディアは、その瞬間、今自分が生きる世界が前世で楽しんだゲーム「エトワールの称号」であることを知った。
しかし、自分は王子エルミニオの婚約者ではあるものの、このゲームには悪役令嬢という役柄は存在せず、断罪も無いので、攻略対象とはなるべく接触せず、穏便に生きて行けば大丈夫と、生きることを楽しむことに決める。
醤油が欲しい、うにが食べたい。
レオカディアが何か「おねだり」するたびに、アギルレ領は、周りの領をも巻き込んで豊かになっていく。
既にゲームとは違う展開になっている人間関係、その学院で、ゲームのヒロインは前世の記憶通りに攻略を開始するのだが・・・・・?
小説家になろうにも掲載しています。
~クラス召喚~ 経験豊富な俺は1人で歩みます
無味無臭
ファンタジー
久しぶりに異世界転生を体験した。だけど周りはビギナーばかり。これでは俺が巻き込まれて死んでしまう。自称プロフェッショナルな俺はそれがイヤで他の奴と離れて生活を送る事にした。天使には魔王を討伐しろ言われたけど、それは面倒なので止めておきます。私はゆっくりのんびり異世界生活を送りたいのです。たまには自分の好きな人生をお願いします。
【完結】貶められた緑の聖女の妹~姉はクズ王子に捨てられたので王族はお断りです~
魯恒凛
恋愛
薬師である『緑の聖女』と呼ばれたエリスは、王子に見初められ強引に連れていかれたものの、学園でも王宮でもつらく当たられていた。それなのに聖魔法を持つ侯爵令嬢が現れた途端、都合よく冤罪を着せられた上、クズ王子に純潔まで奪われてしまう。
辺境に戻されたものの、心が壊れてしまったエリス。そこへ、聖女の侍女にしたいと連絡してきたクズ王子。
後見人である領主一家に相談しようとした妹のカルナだったが……
「エリスもカルナと一緒なら大丈夫ではないでしょうか……。カルナは14歳になったばかりであの美貌だし、コンラッド殿下はきっと気に入るはずです。ケアードのためだと言えば、あの子もエリスのようにその身を捧げてくれるでしょう」
偶然耳にした領主一家の本音。幼い頃から育ててもらったけど、もう頼れない。
カルナは姉を連れ、国を出ることを決意する。
ペットたちと一緒に異世界へ転生!?魔法を覚えて、皆とのんびり過ごしたい。
千晶もーこ
ファンタジー
疲労で亡くなってしまった和菓。
気付いたら、異世界に転生していた。
なんと、そこには前世で飼っていた犬、猫、インコもいた!?
物語のような魔法も覚えたいけど、一番は皆で楽しくのんびり過ごすのが目標です!
※この話は小説家になろう様へも掲載しています
【完結】乙女ゲーム開始前に消える病弱モブ令嬢に転生しました
佐倉穂波
恋愛
転生したルイシャは、自分が若くして死んでしまう乙女ゲームのモブ令嬢で事を知る。
確かに、まともに起き上がることすら困難なこの体は、いつ死んでもおかしくない状態だった。
(そんな……死にたくないっ!)
乙女ゲームの記憶が正しければ、あと数年で死んでしまうルイシャは、「生きる」ために努力することにした。
2023.9.3 投稿分の改稿終了。
2023.9.4 表紙を作ってみました。
2023.9.15 完結。
2023.9.23 後日談を投稿しました。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる