34 / 105
3 どきどきの学園生活ですか?
3ー8 お家に帰りたい。
しおりを挟む
3ー8 お家に帰りたい。
なんとか悪役令嬢たちのお茶会を抜け出したわたしは、一人で裏庭をさ迷っていた。
まずい。
非常にまずいような気がする。
なんとなくこのままではいけないような。
このままだとアレクシスの思う壺のような気がする。
それは、絶対、嫌だ!
魔法学園の庭は、美しく手入れされていて、広くて散歩するにはぴったりの場所だ。
わたしは、疲れた心を癒してくれる小鳥の鳴き声に耳をすました。
と。
なんか、聞こえる?
声のする方を見ると東屋があった。
うん?
わたしは、その東屋へと静かに歩み寄っていった。
中には、二人の人物がいるようだ。
わたしは、そっと木陰から東屋の中を覗き込んだ。
いや!
決して覗きとか、そんなんじゃないし!
わたしは、自分に言い聞かせた。
これは、ほんの好奇心というものよ。
覗き込むとそこでは、二人の男が熱い抱擁を交わしていた。
はいぃっ?
わたしが息を殺して見つめていることも知らずに二人は、口づけまで交わしていた。
というか、あれ、魔法講師のアレン・ダナトス先生じゃね?
アレン先生は、攻略対象の内の一人でもある。
うん?
抱き合っている二人の姿をよく見ようとわたしは、目を擦った。
「もう、離れたくない、アレン」
青い髪の騎士団の制服を着たその男は、アレンを抱き締めてその深い緑色の髪に顔を埋めていた。
アレン先生は、その男の胸に顔をよせて囁く。
「私も、だ、フランシス」
はいぃっ?
マジですか?
信じられない!
この二人、攻略対象同士でできてはる!
思わずみじろいだ瞬間、がさっと音をたててしまった。
「誰だ?」
こっちを見た二人と思いっきり目があってしまう。
わたしは、走りながら叫んだ。
「お構いなくぅ!」
わたしは、必死に走った。
幸いなことに二人は、わたしを追ってくることはなかった。
わたしは、女子寮の自分の部屋まで戻ると乱れた呼吸を整えようと深呼吸をした。
サリが怪しむように冷たい眼差しでわたしを見ているのに、わたしは、にっこりと微笑んだ。
「なんでもないのよ、サリ」
そう、なんでもない。
わたしは、にっこりと笑った。
だが、心の中は、どしゃ降りの嵐だった。
なんで?
よりにもよってあの二人が?
というか、こんな秘密知ってしまってわたしは、大丈夫なの?
ああっ。
この世には、知らない方が幸せなことがあるんだ。
もう、家に帰りたいよ。
わたしは、ため息をついた。
エミリアおばあ様のお家へ帰りたい。
なんとか悪役令嬢たちのお茶会を抜け出したわたしは、一人で裏庭をさ迷っていた。
まずい。
非常にまずいような気がする。
なんとなくこのままではいけないような。
このままだとアレクシスの思う壺のような気がする。
それは、絶対、嫌だ!
魔法学園の庭は、美しく手入れされていて、広くて散歩するにはぴったりの場所だ。
わたしは、疲れた心を癒してくれる小鳥の鳴き声に耳をすました。
と。
なんか、聞こえる?
声のする方を見ると東屋があった。
うん?
わたしは、その東屋へと静かに歩み寄っていった。
中には、二人の人物がいるようだ。
わたしは、そっと木陰から東屋の中を覗き込んだ。
いや!
決して覗きとか、そんなんじゃないし!
わたしは、自分に言い聞かせた。
これは、ほんの好奇心というものよ。
覗き込むとそこでは、二人の男が熱い抱擁を交わしていた。
はいぃっ?
わたしが息を殺して見つめていることも知らずに二人は、口づけまで交わしていた。
というか、あれ、魔法講師のアレン・ダナトス先生じゃね?
アレン先生は、攻略対象の内の一人でもある。
うん?
抱き合っている二人の姿をよく見ようとわたしは、目を擦った。
「もう、離れたくない、アレン」
青い髪の騎士団の制服を着たその男は、アレンを抱き締めてその深い緑色の髪に顔を埋めていた。
アレン先生は、その男の胸に顔をよせて囁く。
「私も、だ、フランシス」
はいぃっ?
マジですか?
信じられない!
この二人、攻略対象同士でできてはる!
思わずみじろいだ瞬間、がさっと音をたててしまった。
「誰だ?」
こっちを見た二人と思いっきり目があってしまう。
わたしは、走りながら叫んだ。
「お構いなくぅ!」
わたしは、必死に走った。
幸いなことに二人は、わたしを追ってくることはなかった。
わたしは、女子寮の自分の部屋まで戻ると乱れた呼吸を整えようと深呼吸をした。
サリが怪しむように冷たい眼差しでわたしを見ているのに、わたしは、にっこりと微笑んだ。
「なんでもないのよ、サリ」
そう、なんでもない。
わたしは、にっこりと笑った。
だが、心の中は、どしゃ降りの嵐だった。
なんで?
よりにもよってあの二人が?
というか、こんな秘密知ってしまってわたしは、大丈夫なの?
ああっ。
この世には、知らない方が幸せなことがあるんだ。
もう、家に帰りたいよ。
わたしは、ため息をついた。
エミリアおばあ様のお家へ帰りたい。
15
お気に入りに追加
268
あなたにおすすめの小説

【完結】貶められた緑の聖女の妹~姉はクズ王子に捨てられたので王族はお断りです~
魯恒凛
恋愛
薬師である『緑の聖女』と呼ばれたエリスは、王子に見初められ強引に連れていかれたものの、学園でも王宮でもつらく当たられていた。それなのに聖魔法を持つ侯爵令嬢が現れた途端、都合よく冤罪を着せられた上、クズ王子に純潔まで奪われてしまう。
辺境に戻されたものの、心が壊れてしまったエリス。そこへ、聖女の侍女にしたいと連絡してきたクズ王子。
後見人である領主一家に相談しようとした妹のカルナだったが……
「エリスもカルナと一緒なら大丈夫ではないでしょうか……。カルナは14歳になったばかりであの美貌だし、コンラッド殿下はきっと気に入るはずです。ケアードのためだと言えば、あの子もエリスのようにその身を捧げてくれるでしょう」
偶然耳にした領主一家の本音。幼い頃から育ててもらったけど、もう頼れない。
カルナは姉を連れ、国を出ることを決意する。
【完結】乙女ゲーム開始前に消える病弱モブ令嬢に転生しました
佐倉穂波
恋愛
転生したルイシャは、自分が若くして死んでしまう乙女ゲームのモブ令嬢で事を知る。
確かに、まともに起き上がることすら困難なこの体は、いつ死んでもおかしくない状態だった。
(そんな……死にたくないっ!)
乙女ゲームの記憶が正しければ、あと数年で死んでしまうルイシャは、「生きる」ために努力することにした。
2023.9.3 投稿分の改稿終了。
2023.9.4 表紙を作ってみました。
2023.9.15 完結。
2023.9.23 後日談を投稿しました。

オバサンが転生しましたが何も持ってないので何もできません!
みさちぃ
恋愛
50歳近くのおばさんが異世界転生した!
転生したら普通チートじゃない?何もありませんがっ!!
前世で苦しい思いをしたのでもう一人で生きて行こうかと思います。
とにかく目指すは自由気ままなスローライフ。
森で調合師して暮らすこと!
ひとまず読み漁った小説に沿って悪役令嬢から国外追放を目指しますが…
無理そうです……
更に隣で笑う幼なじみが気になります…
完結済みです。
なろう様にも掲載しています。
副題に*がついているものはアルファポリス様のみになります。
エピローグで完結です。
番外編になります。
※完結設定してしまい新しい話が追加できませんので、以後番外編載せる場合は別に設けるかなろう様のみになります。

婚約破棄され逃げ出した転生令嬢は、最強の安住の地を夢見る
拓海のり
ファンタジー
階段から落ちて死んだ私は、神様に【救急箱】を貰って異世界に転生したけれど、前世の記憶を思い出したのが婚約破棄の現場で、私が断罪される方だった。
頼みのギフト【救急箱】から出て来るのは、使うのを躊躇うような怖い物が沢山。出会う人々はみんな訳ありで兵士に追われているし、こんな世界で私は生きて行けるのだろうか。
破滅型の転生令嬢、腹黒陰謀型の年下少年、腕の立つ元冒険者の護衛騎士、ほんわり癒し系聖女、魔獣使いの半魔、暗部一族の騎士。転生令嬢と訳ありな皆さん。
ゆるゆる異世界ファンタジー、ご都合主義満載です。
タイトル色々いじっています。他サイトにも投稿しています。
完結しました。ありがとうございました。
【完結】悪役令嬢が可愛すぎる!!
佐倉穂波
ファンタジー
ある日、自分が恋愛小説のヒロインに転生していることに気がついたアイラ。
学園に入学すると、悪役令嬢であるはずのプリシラが、小説とは全く違う性格をしており、「もしかして、同姓同名の子が居るのでは?」と思ったアイラだったが…….。
三話完結。
ヒロインが悪役令嬢を「可愛い!」と萌えているだけの物語。
2023.10.15 プリシラ視点投稿。

疲れきった退職前女教師がある日突然、異世界のどうしようもない貴族令嬢に転生。こっちの世界でも子供たちの幸せは第一優先です!
ミミリン
恋愛
小学校教師として長年勤めた独身の皐月(さつき)。
退職間近で突然異世界に転生してしまった。転生先では醜いどうしようもない貴族令嬢リリア・アルバになっていた!
私を陥れようとする兄から逃れ、
不器用な大人たちに助けられ、少しずつ現世とのギャップを埋め合わせる。
逃れた先で出会った訳ありの美青年は何かとからかってくるけど、気がついたら成長して私を支えてくれる大切な男性になっていた。こ、これは恋?
異世界で繰り広げられるそれぞれの奮闘ストーリー。
この世界で新たに自分の人生を切り開けるか!?
婚約破棄されて辺境へ追放されました。でもステータスがほぼMAXだったので平気です!スローライフを楽しむぞっ♪
naturalsoft
恋愛
シオン・スカーレット公爵令嬢は転生者であった。夢だった剣と魔法の世界に転生し、剣の鍛錬と魔法の鍛錬と勉強をずっとしており、攻略者の好感度を上げなかったため、婚約破棄されました。
「あれ?ここって乙女ゲーの世界だったの?」
まっ、いいかっ!
持ち前の能天気さとポジティブ思考で、辺境へ追放されても元気に頑張って生きてます!

華都のローズマリー
みるくてぃー
ファンタジー
ひょんな事から前世の記憶が蘇った私、アリス・デュランタン。意地悪な義兄に『超』貧乏騎士爵家を追い出され、無一文の状態で妹と一緒に王都へ向かうが、そこは若い女性には厳しすぎる世界。一時は妹の為に身売りの覚悟をするも、気づけば何故か王都で人気のスィーツショップを経営することに。えっ、私この世界のお金の単位って全然わからないんですけど!?これは初めて見たお金が金貨の山だったという金銭感覚ゼロ、ハチャメチャ少女のラブ?コメディな物語。
新たなお仕事シリーズ第一弾、不定期掲載にて始めます!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる