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2 うきうき学園生活?
2ー6 同室ですか?
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2ー6 同室ですか?
講堂の前のクラスわけの発表のあった場所に戻ると潮がひいたように人影がまばらになっていた。
わたしは、ため息をつきながらもう一度、オルトのクラスを確認した。
オルトは、普通クラスだった。
特別クラスとは、ほぼ会うことがないだろう。
わたしは、とぼとぼと寮に向かって歩き始めた。
この王立魔法学園は、全寮制の学園だ。
寮は、男女で別れているが寮長を通せばわりと自由に行き来できるらしい。
ロドニ-が何かあればすぐに頼るようにと言ってくれた。
一人、女子寮へと向かって歩いていると、後ろから誰かに肩を叩かれた。
「アリシア」
振り向くとそこには、懐かしいオルトの姿があった。
目立たない茶髪に茶色い瞳をしたオルトは、この数ヵ月でわたしより背が高くなっていた。
顔つきも心なしか精悍になったような。
「オルト」
わたしは、なぜか、胸が詰まって言葉が出なかった。
オルトは、攻略対象者も真っ青なキラキラの笑顔を浮かべるとわたしに歩みよった。
「会いたかった、アリシア」
「うん」
わたしは、涙ぐんでいた。
二度と会えないと思っていた。
けど。
再会できた。
この喜びにわたしは、言葉を失っていた。
そんなわたしをオルトは、優しく抱き締めてくれた。
「オルト」
すごくいいところだったのに、突然、誰かがオルトの背後から呼び掛けた。
いったい、誰?
わたしが顔を向けると、オルトの脇からアレクシスがひょこっと顔を出した。
「まだ?夕飯の時間過ぎちゃうよ!」
「ああ、すまないな」
オルトは、わたしからそっと離れた。
なんで、ここにこいつが?
わたしがまじまじと見つめているとオルトが紹介してくれた。
「これは、寮で同室のアレクシスだ。アレクシス、俺の幼馴染みで婚約者のアリシア、だ」
「そうなんだ、よろしく」
アレクシスがにやりと笑った。
「オルトとは、仲良くしてもらってますぅ」
はい?
なんか、ムカつく!
「さ、オルト、急がないと!」
アレクシスは、そういうとさっさとオルトの手を引っ張って去っていく。
オルトは、何度も後ろを振り向きながらわたしに告げた。
「また、連絡するよ、アリシア」
講堂の前のクラスわけの発表のあった場所に戻ると潮がひいたように人影がまばらになっていた。
わたしは、ため息をつきながらもう一度、オルトのクラスを確認した。
オルトは、普通クラスだった。
特別クラスとは、ほぼ会うことがないだろう。
わたしは、とぼとぼと寮に向かって歩き始めた。
この王立魔法学園は、全寮制の学園だ。
寮は、男女で別れているが寮長を通せばわりと自由に行き来できるらしい。
ロドニ-が何かあればすぐに頼るようにと言ってくれた。
一人、女子寮へと向かって歩いていると、後ろから誰かに肩を叩かれた。
「アリシア」
振り向くとそこには、懐かしいオルトの姿があった。
目立たない茶髪に茶色い瞳をしたオルトは、この数ヵ月でわたしより背が高くなっていた。
顔つきも心なしか精悍になったような。
「オルト」
わたしは、なぜか、胸が詰まって言葉が出なかった。
オルトは、攻略対象者も真っ青なキラキラの笑顔を浮かべるとわたしに歩みよった。
「会いたかった、アリシア」
「うん」
わたしは、涙ぐんでいた。
二度と会えないと思っていた。
けど。
再会できた。
この喜びにわたしは、言葉を失っていた。
そんなわたしをオルトは、優しく抱き締めてくれた。
「オルト」
すごくいいところだったのに、突然、誰かがオルトの背後から呼び掛けた。
いったい、誰?
わたしが顔を向けると、オルトの脇からアレクシスがひょこっと顔を出した。
「まだ?夕飯の時間過ぎちゃうよ!」
「ああ、すまないな」
オルトは、わたしからそっと離れた。
なんで、ここにこいつが?
わたしがまじまじと見つめているとオルトが紹介してくれた。
「これは、寮で同室のアレクシスだ。アレクシス、俺の幼馴染みで婚約者のアリシア、だ」
「そうなんだ、よろしく」
アレクシスがにやりと笑った。
「オルトとは、仲良くしてもらってますぅ」
はい?
なんか、ムカつく!
「さ、オルト、急がないと!」
アレクシスは、そういうとさっさとオルトの手を引っ張って去っていく。
オルトは、何度も後ろを振り向きながらわたしに告げた。
「また、連絡するよ、アリシア」
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