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2 うきうき学園生活?
2ー2 猫ですか?
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2ー2 猫ですか?
「姉上は、努力家でしかも頭がいいからなぁ」
ロドニ-が感心したようにいうのでわたしは、慌てて告げた。
「そんな、ロドニ-様に比べたらわたしなんてとるに足りませんわ」
「それ」
ロドニ-が唇を尖らせる。
「その、様はやめてくださいますか?姉上」
「で、ですが」
「あまり姉上に他人行儀にされると私は、寂しくって泣いてしまいますよ」
ええっ?
わたしは、まじまじとロドニ-のことを見つめると、ロドニ-は、ぽぅっと頬を赤らめた。
「そこは、笑うとこですよ、姉上」
「はぁ・・」
わたしは、ロドニ-にいわれて口許を綻ばせた。
ロドニ-は、優しい。
こうしていつもわたしに気を使ってくれる。
さすが、攻略対象だ。
だけど、残念なことに学園には今、ヒロインがいないのだ。
いったい、どうなってしまうんだろうか。
この乙女ゲームの世界は。
そのとき、突然、竜馬がいななく声がきこえて馬車が乱暴に停車した。
がくんと前のめりになるわたしの体を前に腰かけていたロドニ-が受け止めてくれた。
「大丈夫ですか?姉上」
「ええ」
わたしは、慌ててロドニ-の腕から逃れようとしたがロドニ-は、がっしりとわたしを抱き締めていた。
「ど、どうしたのかしら?急に止まったみたいだけど」
馬車の扉が開いて御者のキラが顔を覗かせた。
「お怪我はなかったでしょうか?ロドニ-様、アリシア様」
「どうした?キラ。何があった?」
ロドニ-が訊ねると、キラは答えた。
「それが・・」
キラは、戸惑いを隠せない様子だった。
「学園の生徒らしき人物が道に倒れていて」
「学園の生徒が?」
慌てて馬車から降りたロドニ-とわたしの前にいたのは、馬車の前にしゃがみ込んで震えている少年だった。
ふわふわのストロベリーブロンドを肩まで伸ばしたハチミツ色の瞳が印象的な美少年だ。
うん?
わたしは、考え込んだ。
いや、待ってください。
これ、確か、ヒロインのイベントでしたよね?
学園に登校中のヒロインが猫をかばって馬車の前に飛び出すとかいう。
その間にも、ロドニ-は、少年に手を差し伸べていた。
「大丈夫か?君・・」
「アレクシス、アレクシス・ラミアンです」
少年は、キラキラ潤んだ瞳でロドニ-を見上げると差し出された手をとった。
ロドニ-は、少年を立ち上がらせると訊ねた。
「いったいどうしたんだ?馬車の前に飛び出すなんて」
「猫が」
アレクシスは、腕に抱えた茶色い子猫を見せながら微笑んだ。
「子猫が馬車にひかれそうだったから」
「姉上は、努力家でしかも頭がいいからなぁ」
ロドニ-が感心したようにいうのでわたしは、慌てて告げた。
「そんな、ロドニ-様に比べたらわたしなんてとるに足りませんわ」
「それ」
ロドニ-が唇を尖らせる。
「その、様はやめてくださいますか?姉上」
「で、ですが」
「あまり姉上に他人行儀にされると私は、寂しくって泣いてしまいますよ」
ええっ?
わたしは、まじまじとロドニ-のことを見つめると、ロドニ-は、ぽぅっと頬を赤らめた。
「そこは、笑うとこですよ、姉上」
「はぁ・・」
わたしは、ロドニ-にいわれて口許を綻ばせた。
ロドニ-は、優しい。
こうしていつもわたしに気を使ってくれる。
さすが、攻略対象だ。
だけど、残念なことに学園には今、ヒロインがいないのだ。
いったい、どうなってしまうんだろうか。
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そのとき、突然、竜馬がいななく声がきこえて馬車が乱暴に停車した。
がくんと前のめりになるわたしの体を前に腰かけていたロドニ-が受け止めてくれた。
「大丈夫ですか?姉上」
「ええ」
わたしは、慌ててロドニ-の腕から逃れようとしたがロドニ-は、がっしりとわたしを抱き締めていた。
「ど、どうしたのかしら?急に止まったみたいだけど」
馬車の扉が開いて御者のキラが顔を覗かせた。
「お怪我はなかったでしょうか?ロドニ-様、アリシア様」
「どうした?キラ。何があった?」
ロドニ-が訊ねると、キラは答えた。
「それが・・」
キラは、戸惑いを隠せない様子だった。
「学園の生徒らしき人物が道に倒れていて」
「学園の生徒が?」
慌てて馬車から降りたロドニ-とわたしの前にいたのは、馬車の前にしゃがみ込んで震えている少年だった。
ふわふわのストロベリーブロンドを肩まで伸ばしたハチミツ色の瞳が印象的な美少年だ。
うん?
わたしは、考え込んだ。
いや、待ってください。
これ、確か、ヒロインのイベントでしたよね?
学園に登校中のヒロインが猫をかばって馬車の前に飛び出すとかいう。
その間にも、ロドニ-は、少年に手を差し伸べていた。
「大丈夫か?君・・」
「アレクシス、アレクシス・ラミアンです」
少年は、キラキラ潤んだ瞳でロドニ-を見上げると差し出された手をとった。
ロドニ-は、少年を立ち上がらせると訊ねた。
「いったいどうしたんだ?馬車の前に飛び出すなんて」
「猫が」
アレクシスは、腕に抱えた茶色い子猫を見せながら微笑んだ。
「子猫が馬車にひかれそうだったから」
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