魔女見習いは、スパダリたちに溺愛される~乙女ゲー世界のモブなんですが、なぜかヒロインポジなんですけど~

トモモト ヨシユキ

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1 ヒロイン逃走!

1ー8 ドレス

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 1ー8 ドレス

 あっという間にわたしの成人の儀式の日はやってきた。
 その日、白いレースのドレスを身にまとったわたしと立派な礼服姿のロドニ-は、王都の中央にある女神の教団の教会へと向かった。
 そこには、たくさんの少年少女たちが集っていた。
 わたしたちは、貴族の子供たちの集まっている神殿へと通された。
 みな、神託でどんなギフトが贈られるのかでざわついていた。
 わたしは、そんなことには興味がなかった。
 願うのは、あまり目立たないギフトであること。
 その場にいたみながわたしとロドニ-の姿に気づくと一瞬、静かになった。
 なんだか別のざわめきが起こるのがわかった。
 それは、そうだろう。
 同い年の息子のいる侯爵が高級娼婦に生ませた隠し子を引き取ったのだ。
 噂にならないわけがない。
 こんなことは慣れっこだ。
 でも、ロドニ-も気にしていない様子だった。
 というか、他の連中からわたしをかばうようにして笑顔でなんやかや話しかけてくれていた。
 わたしは、ロドニ-に微笑みながら話していたが、内心ではこの喧騒にうんざりしていた。
 ほんとならわたしが成人の儀式を受けるのはオールドダーク領の小さな町であり、そのときそばにいるのはオルトだった筈なのだ。
 わたしは、小さなため息をついた。
 このドレス。
 これは、まだエミリアおばあ様のもとにいたころにおばあ様と一緒に縫ったものに仕立て屋がレースを飾り付けてくれたものだった。
 アリスティア様は、新しいドレスを仕立ててくれるつもりだったのだがわたしがこのドレスを着たいと言うとそれを受け入れてくれた。
 ほんとにいい人たちだ。
 周囲の子供たちは、みな色とりどりの美しいドレスを身にまとっていた。
 白いドレスなんて着ているのはわたしだけだった。
 オールドダークの教会では白で統一されていたのだ。
 しばらくしてロドニ-が知り合いに声をかけられてわたしから離れていった。
 「すぐに戻るから」
 ロドニ-は、申し訳なさそうに友人らしい人々の方へと向かった。
 わたしは、一人壁際に立ってぼんやりとしていた。
 
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