異世界転生者は、花嫁の夢を見るか~僕が種付されそうです~

トモモト ヨシユキ

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12 誘拐された花嫁と新しい世界の神

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   玄関を開けると黒いスーツを着た男たちが3人立っていた。その中の一人、少し、くたびれたような顔をした、眼鏡の初老の男が僕にきいた。
   「田中  真弓、さん?」
    「はい」
    僕は、何だか、悪い予感がしていた。男は、スーツの内ポケットから書類を出して僕に見せた。そこには、『公序良俗違反』で僕に逮捕状が出た旨が記されていた。
   「署までご同行願えますか?」
    男が僕の腕を掴んで引っ張った。騒動を聞き付けて奥から現れた征一郎が僕をかばおうとしたのを、初老の男の後ろにいた若い男たちが押さえつけた。
   「邪魔をしたら、あんたも、公務執行妨害で逮捕するぞ」
   「征一郎、僕は、大丈夫」
   僕は、征一郎に向かって言った。
  「きっと、何かの間違いだから、すぐに、戻るから、待ってて」
   「真弓・・」
      だけど、僕には、わかっていた。
   僕は、もう、たぶん、ここには、戻ってこれないだろうことを。
   彼らの言っている『公序良俗違反』というのは、きっと、僕が書いているファンタジー小説のことだろう。それは、禁止された書物であり、その罪を犯した者は、強制収容所に送られることになっていた。
    僕は、もう、二度と会えないかもしれないと思いながら、征一郎の方を振り向いて、微笑みを浮かべた。
   「じゃあ、すぐに、戻るから。待ってて」
    僕を見つめて頷く征一郎を後に残して、僕は、男たちと一緒に家を出ていった。
   マンションの前に待っていた黒塗りのバンに僕を乗せると、男たちは、車を出した。車は、学園都市外苑を出て、街の外へと走っていった。なぜ、街を出るのか、不審に思った僕がきくと、隣に座っていた初老の男が言った。
   「我々は、公安ではない」
   「えっ?」
    「我々は、マザ直属の親衛隊だ」
    男は、僕の首元へ冷たいものを押し当てて、言った。ぷしゅっと小さな音がして、僕の意識が薄れていった。

        なんだか、頭が痛かった。僕は、呻き声を上げて、ゆっくりと目を開いた。
   目の前に、白く、明るい光が見えた。僕は、眩くて、手で目を隠そうとしたけど、手は、動かなかった。
   消毒薬の匂い。
   僕は、回らない頭を懸命に回転させていた。
   確か、僕は、公安を名乗る男たちに連行されたんだった。だが、車は、街の郊外へと向かっていき、僕が、不審に思ってきくと、あの初老の男が僕に言った。
  『我々は、マザ直属の親衛隊だ』
  マザの?
   僕は、体を起こそうとした。が、無駄だった。どうやら、手足を拘束されているようだった。
   なんで、マザの親衛隊が僕を捕らえるのか。
   ここは、どこなんだろう。
   僕が、そう考えていたとき、どこからか、声がきこえた。
   「気がついたのか?田中  真弓」
     僕は、頭を巡らせて室内を眺めた。そこは、窓のない、白い病室のような部屋だった、中央に僕が縛られているベットが一つあるのみで、他には、何もない部屋だった。
    声が続けた。
  「君の体を調べさせてもらった」
   「えっ?」
   「非常に、興味深かったよ」
    声の主は、言った。
   「驚くべきことだが、君は、体内に子供を宿す器官を持っているようだ。おそらくは、他の個体と交わることによって、その精子を受け入れ、受胎するものと思われる。現在、この地上において、マザのみが可能な業を、君は、ただの人の身でありながらなせるというわけだ」
    その冷たい、機械的な声に、僕は、鳥肌が立った。
   ここは、嫌だ。
  「僕を、家に帰して。もとの場所へ」
   「だめだ」
   声は、冷ややかに言った。
   「君には、ここで、子供を産んでもらう」
   「ええっ?」
    僕は、声の言ったことがよく理解できなかったが、なんだか、恐ろしくて、叫んだ。
  「嫌だ!僕を、はやく、帰してくれ!」
   「落ち着きなさい、田中  真弓」
   声は、宥めるように、言った。
   「まだ、君の体は、完成されていない。君の体には、子供を育むための器官も、卵もあるが、それは、まだ、眠っている。それを目覚めさせるには、私の力が必要なのだ」
        部屋の隅にある扉が開いて、そこから、一人の男が入ってきた。その男は、ゆっくりと僕に歩み寄ってくると、僕を覗き込んだ。僕と同じ、希少種と思われる、白髪に赤い目をした若い男だった。征一郎と同じような黒縁の眼鏡をかけている。ただ、恐ろしいくらい美しい人だった。神々しいぐらいに美しい、その男は、僕を見下ろして言った。
   「私は、この研究所の所長の新崎   彰だ。もう一つの名を、トリストラム。そう言えば、君になら理解できるのではないかな?」
    トリストラム。
   それは、異世界グロウザーにかつて、君臨していた邪神の名だった。確か、女神セナと二人の剣の王の手で倒された古の神だった。
   「もう、気づいたか?田中  真弓」
    新崎は、うっすらと笑いを浮かべた。
  「私もまた、この世界へと転生した者なのだよ」
   「まさか」
   僕は、頭が混乱していた。
  邪神トリストラム。
   彼は、混乱と破壊の神であり、かつて、異世界グロウザーを暗黒が支配する世界へと変えようとしていた。しかし、もう、ずっと昔に、滅ぼされた筈の神だった。それが、なぜ、なんのために、この世界へと転生しているのだろうか。
   「なぜ?それは、この世界の古い神によって召喚されたからだ。私は、この世界の古の神によって、この地に招かれた。何のために?目覚めたとき、私の中で何者かが言った。『この世界の新しい神となれ』と」
        新崎は、言った。
 「この世界は、滅亡しかけている。私は、この世界に呼ばれて、この地へと転生したのだ。この世界の新しい神となり、この世界を救うために」
   「この世界を救う?」
   僕がきくと、彼は、頷いた。
  「そのためにも、お前の力が必要なのだ。この、弱体化しているマザによって支配されている世界を救うためには、新しい女神が必要なのだ」
    「僕には」
    僕は、言った。
    「何も、できない」
    「いや、お前には、子供を産んでもらう。新しいマザを、な」
  新崎は、僕に囁いた。
  「お前の肉体をコピーし、クローンを大量に作り出す。それに、私の子供を産ませるのだ。新しい神の子らによって、世界は、蘇る。新しい世界へと」
   「そんなこと・・征一郎が、魔王グレイザや、二人の剣の王たちが許すとは思えない」
   僕は、震える声で言った。
  「それに、女神セナも」
   「そうかな?」
      新崎は、僕の体を覆っている布団を剥いだ。僕は、裸だった。新崎は、僕の上に覆い被さり、僕に口づけしてきた。僕は、口を固く閉じて、彼を拒もうとした。新崎は、低く笑い声をたてた。
   「拒んでも、だめだ。女神セナは、お前の体を完成させるために、私自身を最後の鍵にしたのだ。私がお前と体を重ねて、初めて、お前の体は、完成する。それを拒むことは、お前にはできない。なぜなら」
    新崎は、僕の耳元で言った。
  「お前は、私の花嫁なのだから」
  新崎は、僕の下半身へと手を伸ばし、僕のものを掴んだ。そして、そこにはめられた銀のリングを見て、バカにするように笑った。
   「お前のパートナーは、ずいぶんと、疑い深く、独占欲が強い人物らしいな。こんなものをはめられているなんて」
   「あっ!だめっ!」
    新崎は、リングを抜き去ると、それを指先で捻り潰した。
   「こんなもの、お前には、必要ない。私の花嫁は、誰よりも、淫らで、何より、快楽を好むのだから」
   「ああっ・・」
    僕の両頬を涙が伝った。それを、新崎は、舌先で舐めとって、言った。
    「誰のためであれ、そんな涙を流すことは、これが最後になる。お前は、私のものとなるのだ」
   「いやっ!・・嫌だ!」
    僕は、なんとか逃れようとして手足を縛っている鎖をガチャガチャと引っ張った。新崎は、僕の顎を掴むと、僕に口付けた。
   「お前は、私を拒めない。ほら、こうして、私が望むがままに、お前の体は、反応するのだから」
      僕の唇は、奴の指に触れられると、薄く開いた。新崎は、僕の中へと舌を差し入れ、僕の口中を犯した。新崎に貪られる内に、僕の体は、奥から熱く疼いてきて、僕は、切ない吐息を漏らした。
    「お前は、私を求めているのだ。田中  真弓」
   「んっ・・あっ・・」
   僕は、強く目を閉じ思った。
   征一郎!
   「無駄だと言っている」
   新崎が僕の胸元へとキスを降らせながら言った。
  「この世界の神である私に、異世界から来た魔王ごときが、敵うわけがあるまい。諦めて、魂までも、私を受け入れることだ」
   「い、やっ!・・やめ、てっ!」
   新崎は、僕の乳首を舐め、吸った。不意に、ずくん、と僕の体の奥が痺れて、僕は、知らぬ間に、甘い声を漏らしていた。
   「んぅっ・・あっ・・やめっ・・」
    「かわいい声だ」
    新崎が、僕のそこをぎゅっと摘まんで引っ張った。鋭い痛みに、僕は、悲鳴をあげた。
  「っ!・・あ、あぁっ!いやっ!」
   「お前の体の仕組みは、鳥とよく似ている。鳥もまた、腹腔内に卵を形成し、総排泄口から卵を産む。つまり、お前は、私のために創られた小鳥のようなものだ」
    新崎は、僕の両足を開かせ、その間に体を入れると、僕の後孔へと手を伸ばしてきた。
     「もう、濡れている。私の淫らな花嫁よ、お前が私を拒もうとも、その肉体は、私を求めていることに変わりはないのだ」
  新崎は、僕の後孔へと指を入れ、僕の中を掻き回した。
   「さあ、私の小鳥よ。そのかわいい声をもっときかせてくれ」
  「いやぁっ!」
   僕は、両足をきつく閉じようとしたが、新崎は、それを容易く、開かせると、僕に見えるように、指先に摘まんだ玉を差し出した。
  「これが、最後の女神セナの花嫁の石、だ。これを、これから、お前の中へ、入れる」
   新崎は、それを僕の後孔へと押し当てた。
  「これで、お前は、私のものだ。私の花嫁、よ」
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