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9 されど愛しき日々

9ー2 隷属の首輪

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 9ー2 隷属の首輪

 「まあ、いい。離してやれ」
 その男が命じ、男たちは、俺を捕まえていた手を離した。俺は、乱れた衣を直して顔をあげた。
 「あなたは、誰です?ジニアス王は?」
 俺の質問にその男は、にやっと口許を歪めた。
 「私がこのジニアス王国の真の王だ」
 はい?
 俺は、まじまじと男を見た。
 俺は、こんな男知らない。
 「・・ウィズ・・マルキア・ディアス・ジニアス様は?どこにおられる?」
 「奴なら、そこにいるだろう?」
 その男は、奥の牢を顎でさした。俺は、弾かれたように奥の牢を見た。鎖に繋がれている人物は、声を封じられていたが低い呻き声を漏らした。
 俺は、牢に駆け寄ろうとしたが男たちに取り押さえられた。
 「離せ!」
 俺は、魔法で男たちを吹き飛ばして牢へと向かった。牢の中には、鎖で縛られたウィズがいた。ずいぶんと酷い扱いを受けているようでところどころ血がにじんでいる。
 「ウィズ!」
 「そこまでだ」
 俺の首もとに冷たい刃があてられているのを感じて俺は、息を飲んだ。俺に剣を突きつけているのは、さっきの王を名乗る男だった。
 「牢から離れろ」
 俺は、ゆっくりと背後を向いた。王を名乗る男は、俺に剣先を向けたまま話した。
 「お前には、2つの道が残されている」
 男は、俺に言い放った。
 「このままここを去る。だが、その場合、この牢の中の男は、殺す」
 緊迫感の中、俺は、息を飲む。
 「もう1つの道は」
 王を名乗る男がにやりと笑った。
 「お前が私の伴侶となる道だ」
 わけがわからず俺が唖然としていると男が剣先で俺の顎をあげて自分の方を向かせて俺の顔を覗き込んだ。
 「お前が大人しく私の玩具になっていればそこの罪人は、生かしてやる」
 俺は、唐突な話にわけがわからず。だが、ウィズを見殺しにすることはできないし。仕方なくこの男の言う通りにすることにした。
 すぐに俺をここに案内した男たちによって押さえつけられ、身動きのとれない俺に王を名乗る男が首輪をつけた。
 「これは、隷属の首輪、だ。お前は、もう私のもの、だ。逆らえば牢の男を殺す」
 
 
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