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8 王国の宝玉
8ー4 戦争の足音
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8ー4 戦争の足音
「いったいどういうことだよ?」
俺がアンリの執務室へと押し掛けるとアンリは、しれっとして言った。
「国王陛下からの紹介状付きの客だし上客だぞ。よろこべ、ルシウス」
「はぁ?」
俺は、アンリに近づいていくとどん、と執務机を手で叩いた。
「俺は、もう身請けされるんじゃないのか?」
「それまでは、ただの男娼だからな。客もとるだろう?」
アンリが答えるので俺は、むかっとして言った。
「絶対にお断り、だ」
「じゃあ、この王国が戦争に巻き込まれてもいいんだな?ルシウス」
アンリが俺を射貫くように見た。
「今、ここに来てる客は、あの、軍事国家ジニアス王国の使者だ」
ジニアス王国?
わかってない俺にアンリが説明した。
「ジニアス王国は、3年前に前王が死に新しく前王の子であるマルキア王が即位したんだ」
俺の記憶では、ジニアス王国は、南方の小国だった。それが、3年前にマルキア・ディアス・ジニアス王が即位して以来、周辺の国への侵略が始まったのだという。
「今、ジニアスは、隣国ボローニャ王国へ進軍中だ。このままいけば、我がエイダース王国も他人事ではないな」
アンリが言うので俺は、訊ねた。
「それが俺となんの関係があるんだ?」
「ジニアス王国からの使者は、お前にずいぶん興味をお持ちのようでな。もしかしたらここでお前がうまくもてなせば友好な関係を築けるかもしれない」
アンリがはぁっとため息をつく。
「というのが国王陛下のお言葉だ」
はい?
つまり、俺にこの国の未来がかかってるってことですか?
「もし、使者を怒らせたら?」
俺は、アンリに訊ねた。アンリは、貴族っぽい笑みを俺に向けた。
「お前ならうまくやってくれるだろう?ルシウス」
俺は、急いで部屋へと戻るとルトに指示して風呂の用意をさせた。そして、俺が湯船に浸かっている間に、ルトにお茶のために菓子を用意してもらった。
作り方は、簡単で、俺がたまに調理場でも作っている菓子だ。
米粉を湯で溶いてそれを焼いて茹でた豆を砂糖で煮たものを挟んで香りのよい木の葉っぱで巻いたもの。
まあ、前世の饅頭もどきなんだが、たまたま昼間に俺が作っていたのが数個残っていた。
俺は、ルトに指示を出しながら湯からあがると体を拭いた。俺がそのまま服を着ようとするとルトに止められる。
「もしかしたらまた、勇者のときみたいになるかもしれない」
俺は、頷くとベッドに横になり尻の洗浄をする。ルトが横になった俺の全身に香油を塗ってくれる。
「軍事国家から来た連中だし、勇者よりやばいかも」
心配するルトに俺は、笑って見せる。
「大丈夫だ、ルト。俺を誰だと思っている?」
だが。
俺の心には、暗雲が垂れ込めていた。
「いったいどういうことだよ?」
俺がアンリの執務室へと押し掛けるとアンリは、しれっとして言った。
「国王陛下からの紹介状付きの客だし上客だぞ。よろこべ、ルシウス」
「はぁ?」
俺は、アンリに近づいていくとどん、と執務机を手で叩いた。
「俺は、もう身請けされるんじゃないのか?」
「それまでは、ただの男娼だからな。客もとるだろう?」
アンリが答えるので俺は、むかっとして言った。
「絶対にお断り、だ」
「じゃあ、この王国が戦争に巻き込まれてもいいんだな?ルシウス」
アンリが俺を射貫くように見た。
「今、ここに来てる客は、あの、軍事国家ジニアス王国の使者だ」
ジニアス王国?
わかってない俺にアンリが説明した。
「ジニアス王国は、3年前に前王が死に新しく前王の子であるマルキア王が即位したんだ」
俺の記憶では、ジニアス王国は、南方の小国だった。それが、3年前にマルキア・ディアス・ジニアス王が即位して以来、周辺の国への侵略が始まったのだという。
「今、ジニアスは、隣国ボローニャ王国へ進軍中だ。このままいけば、我がエイダース王国も他人事ではないな」
アンリが言うので俺は、訊ねた。
「それが俺となんの関係があるんだ?」
「ジニアス王国からの使者は、お前にずいぶん興味をお持ちのようでな。もしかしたらここでお前がうまくもてなせば友好な関係を築けるかもしれない」
アンリがはぁっとため息をつく。
「というのが国王陛下のお言葉だ」
はい?
つまり、俺にこの国の未来がかかってるってことですか?
「もし、使者を怒らせたら?」
俺は、アンリに訊ねた。アンリは、貴族っぽい笑みを俺に向けた。
「お前ならうまくやってくれるだろう?ルシウス」
俺は、急いで部屋へと戻るとルトに指示して風呂の用意をさせた。そして、俺が湯船に浸かっている間に、ルトにお茶のために菓子を用意してもらった。
作り方は、簡単で、俺がたまに調理場でも作っている菓子だ。
米粉を湯で溶いてそれを焼いて茹でた豆を砂糖で煮たものを挟んで香りのよい木の葉っぱで巻いたもの。
まあ、前世の饅頭もどきなんだが、たまたま昼間に俺が作っていたのが数個残っていた。
俺は、ルトに指示を出しながら湯からあがると体を拭いた。俺がそのまま服を着ようとするとルトに止められる。
「もしかしたらまた、勇者のときみたいになるかもしれない」
俺は、頷くとベッドに横になり尻の洗浄をする。ルトが横になった俺の全身に香油を塗ってくれる。
「軍事国家から来た連中だし、勇者よりやばいかも」
心配するルトに俺は、笑って見せる。
「大丈夫だ、ルト。俺を誰だと思っている?」
だが。
俺の心には、暗雲が垂れ込めていた。
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