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6 恋と愛と欲望と
6ー3 王命
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6ー3 王命
波乱の『初回』が終わり王太子殿下が名残惜しげに去っていったのは、深夜のことだった。
俺は、1人残された部屋の中で呆然としていた。
俺が王太子殿下の側室?
「すごいな、ルシウス。玉の輿だ」
ルトがからかうように言うので俺は、思わず手元にあったクッションをルト目掛けて投げた。それを受け止めるとルトは、珍しくくすくすと笑った。
「でも、まあ、側室というのはともかく、側近ならいいんじゃないのか?あんた、一応、大魔法使いだったわけだし」
ルトが真面目に言うのに俺は、はぁっとため息をつく。
「いくらなんでも元男娼が次期王の側近なんてあり得ない」
その後、俺がルトにお湯を用意してもらい沐浴し夜着に着替えて休もうとしていたらアンリからの呼び出しがあった。
「なんだよ?俺、もう、休もうと思ってたんだけど」
俺が不機嫌さを隠そうともせずに言ってもアンリは、軽く笑って訊ねた。
「王太子殿下との『初回』は、どうだった?」
「最悪だし」
俺は、アンリが進める前にソファに腰を下ろし彼を恨めしげに睨み付けた。
「だいたい昔の学校の知り合いって。そんな客、ごめんだよ」
「それは、そうかもしれないが」
アンリは、俺の前に腰を下ろすと口許だけを綻ばした。
「王太子殿下の熱病を癒して欲しいというのが今回の依頼なんだよ、ルシウス」
熱病?
俺は、信じられないものを見るようにアンリを見た。
「なんでそんなこと」
「ああ。私も断れるなら断りたかった。だが、今回ばかりは、袖にするわけにはいかないんだよ。なにしろ、王命だからな」
「王命?」
俺がきくとアンリが頷く。
「そう。これは、王命、だ。お前に王太子殿下の熱を冷まして欲しいと国王直々に手紙をいただいた」
というわけで。
それから3日後、俺は、再び、俺の部屋で王太子殿下と会っていた。
『裏』のときには、ほとんど客と俺が触れあうことはない。
だが、王太子殿下には、そんなことは言えなかった。
だって、王太子殿下は、会うとすぐに俺の手を握ってくるから!
「会いたかった、ルシウス」
王太子殿下は、俺をソファに座らせると自分もその隣に腰を下ろした。
「あれから3日間、朝も昼も夜もずっとあなたのことだけを考えていた」
「それは、光栄なことでございます、スミルナ殿下」
俺は、かなり引いていたが笑顔は崩さない。そのまま、俺たちは、真夜中過ぎるまで学生時代の思い出話に花を咲かせた。
そして、夜の闇に紛れて王太子殿下が帰っていくとき、俺は、そっと彼の腕に手をかけ囁いた。
「次にお会いできる日を楽しみにしております、スミルナ殿下」
波乱の『初回』が終わり王太子殿下が名残惜しげに去っていったのは、深夜のことだった。
俺は、1人残された部屋の中で呆然としていた。
俺が王太子殿下の側室?
「すごいな、ルシウス。玉の輿だ」
ルトがからかうように言うので俺は、思わず手元にあったクッションをルト目掛けて投げた。それを受け止めるとルトは、珍しくくすくすと笑った。
「でも、まあ、側室というのはともかく、側近ならいいんじゃないのか?あんた、一応、大魔法使いだったわけだし」
ルトが真面目に言うのに俺は、はぁっとため息をつく。
「いくらなんでも元男娼が次期王の側近なんてあり得ない」
その後、俺がルトにお湯を用意してもらい沐浴し夜着に着替えて休もうとしていたらアンリからの呼び出しがあった。
「なんだよ?俺、もう、休もうと思ってたんだけど」
俺が不機嫌さを隠そうともせずに言ってもアンリは、軽く笑って訊ねた。
「王太子殿下との『初回』は、どうだった?」
「最悪だし」
俺は、アンリが進める前にソファに腰を下ろし彼を恨めしげに睨み付けた。
「だいたい昔の学校の知り合いって。そんな客、ごめんだよ」
「それは、そうかもしれないが」
アンリは、俺の前に腰を下ろすと口許だけを綻ばした。
「王太子殿下の熱病を癒して欲しいというのが今回の依頼なんだよ、ルシウス」
熱病?
俺は、信じられないものを見るようにアンリを見た。
「なんでそんなこと」
「ああ。私も断れるなら断りたかった。だが、今回ばかりは、袖にするわけにはいかないんだよ。なにしろ、王命だからな」
「王命?」
俺がきくとアンリが頷く。
「そう。これは、王命、だ。お前に王太子殿下の熱を冷まして欲しいと国王直々に手紙をいただいた」
というわけで。
それから3日後、俺は、再び、俺の部屋で王太子殿下と会っていた。
『裏』のときには、ほとんど客と俺が触れあうことはない。
だが、王太子殿下には、そんなことは言えなかった。
だって、王太子殿下は、会うとすぐに俺の手を握ってくるから!
「会いたかった、ルシウス」
王太子殿下は、俺をソファに座らせると自分もその隣に腰を下ろした。
「あれから3日間、朝も昼も夜もずっとあなたのことだけを考えていた」
「それは、光栄なことでございます、スミルナ殿下」
俺は、かなり引いていたが笑顔は崩さない。そのまま、俺たちは、真夜中過ぎるまで学生時代の思い出話に花を咲かせた。
そして、夜の闇に紛れて王太子殿下が帰っていくとき、俺は、そっと彼の腕に手をかけ囁いた。
「次にお会いできる日を楽しみにしております、スミルナ殿下」
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