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3 歴史は、夜に作られる。

3ー7 流行り病

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 3ー7 流行り病

 「すまないね、ルシウス。君には無理をさせてしまった」
 宰相は、ベッドヘッドにもたれて座って膝の上に頭をのせて彼の腰にすがり付いてうつむきで横たわっている俺の髪を撫でた。
 俺は、宰相との激しい交わりのため身動きがとれなかった。
 ただ、心地よさの余韻に浸っている俺に宰相は話しかけた。
 「君のことは、ラグダム辺境伯からきいて興味を持った。ただ、私が興味を持ったのは、君の知性だった。それがまさか、こんなにも心奪われるとは思ってもいなかった」
 「宰相閣下?」
 俺が顔をあげると宰相は、目を細めた。
 「シャルと呼んでくれないか、ルシウス」
 宰相は、屈み込むと俺の唇にキスをした。
 「本当は、君にならいい提案をもらえるかと思って通っていたんだが、そんなことどうでもよくなってきたよ」
 「何の提案ですか?・・シャル」
 俺は、ゆらりと体を起こして彼の前に座ってシャルの目を見つめた。シャルは、俺の髪を手にもって口づけた。
 「・・王都に夏に流行る病のことだ」
 このエイダース王国の王都には、夏になると奇妙な病が流行る。その病にかかると高熱がでて、嘔吐、腹痛などの症状が起こる。症状が重くなると死に至ることもあり実際に何人もの民がこの病で死んでいた。
 俺は、少し考えてから口を開いた。
 「それは、たぶん食あたりでは?」
 「食あたり?」
 「ええ、食中毒とも言いますが、夏場に悪い菌が繁殖したものを食べることでなる病気です」
 「食中毒?」
 宰相がキョトンとしているのを見て俺は、慌てて付け加えた。
 「ようするに悪い食べ物を食べたことで病気になっているんです」
 「それは、どうすればいいんだ?」
 宰相が真剣な表情で俺に訊ねた。
 「何をすれば防げる?」
 「まず、手を洗うことを習慣にすることを広めてください。それから食べ物は、必ず高温で火を通すようにして。後は、水魔法使いや魔道具師に食べ物を冷やす装置を作らせてください」
 「食べ物を冷やす?なんのために?」
 宰相にきかれて俺は、答えた。
 「その病気の原因となるものは湿度や温度が高いと増えてしまうからです。冷やすことで病気の原因となるものの活動を押さえられるんです」
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