104 / 117
8 拐われて
8ー6 風呂
しおりを挟む
8ー6 風呂
俺は、気分が悪くなった。
フォルツァートは、犯罪者だ!
俺だけじゃなく、自分の実の子にまでこんなことを!
俺がなんとかしなくては!
俺は、イーサンに訊ねた。
「ここは、どこなんだ?」
俺の質問にイーサンは、首を傾げた。
「知らない」
イーサンは、この前、俺を拐うためにラミリアの屋敷に潜り込んだのが唯一の外の世界との関わりだったようで、まったく外界のことを知らないようだった。
だた、ここがフォルツァートの王都の屋敷だということ、それと屋敷には、イーサンの腹違いの妹が住んでいることもわかった。
イーサンが『お嬢様』と呼んでいる令嬢になんとか連絡がとれないものか、と俺は、思ってイーサンにきいたが、イーサンは、頑なに『お嬢様』と俺が関わりを持つことを防ごうとしているようだった。
「お嬢様には、僕たちみたいな汚ならしい男娼は、近づいちゃダメだってお父様がおっしゃってるから僕もあまり話したことがないんだ」
イーサンが少し寂しげに話した。
「お嬢様は、僕とは違って汚れのない天使だから」
食事が終わると俺は、イーサンに身体を洗いたいと頼んだ。イーサンは、困ったような顔をしていた。
「でも、身体は、きれいにしてあげたんだけど」
「それでも、お湯で清めたいんだ」
俺は、イーサンに頼み込んだ。
イーサンは、悩んでいたが、俺がしつこく頼むと渋々頷いた。
「お湯を使うときは、屋敷の使用人の部屋に行かなくちゃいけないし。ほんとは、僕、リチャードのこと、ここから出しちゃいけないんだけど。でも、僕、リチャードのこと、お父様とお嬢様の次に好きだから、特別だよ」
イーサンは、裸の俺に首輪をつけると首輪にチェーンを繋いだ。そして、足と手にも枷をつけた。
「もし、逃げようとしたらまた、お仕置きだからね!いい?リチャード。約束は守ってよ?」
俺がこくこくと頷くと、イーサンは、俺をつれて地下室の外へと出た。きしむ階段を上がっていくと廊下に出た。イーサンは、俺の首輪につけたチェーンをひいて俺を廊下の端の小部屋へと連れ込んだ。
そこは、使用人用の部屋のようだった。ベッドが1つ置かれた部屋の隣に続く扉を開けてイーサンは、俺を風呂桶の置かれたカビ臭い窓もない部屋へと導いた。
「ここは、僕の専用の部屋なんだ。いいだろ?お父様が僕のために用意してくれた部屋なんだよ」
桶に水が張られていて、イーサンは、俺に入るように告げた。
どうやら風呂桶の水は、この屋敷の使用人が用意してくれたようだった。イーサンいわく、彼が屋敷の主に特別な奉仕をした時には、お湯を入れてもらえるんだとか。
「今日は、水だけど、ごめんね」
イーサンが申し訳なさげに俺に言った。
こいつ、そんな悪い奴じゃないな。
イーサンから伝わってくる思念は、そんな悪いものじゃないし。
俺は、イーサンに身体を洗う間一人にして欲しいと頼んだ。
俺は、気分が悪くなった。
フォルツァートは、犯罪者だ!
俺だけじゃなく、自分の実の子にまでこんなことを!
俺がなんとかしなくては!
俺は、イーサンに訊ねた。
「ここは、どこなんだ?」
俺の質問にイーサンは、首を傾げた。
「知らない」
イーサンは、この前、俺を拐うためにラミリアの屋敷に潜り込んだのが唯一の外の世界との関わりだったようで、まったく外界のことを知らないようだった。
だた、ここがフォルツァートの王都の屋敷だということ、それと屋敷には、イーサンの腹違いの妹が住んでいることもわかった。
イーサンが『お嬢様』と呼んでいる令嬢になんとか連絡がとれないものか、と俺は、思ってイーサンにきいたが、イーサンは、頑なに『お嬢様』と俺が関わりを持つことを防ごうとしているようだった。
「お嬢様には、僕たちみたいな汚ならしい男娼は、近づいちゃダメだってお父様がおっしゃってるから僕もあまり話したことがないんだ」
イーサンが少し寂しげに話した。
「お嬢様は、僕とは違って汚れのない天使だから」
食事が終わると俺は、イーサンに身体を洗いたいと頼んだ。イーサンは、困ったような顔をしていた。
「でも、身体は、きれいにしてあげたんだけど」
「それでも、お湯で清めたいんだ」
俺は、イーサンに頼み込んだ。
イーサンは、悩んでいたが、俺がしつこく頼むと渋々頷いた。
「お湯を使うときは、屋敷の使用人の部屋に行かなくちゃいけないし。ほんとは、僕、リチャードのこと、ここから出しちゃいけないんだけど。でも、僕、リチャードのこと、お父様とお嬢様の次に好きだから、特別だよ」
イーサンは、裸の俺に首輪をつけると首輪にチェーンを繋いだ。そして、足と手にも枷をつけた。
「もし、逃げようとしたらまた、お仕置きだからね!いい?リチャード。約束は守ってよ?」
俺がこくこくと頷くと、イーサンは、俺をつれて地下室の外へと出た。きしむ階段を上がっていくと廊下に出た。イーサンは、俺の首輪につけたチェーンをひいて俺を廊下の端の小部屋へと連れ込んだ。
そこは、使用人用の部屋のようだった。ベッドが1つ置かれた部屋の隣に続く扉を開けてイーサンは、俺を風呂桶の置かれたカビ臭い窓もない部屋へと導いた。
「ここは、僕の専用の部屋なんだ。いいだろ?お父様が僕のために用意してくれた部屋なんだよ」
桶に水が張られていて、イーサンは、俺に入るように告げた。
どうやら風呂桶の水は、この屋敷の使用人が用意してくれたようだった。イーサンいわく、彼が屋敷の主に特別な奉仕をした時には、お湯を入れてもらえるんだとか。
「今日は、水だけど、ごめんね」
イーサンが申し訳なさげに俺に言った。
こいつ、そんな悪い奴じゃないな。
イーサンから伝わってくる思念は、そんな悪いものじゃないし。
俺は、イーサンに身体を洗う間一人にして欲しいと頼んだ。
195
お気に入りに追加
1,244
あなたにおすすめの小説

美貌の騎士候補生は、愛する人を快楽漬けにして飼い慣らす〜僕から逃げないで愛させて〜
飛鷹
BL
騎士養成学校に在席しているパスティには秘密がある。
でも、それを誰かに言うつもりはなく、目的を達成したら静かに自国に戻るつもりだった。
しかし美貌の騎士候補生に捕まり、快楽漬けにされ、甘く喘がされてしまう。
秘密を抱えたまま、パスティは幸せになれるのか。
美貌の騎士候補生のカーディアスは何を考えてパスティに付きまとうのか……。
秘密を抱えた二人が幸せになるまでのお話。

嫌われ者の長男
りんか
BL
学校ではいじめられ、家でも誰からも愛してもらえない少年 岬。彼の家族は弟達だけ母親は幼い時に他界。一つずつ離れた五人の弟がいる。だけど弟達は岬には無関心で岬もそれはわかってるけど弟達の役に立つために頑張ってるそんな時とある事件が起きて.....
学院のモブ役だったはずの青年溺愛物語
紅林
BL
『桜田門学院高等学校』
日本中の超金持ちの子息子女が通うこの学校は東京都内に位置する野球ドーム五個分の土地が学院としてなる巨大学園だ
しかし生徒数は300人程の少人数の学院だ
そんな学院でモブとして役割を果たすはずだった青年の物語である
悪役令息の七日間
リラックス@ピロー
BL
唐突に前世を思い出した俺、ユリシーズ=アディンソンは自分がスマホ配信アプリ"王宮の花〜神子は7色のバラに抱かれる〜"に登場する悪役だと気付く。しかし思い出すのが遅過ぎて、断罪イベントまで7日間しか残っていない。
気づいた時にはもう遅い、それでも足掻く悪役令息の話。【お知らせ:2024年1月18日書籍発売!】

被虐趣味のオメガはドSなアルファ様にいじめられたい。
かとらり。
BL
セシリオ・ド・ジューンはこの国で一番尊いとされる公爵家の末っ子だ。
オメガなのもあり、蝶よ花よと育てられ、何不自由なく育ったセシリオには悩みがあった。
それは……重度の被虐趣味だ。
虐げられたい、手ひどく抱かれたい…そう思うのに、自分の身分が高いのといつのまにかついてしまった高潔なイメージのせいで、被虐心を満たすことができない。
だれか、だれか僕を虐げてくれるドSはいないの…?
そう悩んでいたある日、セシリオは学舎の隅で見つけてしまった。
ご主人様と呼ぶべき、最高のドSを…

【完結】ぎゅって抱っこして
かずえ
BL
幼児教育学科の短大に通う村瀬一太。訳あって普通の高校に通えなかったため、働いて貯めたお金で二年間だけでもと大学に入学してみたが、学費と生活費を稼ぎつつ学校に通うのは、考えていたよりも厳しい……。
でも、頼れる者は誰もいない。
自分で頑張らなきゃ。
本気なら何でもできるはず。
でも、ある日、金持ちの坊っちゃんと心の中で呼んでいた松島晃に苦手なピアノの課題で助けてもらってから、どうにも自分の心がコントロールできなくなって……。

性悪なお嬢様に命令されて泣く泣く恋敵を殺りにいったらヤられました
まりも13
BL
フワフワとした酩酊状態が薄れ、僕は気がつくとパンパンパン、ズチュッと卑猥な音をたてて激しく誰かと交わっていた。
性悪なお嬢様の命令で恋敵を泣く泣く殺りに行ったら逆にヤラれちゃった、ちょっとアホな子の話です。
(ムーンライトノベルにも掲載しています)

王道学園の冷徹生徒会長、裏の顔がバレて総受けルート突入しちゃいました!え?逃げ場無しですか?
名無しのナナ氏
BL
王道学園に入学して1ヶ月でトップに君臨した冷徹生徒会長、有栖川 誠(ありすがわ まこと)。常に冷静で無表情、そして無言の誠を生徒達からは尊敬の眼差しで見られていた。
そんな彼のもう1つの姿は… どの企業にも属さないにも関わらず、VTuber界で人気を博した個人VTuber〈〈 アイリス 〉〉!? 本性は寂しがり屋の泣き虫。色々あって周りから誤解されまくってしまった結果アイリスとして素を出していた。そんなある日、生徒会の仕事を1人で黙々とやっている内に疲れてしまい__________
※
・非王道気味
・固定カプ予定は無い
・悲しい過去🐜のたまにシリアス
・話の流れが遅い
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる