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8 拐われて
8ー5 悪夢
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8ー5 悪夢
次に俺が目覚めたとき、俺は、裸のまま地下室のベッドに寝かされていた。
「・・夢じゃ、なかった・・」
俺は、深いため息をついてから身体を起こした。
俺の身体は、もう、縛られてはいなかった。
ベッドのシーツも清潔なものに取り替えられていてたし、俺の身体も拭き清められていた。
俺は、シーツを身体に巻き付けてベッドからおり、地下室の扉へと向かった。
だが、そこには鍵が外からかかっていて逃げられそうになかった。
どうにかして逃げなくては。
俺は、地下室の扉をどんどん叩きながら叫んだ。
「誰か!助けてくれ!」
声が嗄れるまで俺は、叫び続けた。
だが、誰も来るものはいなかった。
俺は、ずるずるとその場に座り込んで吐息を漏らした。
もう、俺は、エドに会うことすらできないのか?
そう考えて俺は、ふっと自嘲した。
もう、俺は、汚されてしまった。
エドにあわせる顔がない。
例えここから逃げ出せたとしてももう、俺に還る場所などない。
俺は、ゆらりと立ち上がるとベッドへともどりそこに腰かけた。
エド
俺、いったいどうしたらいいんだ?
涙が滲んでくるが、俺は、頭を振って涙をはらった。
しっかりしろ!
俺は、生きなくてはいけない。
ディアとの約束だ!
生きて、いつか彼と出会う。
それまで、俺は、生きなくては!
そのとき、かたん、と音がして地下室のドアが開いた。
メイド姿のイーサンが籠を手に下げて入ってくる。
「起きてたんだね、リチャード」
イーサンは、屈託のない笑顔で俺に微笑んだ。
イーサンは、ベッドサイドのテーブルに籠を置くと俺にパンとスープの食事を差し出した。
「晩御飯は、もっとご馳走を用意するから」
イーサンがベッドの俺の隣に腰かけて自分もパンとスープを食べた。
「ほんとは、僕、1日1回しかご飯をもらえないんだけど、今日は、よくがんばったからって昼もご飯をもらえたんだ」
うん?
もしかしてイーサンって見た目より・・まあ、見た目は女装してるしなんだけど、すごく幼い感じ?
俺は、パンを食べながらイーサンにきいた。
「お前、年いくつ?」
「よくわからない。でも、たぶん20才ぐらいだと思う。だって、お嬢様が産まれてからもう、17年経ったから。お嬢様が産まれたときには、僕、もう3才にはなってたと思うから」
イーサンがもぐもぐ食事を食べているのを俺は、じっと見つめていた。
もしかしてこいつも俺と同じ被害者なのか?
フォルツァートは、こいつのこと身分が低いメイドが産んだ子とかいってたけど。
「お前とフォルツァートって」
「お父様のこと?」
イーサンがごくん、とスープを飲み干すとぐいっと手の項で口を拭った。
「お父様は、母さんが死んでいく場所がなくなった僕を引き取って育ててくれた方なんだ。きっと、リチャードもお父様のこと、好きになるよ」
イーサンが俺のことを見つめてにっこりと笑った。
「そしたら、3人で気持ちいいことしようね、リチャード」
はい?
俺は、嫌なことに気づいてしまった気がした。
もしかして、こいつにああいうこと教えたのは。
「お前、もしかしてフォルツァートと俺にしたみたいなことしてるのか?」
「うん」
イーサンは、こくりと頷いた。
「お父様がお前は、筋がいいって。こういうことするためにお前は,生まれてきたんだって言ってた」
次に俺が目覚めたとき、俺は、裸のまま地下室のベッドに寝かされていた。
「・・夢じゃ、なかった・・」
俺は、深いため息をついてから身体を起こした。
俺の身体は、もう、縛られてはいなかった。
ベッドのシーツも清潔なものに取り替えられていてたし、俺の身体も拭き清められていた。
俺は、シーツを身体に巻き付けてベッドからおり、地下室の扉へと向かった。
だが、そこには鍵が外からかかっていて逃げられそうになかった。
どうにかして逃げなくては。
俺は、地下室の扉をどんどん叩きながら叫んだ。
「誰か!助けてくれ!」
声が嗄れるまで俺は、叫び続けた。
だが、誰も来るものはいなかった。
俺は、ずるずるとその場に座り込んで吐息を漏らした。
もう、俺は、エドに会うことすらできないのか?
そう考えて俺は、ふっと自嘲した。
もう、俺は、汚されてしまった。
エドにあわせる顔がない。
例えここから逃げ出せたとしてももう、俺に還る場所などない。
俺は、ゆらりと立ち上がるとベッドへともどりそこに腰かけた。
エド
俺、いったいどうしたらいいんだ?
涙が滲んでくるが、俺は、頭を振って涙をはらった。
しっかりしろ!
俺は、生きなくてはいけない。
ディアとの約束だ!
生きて、いつか彼と出会う。
それまで、俺は、生きなくては!
そのとき、かたん、と音がして地下室のドアが開いた。
メイド姿のイーサンが籠を手に下げて入ってくる。
「起きてたんだね、リチャード」
イーサンは、屈託のない笑顔で俺に微笑んだ。
イーサンは、ベッドサイドのテーブルに籠を置くと俺にパンとスープの食事を差し出した。
「晩御飯は、もっとご馳走を用意するから」
イーサンがベッドの俺の隣に腰かけて自分もパンとスープを食べた。
「ほんとは、僕、1日1回しかご飯をもらえないんだけど、今日は、よくがんばったからって昼もご飯をもらえたんだ」
うん?
もしかしてイーサンって見た目より・・まあ、見た目は女装してるしなんだけど、すごく幼い感じ?
俺は、パンを食べながらイーサンにきいた。
「お前、年いくつ?」
「よくわからない。でも、たぶん20才ぐらいだと思う。だって、お嬢様が産まれてからもう、17年経ったから。お嬢様が産まれたときには、僕、もう3才にはなってたと思うから」
イーサンがもぐもぐ食事を食べているのを俺は、じっと見つめていた。
もしかしてこいつも俺と同じ被害者なのか?
フォルツァートは、こいつのこと身分が低いメイドが産んだ子とかいってたけど。
「お前とフォルツァートって」
「お父様のこと?」
イーサンがごくん、とスープを飲み干すとぐいっと手の項で口を拭った。
「お父様は、母さんが死んでいく場所がなくなった僕を引き取って育ててくれた方なんだ。きっと、リチャードもお父様のこと、好きになるよ」
イーサンが俺のことを見つめてにっこりと笑った。
「そしたら、3人で気持ちいいことしようね、リチャード」
はい?
俺は、嫌なことに気づいてしまった気がした。
もしかして、こいつにああいうこと教えたのは。
「お前、もしかしてフォルツァートと俺にしたみたいなことしてるのか?」
「うん」
イーサンは、こくりと頷いた。
「お父様がお前は、筋がいいって。こういうことするためにお前は,生まれてきたんだって言ってた」
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