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7 新しい命

7ー13 地下室

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 7ー13 地下室

 「君の方が俺なんかよりずっときれいだと思うけどな」
 俺は、小声で呟いた。
 もし、俺が普通の女なら、俺は、エドワードと結ばれることはなかっただろう。
 それどころか田舎の男爵家のそれも、目立つところのない、芋娘なんて嫁の貰い手もなかったかも。
 俺みたいなモブがエドと結婚なんて、今でも信じられない。
 しかも、エドの子供まで授かって。
 俺は、最初は、女神の祝福を疎ましく思っていたんだが、今となっては、感謝こそしないまでも、そんなに悪くもなかったのかも、と思っていた。
 俺は、メイドの差し出す白いシャツをまとうとズボンを脱いで新しいものと着替えた。
 メイドは、その間もギラギラ光る目で俺の体を見つめていた。
 「そんなに見つめられたら恥ずかしいよ」
 俺は、少し冗談めかして告げた。俺の言葉をきいてそのメイドは、にぃっと笑った。
 「そんなに恥ずかしがらないでいいんですよ。じきに慣れて、恥ずかしくもなくなりますから」
 はい?
 俺が彼女の方を見たとき、不意に彼女が隠し持っていた香水のようなものを俺に向かって吹き掛けた。
 この匂いは・・
 俺は、すぅっと意識が遠退くのを感じていた。
 
 うん・・
 なんだか、体中が痛い?
 「・・んぅ・・」
 低く呻いてゆっくりと目を開ける。
 薄暗がりの中で、俺は、寝台の上に寝かされていた。
 ここは、どこだ?
 俺は、起き上がろうとして手足が縛られていることに気づいた。
 俺は、寝台の上に大の字になって縛られていた。
 しかも、俺は、裸だった。
 部屋の中は、薄暗かったが隅にある暖炉には炎が燃えていて肌寒くはなかった。
 俺は、部屋の中を見回した。
 どこにでもあるような地下室のようだったが、壁には、奇妙な拷問の道具のようなものがいくつもかけられていて薄気味が悪かった。
 そうこうしている内に俺は、尿意を感じてきて。
 体を必死に揺らして堪えていたがいつまでたっても誰も来る様子もないし。
 俺は、声を張り上げた。
 「誰か!誰か、来て!」
 だが、いっこうに人が来る様子はなかった。
 俺は、涙目になっていた。
 開かれた足を懸命に閉じようとしていたが、無理だし。
 あまりに強い尿意を堪えているために俺のそこは、固く立ち上がってきていた。
 「誰かっ!」
 俺は、大声で叫んだ。
 でも、誰も返事はなかった。
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