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7 新しい命

7ー8 別れ

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 7ー8 別れ

 ディアは、遠征先の寒村で魔物に襲われた子供を助けようとして死んだ。
 俺は、ディアの死を聞かされてすぐに家を飛び出し騎士団の詰め所へと向かった。
 突然現れた俺の姿を見て同僚たちはざわめいた。
 彼らの刺すような冷たい視線を感じて俺は、身が縮む思いがしていた。
 「リチャード!」
 背後からリィンの声がして俺は、振り向いた。リィンは、何も言うことなく俺の腕を掴んで詰め所の裏へと引っ張っていく。
 「今さら何しに来たんだ?」
 リィンに問われて俺は、返す言葉がなかった。
 リィンからは、静かな怒りとそれと蔑みが伝わってくる。
 「騎士団長・・の遺体、は?」
 俺は、ようやくそれだけ言葉を絞り出した。リィンは、鼻で笑った。
 「そんなもの、もうない。レイダース騎士団長は、魔物に喰われて死んだんだ!体の半分以上を喰いちぎられて・・それでも、騎士団長は、最後までお前の名を呼んでいたんだ!お前に渡してくれって、クマの人形を・・見たのか?騎士団長がお前にって・・」
 リィンは、言いながら涙を流していた。俺も、いつの間にか泣いていた。
 リィンは、俺の肩を掴んで俺を睨み付けた。
 「レイダース騎士団長は、お前を呼んでたんだ!なのに!お前は、レイダース騎士団長が葬られるってときになっても姿を現さなかった!なあ?本当なのか?お前が・・男と一緒だったって?お前は、男娼よりも汚ねぇ!最低だ!レイダース騎士団長がお前の名を呼びながら死んでいこうってときにお前って奴は!男といちゃついてったって?信じられねぇ!」
 俺は、リィンに何も言い返せなかった。
 リィンは、俺に背を向けると振り返りもせずに告げた。
 「もう、帰ってくれ・・そして、2度とここにはこないでくれ。頼む。俺にお前を殴らせるようなことはしないでくれ」
 俺は、去っていくリィンの背中をいつまでも見つめて立ちつくした。
 王都には、冷たい雪が降っていて。
 俺は、その場に崩れ落ちて嗚咽した。
 ディア・・
 俺は、心の中で彼の名を呼んだ。
 だが、それに応える者は、もうどこにもいなかった。
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