乙女系モブ騎士は、只今絶賛婚活中～子作りを前提にお付き合いを希望しているのになぜか男ばかりに執着されています～

7 新しい命

7ー7 報せ

　７ー７　報せ

　俺とエドが王都に戻ったのは、それから一週間が過ぎてからのことだった。
　一週間の間、俺とエドは、アデレイド公爵家の避暑用の屋敷にこもって愛し合い続けていた。
　もう、お互いに何がなんだかわからなくなるぐらいお互いを求めあい、与えあった。
　何度も何度もお互いの名を呼びあい、そして、愛していると囁いた。
　これから何があったとしても、俺は、この一週間のことをきっと生涯忘れることはないだろう。
　馬車で王都を目指す途中、俺とエドは、お互いの指に指を絡めて片時も体を離すことはなかった。
　俺は、幸せな気持ちでいっぱいだった。
　エドも。
　彼から伝わる俺への愛情は、ストレートで恥ずかしくなるほどだった。
　「王都に戻ったらすぐに結婚しよう」
　エドは、俺を抱き寄せて囁いた。
　本来、俺たちの国では、男同士の婚姻は、認められないのだが、今回は、特別だった。
　女神が決めた運命の相手であり、やがては、俺は、彼の子を産むことになっていた。
　もしかしたら・・
　俺は、自分の腹にそっと手を押し当てた。
　もう、ここにエドの子供がいるのかもしれない。
　エドは、そんな俺を優しい眼差しで見つめていた。
　『リチャードが身籠っていたならいいのに！私と彼の子供か。きっとかわいいに違いない』
　エドは、俺を彼の屋敷に連れ帰ろうとしたが、俺は、いったん兄達が待つ家に戻りたいと望んだ。
　俺たちが乗った馬車が家の前につくと、兄達が待っていた。
　俺は、なんだか気恥ずかしくて。
　もし、令嬢ならとんだスキャンダルだ。
　すぐにでも結婚しなくてはならないだろう。
　俺は、顔が熱くなって兄達の顔が見れなかった。
　「リチャード！」
　クリストファー兄が俺に駆け寄り抱き締められる。
　「心配したんだぞ！」
　「兄上・・すみませんでした」
　クリストファー兄は、俺をかばうように抱いて家の中へと導いた。
　ロベルト兄は、エドと話しているようで入ってこなかった。
　寒い外から暖かなリビングに入るとほぅっと吐息が漏れる。
　リビングのソファに座った俺は、テーブルに置かれたクマの人形の置物に気づいた。
　たぶん、ディアがいってた人形だ！
　俺は、クマを手にとって眺めた。
　ディアへの罪悪感に胸がちくりと痛む。だが、俺はエドを選んだのだ。そのことに後悔などなかった。
　「リチャード・・落ち着いて聞いてくれ」
　クリストファー兄が深刻な表情で俺を見た。
　「グレイアース・ディア・レイダースが死んだ」