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6 愛と情熱の間で
6ー6 約束
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6ー6 約束
俺は、兄達に責められているディアが気の毒になっていた。
「ディアは、悪くない!規律を乱そうとした俺が悪かったんだ!」
俺がいうと兄達は、目を見張っていた。
無理もない。
普段、俺は、そんなに兄達に逆らうことはない。
まあ、逆らっているわけではないが、兄達が追求しているディアの味方をしているのだ。兄達からすれば腹がたつことだろう。
「俺が・・エドのところに行って羽目を外したからお仕置きされただけなんだ!ディアは、悪くない!」
俺がいうのをきいていたロベルト兄は、くっくっと笑った。
「かつての師匠か?ほんとにリチャードは、義理堅い」
「そんなんじゃ!」
俺は、かぁっと顔が火照るのを感じていた。
ただ、俺にとっては、ディアは、大切な人なのだ。
たとえ、道を間違えたとしても俺は、彼を信じている。
夜が更ける頃、ディアが家から去ろうとした。
俺は、玄関までディアを送った。
ディアは、玄関の暗闇に紛れて馬車に乗り込むとき、そっと俺を抱き締めた。
「すまなかった、ライナス。俺は、アデレイドに嫉妬していた。それでお前のことを責めてしまった。許してくれ」
ディアに俺は、なぜか同情していた。
ディアを慰めたい。
俺は、そう思っていた。
玄関に見送りに来ていたのは俺だけで、他には数人の使用人しかいなかった。
ディアは、今夜は、実家の馬車で訪れていた。
俺は、馬車に乗り込むディアと一緒に馬車に乗り込むとディアにキスをした。
エドにしてもディアにしても俺からキスしたのはこれが初めてで。
俺は、懸命にディアに口づけたが歯をぶつけてしまいディアの唇の端が少し切れてしまった。
「ご、ごめん、ディア」
俺は、必死にディアの口の端を舐めて癒そうとした。
ディアは、無言で。
でも、俺には、ディアの心の内が伝わってきた。
『こんな・・一生懸命に俺の唇を舐めて。なんてけなげなんだ。ああっ!この人を離したくない!このまま連れ去りたい!だが・・それでは、ダメだ。俺は、ライナスを幸せにすると誓ったんだ。このまま奪っては、いけないんだ』
ディアは、俺のことを見つめてぎゅっと抱き締めた。そして、すぐに体を離し俺の頭を優しく撫でた。
「しばらく騎士団の遠征があるから来れないが、次に来るときはあの猫の置物の番を持ってくる」
「ディア・・」
俺は、頬に触れたディアの手の温もりに目を閉じた。
その暖かい、ごつごつした手に俺は、心が不思議に安らいでいた。
俺は、ディアの手に自分の手を重ねた。
「約束だよ、ディア」
俺は、兄達に責められているディアが気の毒になっていた。
「ディアは、悪くない!規律を乱そうとした俺が悪かったんだ!」
俺がいうと兄達は、目を見張っていた。
無理もない。
普段、俺は、そんなに兄達に逆らうことはない。
まあ、逆らっているわけではないが、兄達が追求しているディアの味方をしているのだ。兄達からすれば腹がたつことだろう。
「俺が・・エドのところに行って羽目を外したからお仕置きされただけなんだ!ディアは、悪くない!」
俺がいうのをきいていたロベルト兄は、くっくっと笑った。
「かつての師匠か?ほんとにリチャードは、義理堅い」
「そんなんじゃ!」
俺は、かぁっと顔が火照るのを感じていた。
ただ、俺にとっては、ディアは、大切な人なのだ。
たとえ、道を間違えたとしても俺は、彼を信じている。
夜が更ける頃、ディアが家から去ろうとした。
俺は、玄関までディアを送った。
ディアは、玄関の暗闇に紛れて馬車に乗り込むとき、そっと俺を抱き締めた。
「すまなかった、ライナス。俺は、アデレイドに嫉妬していた。それでお前のことを責めてしまった。許してくれ」
ディアに俺は、なぜか同情していた。
ディアを慰めたい。
俺は、そう思っていた。
玄関に見送りに来ていたのは俺だけで、他には数人の使用人しかいなかった。
ディアは、今夜は、実家の馬車で訪れていた。
俺は、馬車に乗り込むディアと一緒に馬車に乗り込むとディアにキスをした。
エドにしてもディアにしても俺からキスしたのはこれが初めてで。
俺は、懸命にディアに口づけたが歯をぶつけてしまいディアの唇の端が少し切れてしまった。
「ご、ごめん、ディア」
俺は、必死にディアの口の端を舐めて癒そうとした。
ディアは、無言で。
でも、俺には、ディアの心の内が伝わってきた。
『こんな・・一生懸命に俺の唇を舐めて。なんてけなげなんだ。ああっ!この人を離したくない!このまま連れ去りたい!だが・・それでは、ダメだ。俺は、ライナスを幸せにすると誓ったんだ。このまま奪っては、いけないんだ』
ディアは、俺のことを見つめてぎゅっと抱き締めた。そして、すぐに体を離し俺の頭を優しく撫でた。
「しばらく騎士団の遠征があるから来れないが、次に来るときはあの猫の置物の番を持ってくる」
「ディア・・」
俺は、頬に触れたディアの手の温もりに目を閉じた。
その暖かい、ごつごつした手に俺は、心が不思議に安らいでいた。
俺は、ディアの手に自分の手を重ねた。
「約束だよ、ディア」
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