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6 愛と情熱の間で

6ー4 猫とクマ

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 6ー4 猫とクマ

 俺たちは、エルサ夫人の見守りのもとで過ごしていた。
 兄達が帰ってくる頃、エドは、帰っていった。
 「一緒に夕食を食べていけばいいのに」
 俺がいうとエドは、そっと玄関の扉の影で俺を抱きよせて俺の頬に素早くキスを落とした。
 「エド!ダメだ。エルサ夫人が・・」
 「大丈夫だ。彼女なら私の従者が引き留めてくれている。うんと品行方正に過ごしたんだ。少しだけご褒美をもらってもいいだろう?」
 そう言ってエドは、俺に口づけした。
 キスは、あっという間に深まっていき、俺は、夢中で彼にしがみついていた。
 やがて、エドは、名残惜しげに俺の唇から唇を離すとちゅっと音をたてて俺の頬にキスをした。
 「愛しているよ、ライナス。また、明日」
 エドが帰るのとほぼ同時に兄達が帰ってくる。
 そして、夕方になると仕事を終えたディアがやってくる。
 ディアは、俺に小さな可愛い猫の置物を差し出した。
 恥ずかしげに差し出されたお土産を受け取ると俺は、小声で礼をいった。
 「ありがとう、ディア」
 「気にするな。俺が買いたかっただけだ」
 そっけない態度とは裏腹に、ディアの心の中は、騒がしい。
 『なんて可愛らしい!あの猫の置物。少しライナスに似ているから。それで買ったんだ。そんなこと言ったら・・嫌われるかな?ライナス・・愛しいライナス。そんな無防備に笑顔を向けないでくれ!抱き締めたくなってしまうから!』
 俺とディアは、夕食まで2人でリビングで話した。
 まあ、お目付け役であるエルサ夫人はいるんだが。
 ディアは、ほとんど話さない。
 彼は、俺が話すことに黙って耳を傾けてくれていた。
 だが、彼の心は雄弁だ。
 「この猫・・すごく気に入りました!とってもかわいい。ありがとう、ディア」
 『なんてことだ!こんな嬉しそうに頬を染めて俺に礼を。こんなことならどちらにするか迷った、あのクマの置物も買ってくればよかった。そうすれば・・まるで俺とライナスみたい・・だとか思ってくれたかな?』
 俺は、くすっと笑った。
 「本当にありがとうございます、ディア。俺のためにいろいろ考えてくれて
感謝しています」
 
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