上 下
71 / 117
6 愛と情熱の間で

6ー1 愛している!

しおりを挟む
 6ー1 愛している!

 「君たちに話したいことがある」
 ロベルト兄が話し始める。
 俺は、肩を抱いていてくれているクリストファー兄の胸元にすがりついていた。
 『いったいなんだ?リチャードのことで何か問題でもあるのか?まさか、何かの病気なのか?ああっ!リチャードにもしものことがあれば、私は、もう!生きてはいられない!』
 『ライナスが失われるようなことがあれば、俺は・・だが・・ライナスは、兄たちとは疎遠だった筈。なぜ、兄たちが急に?』
 「実は・・弟には、女神の祝福が与えられていてね。その祝福の内容が君たちにも関わりがあるものなので今夜、ここに集まってもらったわけだ」
 ロベルト兄が2人に話し始めたのを俺は、心臓が痛いほどドキドキしながらきいていた。
 もしも。
 この話をきいて、2人が俺を拒絶するようなことがあれば・・
 俺は、胸が苦しくて。
 クリストファー兄は、うつむいている俺の背をそっと撫でて大丈夫、と囁いてくれた。
 俺は、クリストファー兄に弱々しく微笑んでみせた。
 ロベルト兄は、続けた。
 「リチャードの得た女神の祝福は、真の番の心の声が聞こえるというものだ。そして・・リチャードは、男でありながら番の子を孕むことができるのだ」
 「!」
 「なんだって?」
 エドワードとレイダース騎士団長が驚きのあまり言葉を失った。
 俺には、2人の心の声が伝わってきていた。
 『なんだって?今、彼は、リチャードが番の子供を身ごもれる、と言ったのか?そんなことが可能なのか?だが、もし、そうなら私は、彼を妻にすることができる!正式に妻にして永遠を誓うことが許される!』
 『心の声が聞こえる?もしかして俺の心の声も丸聞こえだったのか?ならば、この俺の気持ちもすでにライナスの知るところなのか?しかも、ライナスは、俺の子を孕めるのか?ライナスと俺の子供?なんてことだ!女神よ!感謝します!』
 「えっ?」
 俺は、顔をあげて2人を見つめた。2人も俺を見つめていた。
 「リチャード・・愛している!ぜひ、私の妻になって欲しい!」
 エドワードがまっすぐに俺を見て告げるのを聞いて俺は、頬が熱くなった。すぐに、レイダース騎士団長も続いた。
 「ライナス!俺もお前を愛している!俺の妻になってくれ!一生、大切にすると約束する!」
 
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

英雄の恋人(♂)を庇って死ぬモブキャラですが死にたくないので庇いませんでした

月歌(ツキウタ)
BL
自分が適当に書いたBL小説に転生してしまった男の話。男しか存在しないBL本の異世界に転生したモブキャラの俺。英雄の恋人(♂)である弟を庇って死ぬ運命だったけど、死にたくないから庇いませんでした。 (*´∀`)♪『嫌われ悪役令息は王子のベッドで前世を思い出す』の孕み子設定使ってますが、世界線は繋がりなしです。魔法あり、男性妊娠ありの世界です(*´∀`)♪

義兄に愛人契約を強要する悪役オメガですが、主人公が現れたら潔く身を引きます!

月歌(ツキウタ)
BL
おそらく、ここはBLゲームの世界。義兄は攻略対象者だ。そして、僕は義兄に愛人関係を強要する悪役モブ。いや、不味いでしょ。この関係は明らかにヤバい。僕はゲーム主人公が登場したら、兄上から潔く身を引きます!だから、主人公さん、早く来て! ☆オメガバース(独自設定あり過ぎ) ☆男性妊娠あり ☆表紙絵 AIピカソとAIイラストメーカーで作成しました。

嫌われ者の長男

りんか
BL
学校ではいじめられ、家でも誰からも愛してもらえない少年 岬。彼の家族は弟達だけ母親は幼い時に他界。一つずつ離れた五人の弟がいる。だけど弟達は岬には無関心で岬もそれはわかってるけど弟達の役に立つために頑張ってるそんな時とある事件が起きて.....

【完結】総受け主人公のはずの推しに外堀を埋められた!?

抹茶らて
BL
ソノア=ベルデ、子爵家次男でサムソン公爵家嫡男サムソン=シガンの護衛騎士であり、シガンを総受けとした小説『僕は総受けなんかじゃない!』の攻め要員の一人。そして、その作者である『俺』が転生した登場人物でもある。 最推しのシガンたんを見守るべく、奮闘する『俺』。シガンの総受けのはずの物語が、何故か書いたストーリー通りに進まず… どうして攻め要員がシガたんンを攻めないんだ?シガンたんはどうしてこっちへ迫って来るんだ? 『俺』は…物語は…どうなるんだ!? *R18は保険です(書き上げていないため…) *ノリと勢いで書いています *予告なくエロを入れてしまいます *地雷を踏んでしまったらごめんなさい… *ストックが無くなったら毎日更新出来ないかもしれないです

婚約破棄されるなり5秒で王子にプロポーズされて溺愛されてます!?

野良猫のらん
BL
侯爵家次男のヴァン・ミストラルは貴族界で出来損ない扱いされている。 なぜならば精霊の国エスプリヒ王国では、貴族は多くの精霊からの加護を得ているのが普通だからだ。 ところが、ヴァンは風の精霊の加護しか持っていない。 とうとうそれを理由にヴァンは婚約破棄されてしまった。 だがその場で王太子ギュスターヴが現れ、なんとヴァンに婚約を申し出たのだった。 なんで!? 初対面なんですけど!?!?

悪役令息物語~呪われた悪役令息は、追放先でスパダリたちに愛欲を注がれる~

トモモト ヨシユキ
BL
魔法を使い魔力が少なくなると発情しちゃう呪いをかけられた僕は、聖者を誘惑した罪で婚約破棄されたうえ辺境へ追放される。 しかし、もと婚約者である王女の企みによって山賊に襲われる。 貞操の危機を救ってくれたのは、若き辺境伯だった。 虚弱体質の呪われた深窓の令息をめぐり対立する聖者と辺境伯。 そこに呪いをかけた邪神も加わり恋の鞘当てが繰り広げられる? エブリスタにも掲載しています。

発禁状態異常と親友と

ミツミチ
BL
どエロい状態異常をかけられた身体を親友におねだりして慰めてもらう話

【完結】国に売られた僕は変態皇帝に育てられ寵妃になった

cyan
BL
陛下が町娘に手を出して生まれたのが僕。後宮で虐げられて生活していた僕は、とうとう他国に売られることになった。 一途なシオンと、皇帝のお話。 ※どんどん変態度が増すので苦手な方はお気を付けください。

処理中です...