60 / 117
5 2人の番
5ー4 失恋
しおりを挟む
5ー4 失恋
「なんですって?」
ラミリアがハトが豆鉄砲を食らったような表情で俺を見ていた。
「私とあなたが結婚!?」
「そうだ」
俺は、真面目な顔をして頷いた。
「俺と君なら、うまくやれるような気がするんだ。もちろん、君は、今まで通りに創作活動をしてくれたらいい。まあ、ただの騎士団員の俺と結婚しても裕福な暮らしはできないかもしれないけど、絶対に君のことを大切にするよ」
ラミリアは、黙って俺の話を聞いていた。そして、申し訳なさげに頭を下げた。
「ごめんなさい」
はい?
俺は、信じられない気持ちでラミリアを見ていた。ラミリアは、ぽぅっと頬を染めて俺に話した。
「実は、出版社の方に結婚を申し込まれて承諾したのよ。来春には、私、その方の妻になるの」
マジか。
がっくりと肩を落とす俺にラミリアは、慌てて告げた。
「結婚とはいっても私が婿をもらうのでリチャードは、今まで通りここで手芸を楽しんでくださったらいいんですのよ。このことは、結婚の条件の一つでもありますから」
俺は、ラミリアにふられたショックでがっくりとなっていた。
ラミリアは、一生懸命に俺を慰めてくれた。
「これからも変わらず遊びにきてくださいませ、リチャード。あなたは、私の特別なお友だちですもの」
それから夕方までラミリアと過ごし、新作小説を読ましてもらったりしたが、まったく頭に入ってこなかった。
ラミリアに結婚を断られたことは、俺にとってそれほどの衝撃だったのだ。
別に、ただの友だちだったし、ラミリアに恋心を抱いていたわけではない。
それでも、立ち直れないほどのショックをうけるぐらいには、俺は、ラミリアのことが好きだった。
俺にとっては、唯一の異性の友人だったし。
それに、彼女は、俺の手芸の趣味をバカにしなかったし。
夕方、兄達の住むタウンハウスに向かいながら俺は、ため息を漏らした。
俺、ふられたんだな。
俺が気がつかない内にラミリアは、ただの友だち以上の存在になっていたんだ。
俺は、ぐすっと鼻をすすった。
「なんですって?」
ラミリアがハトが豆鉄砲を食らったような表情で俺を見ていた。
「私とあなたが結婚!?」
「そうだ」
俺は、真面目な顔をして頷いた。
「俺と君なら、うまくやれるような気がするんだ。もちろん、君は、今まで通りに創作活動をしてくれたらいい。まあ、ただの騎士団員の俺と結婚しても裕福な暮らしはできないかもしれないけど、絶対に君のことを大切にするよ」
ラミリアは、黙って俺の話を聞いていた。そして、申し訳なさげに頭を下げた。
「ごめんなさい」
はい?
俺は、信じられない気持ちでラミリアを見ていた。ラミリアは、ぽぅっと頬を染めて俺に話した。
「実は、出版社の方に結婚を申し込まれて承諾したのよ。来春には、私、その方の妻になるの」
マジか。
がっくりと肩を落とす俺にラミリアは、慌てて告げた。
「結婚とはいっても私が婿をもらうのでリチャードは、今まで通りここで手芸を楽しんでくださったらいいんですのよ。このことは、結婚の条件の一つでもありますから」
俺は、ラミリアにふられたショックでがっくりとなっていた。
ラミリアは、一生懸命に俺を慰めてくれた。
「これからも変わらず遊びにきてくださいませ、リチャード。あなたは、私の特別なお友だちですもの」
それから夕方までラミリアと過ごし、新作小説を読ましてもらったりしたが、まったく頭に入ってこなかった。
ラミリアに結婚を断られたことは、俺にとってそれほどの衝撃だったのだ。
別に、ただの友だちだったし、ラミリアに恋心を抱いていたわけではない。
それでも、立ち直れないほどのショックをうけるぐらいには、俺は、ラミリアのことが好きだった。
俺にとっては、唯一の異性の友人だったし。
それに、彼女は、俺の手芸の趣味をバカにしなかったし。
夕方、兄達の住むタウンハウスに向かいながら俺は、ため息を漏らした。
俺、ふられたんだな。
俺が気がつかない内にラミリアは、ただの友だち以上の存在になっていたんだ。
俺は、ぐすっと鼻をすすった。
425
お気に入りに追加
1,242
あなたにおすすめの小説

【完結】ぎゅって抱っこして
かずえ
BL
幼児教育学科の短大に通う村瀬一太。訳あって普通の高校に通えなかったため、働いて貯めたお金で二年間だけでもと大学に入学してみたが、学費と生活費を稼ぎつつ学校に通うのは、考えていたよりも厳しい……。
でも、頼れる者は誰もいない。
自分で頑張らなきゃ。
本気なら何でもできるはず。
でも、ある日、金持ちの坊っちゃんと心の中で呼んでいた松島晃に苦手なピアノの課題で助けてもらってから、どうにも自分の心がコントロールできなくなって……。

美貌の騎士候補生は、愛する人を快楽漬けにして飼い慣らす〜僕から逃げないで愛させて〜
飛鷹
BL
騎士養成学校に在席しているパスティには秘密がある。
でも、それを誰かに言うつもりはなく、目的を達成したら静かに自国に戻るつもりだった。
しかし美貌の騎士候補生に捕まり、快楽漬けにされ、甘く喘がされてしまう。
秘密を抱えたまま、パスティは幸せになれるのか。
美貌の騎士候補生のカーディアスは何を考えてパスティに付きまとうのか……。
秘密を抱えた二人が幸せになるまでのお話。

見ぃつけた。
茉莉花 香乃
BL
小学生の時、意地悪されて転校した。高校一年生の途中までは穏やかな生活だったのに、全寮制の学校に転入しなければならなくなった。そこで、出会ったのは…
他サイトにも公開しています
精霊の港 飛ばされたリーマン、体格のいい男たちに囲まれる
風見鶏ーKazamidoriー
BL
秋津ミナトは、うだつのあがらないサラリーマン。これといった特徴もなく、体力の衰えを感じてスポーツジムへ通うお年ごろ。
ある日帰り道で奇妙な精霊と出会い、追いかけた先は見たこともない場所。湊(ミナト)の前へ現れたのは黄金色にかがやく瞳をした美しい男だった。ロマス帝国という古代ローマに似た巨大な国が支配する世界で妖精に出会い、帝国の片鱗に触れてさらにはドラゴンまで、サラリーマンだった湊の人生は激変し異なる世界の動乱へ巻きこまれてゆく物語。
※この物語に登場する人物、名、団体、場所はすべてフィクションです。

婚約破棄されるなり5秒で王子にプロポーズされて溺愛されてます!?
野良猫のらん
BL
侯爵家次男のヴァン・ミストラルは貴族界で出来損ない扱いされている。
なぜならば精霊の国エスプリヒ王国では、貴族は多くの精霊からの加護を得ているのが普通だからだ。
ところが、ヴァンは風の精霊の加護しか持っていない。
とうとうそれを理由にヴァンは婚約破棄されてしまった。
だがその場で王太子ギュスターヴが現れ、なんとヴァンに婚約を申し出たのだった。
なんで!? 初対面なんですけど!?!?
完結・オメガバース・虐げられオメガ側妃が敵国に売られたら激甘ボイスのイケメン王から溺愛されました
美咲アリス
BL
虐げられオメガ側妃のシャルルは敵国への貢ぎ物にされた。敵国のアルベルト王は『人間を食べる』という恐ろしい噂があるアルファだ。けれども実際に会ったアルベルト王はものすごいイケメン。しかも「今日からそなたは国宝だ」とシャルルに激甘ボイスで囁いてくる。「もしかして僕は国宝級の『食材』ということ?」シャルルは恐怖に怯えるが、もちろんそれは大きな勘違いで⋯⋯? 虐げられオメガと敵国のイケメン王、ふたりのキュン&ハッピーな異世界恋愛オメガバースです!

【完結】最強公爵様に拾われた孤児、俺
福の島
BL
ゴリゴリに前世の記憶がある少年シオンは戸惑う。
目の前にいる男が、この世界最強の公爵様であり、ましてやシオンを養子にしたいとまで言ったのだから。
でも…まぁ…いっか…ご飯美味しいし、風呂は暖かい…
……あれ…?
…やばい…俺めちゃくちゃ公爵様が好きだ…
前置きが長いですがすぐくっつくのでシリアスのシの字もありません。
1万2000字前後です。
攻めのキャラがブレるし若干変態です。
無表情系クール最強公爵様×のんき転生主人公(無自覚美形)
おまけ完結済み
何も知らない人間兄は、竜弟の執愛に気付かない
てんつぶ
BL
連峰の最も高い山の上、竜人ばかりの住む村。
その村の長である家で長男として育てられたノアだったが、肌の色や顔立ちも、体つきまで周囲とはまるで違い、華奢で儚げだ。自分はひょっとして拾われた子なのではないかと悩んでいたが、それを口に出すことすら躊躇っていた。
弟のコネハはノアを村の長にするべく奮闘しているが、ノアは竜体にもなれないし、人を癒す力しかもっていない。ひ弱な自分はその器ではないというのに、日々プレッシャーだけが重くのしかかる。
むしろ身体も大きく力も強く、雄々しく美しい弟ならば何の問題もなく長になれる。長男である自分さえいなければ……そんな感情が膨らみながらも、村から出たことのないノアは今日も一人山の麓を眺めていた。
だがある日、両親の会話を聞き、ノアは竜人ですらなく人間だった事を知ってしまう。人間の自分が長になれる訳もなく、またなって良いはずもない。周囲の竜人に人間だとバレてしまっては、家族の立場が悪くなる――そう自分に言い訳をして、ノアは村をこっそり飛び出して、人間の国へと旅立った。探さないでください、そう書置きをした、はずなのに。
人間嫌いの弟が、まさか自分を追って人間の国へ来てしまい――
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる