乙女系モブ騎士は、只今絶賛婚活中~子作りを前提にお付き合いを希望しているのになぜか男ばかりに執着されています~

トモモト ヨシユキ

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5 2人の番

5ー4 失恋

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 5ー4 失恋

 「なんですって?」
 ラミリアがハトが豆鉄砲を食らったような表情で俺を見ていた。
 「私とあなたが結婚!?」
 「そうだ」
 俺は、真面目な顔をして頷いた。
 「俺と君なら、うまくやれるような気がするんだ。もちろん、君は、今まで通りに創作活動をしてくれたらいい。まあ、ただの騎士団員の俺と結婚しても裕福な暮らしはできないかもしれないけど、絶対に君のことを大切にするよ」
 ラミリアは、黙って俺の話を聞いていた。そして、申し訳なさげに頭を下げた。
 「ごめんなさい」
 はい?
 俺は、信じられない気持ちでラミリアを見ていた。ラミリアは、ぽぅっと頬を染めて俺に話した。
 「実は、出版社の方に結婚を申し込まれて承諾したのよ。来春には、私、その方の妻になるの」
 マジか。
 がっくりと肩を落とす俺にラミリアは、慌てて告げた。
 「結婚とはいっても私が婿をもらうのでリチャードは、今まで通りここで手芸を楽しんでくださったらいいんですのよ。このことは、結婚の条件の一つでもありますから」
 俺は、ラミリアにふられたショックでがっくりとなっていた。
 ラミリアは、一生懸命に俺を慰めてくれた。
 「これからも変わらず遊びにきてくださいませ、リチャード。あなたは、私の特別なお友だちですもの」
 それから夕方までラミリアと過ごし、新作小説を読ましてもらったりしたが、まったく頭に入ってこなかった。
 ラミリアに結婚を断られたことは、俺にとってそれほどの衝撃だったのだ。
 別に、ただの友だちだったし、ラミリアに恋心を抱いていたわけではない。
 それでも、立ち直れないほどのショックをうけるぐらいには、俺は、ラミリアのことが好きだった。
 俺にとっては、唯一の異性の友人だったし。
 それに、彼女は、俺の手芸の趣味をバカにしなかったし。
 夕方、兄達の住むタウンハウスに向かいながら俺は、ため息を漏らした。
 俺、ふられたんだな。
 俺が気がつかない内にラミリアは、ただの友だち以上の存在になっていたんだ。
 俺は、ぐすっと鼻をすすった。
 
 
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