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3 婚活どころじゃありません!
3ー11 兄
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3ー11 兄
「大丈夫だ」
エドワードが答える。
「観劇は、我が家の専用の席があるから少々不調法であっても問題はない」
エドワードは、俺の座っているそばの椅子に腰かけると今夜、観劇する劇について説明してくれた。
どうやら、王立歌劇団の人気の演目らしかった。
エドワードの説明では、いわゆる悲恋もので、若い男女が家柄やらのために引き裂かれるという物語だった。
「女主人公役の女優が素晴らしいんだ。実は、私の父がパトロンをしていてそのつてで我が家にもよく訪れるんだよ」
そうなんだ。
俺は、なんだか別世界の話だなあ、と思いつつ聞いていた。
俺の家でもばあ様ならこういう話がわかるんだろうけど、俺は、さっぱりわからない。
あまり関心のなさげな俺にエドワードは、うっすらと笑みを浮かべた。
「君は、あまり演劇に詳しくはないようだな、リチャード。君の兄上たちは、観劇もお好きなようだが」
「兄たちが、ですか?」
俺は、ビックリしていた。
下の兄であるクリストファーは、まだしも長兄のロベルトは、どっちかというと硬派な武人として有名であり、観劇などに興味を持つとは思えない。
俺の様子にエドワードの思念が伝わってくる。
『どうやら兄弟中があまりよくないという噂は本当のようだな。同じ王都に住みながら兄たちが住む男爵家のタウンハウスには、あまり足を運んでいないようだし』
いや!
別に没交渉だとはいえ、兄弟仲が悪いというわけではない。
ただ、正妻の子供である2人の兄とは子供の頃からあまり関わってこなかっただけだ。
好きでも嫌いでもない。
まあ、好んで会いたいとも思わないのは確かなんだが。
『このままリチャードとの仲を深めていく上で兄たちとはうまくやりたいものだ。将を射んとすればだからな』
エドワードは、俺にそっけなく告げた。
「もしかすれば君の兄たちも観劇にきているかもしれないよ、リチャード」
「はぁ・・」
俺は、頷いた。
とはいえ、俺が兄たちと出会ったところで何の話も膨らむことはないのだが。
というか、兄たちに会うとしたら何年ぶりになるのか。
お互いに顔もわからないかもしれない。
「大丈夫だ」
エドワードが答える。
「観劇は、我が家の専用の席があるから少々不調法であっても問題はない」
エドワードは、俺の座っているそばの椅子に腰かけると今夜、観劇する劇について説明してくれた。
どうやら、王立歌劇団の人気の演目らしかった。
エドワードの説明では、いわゆる悲恋もので、若い男女が家柄やらのために引き裂かれるという物語だった。
「女主人公役の女優が素晴らしいんだ。実は、私の父がパトロンをしていてそのつてで我が家にもよく訪れるんだよ」
そうなんだ。
俺は、なんだか別世界の話だなあ、と思いつつ聞いていた。
俺の家でもばあ様ならこういう話がわかるんだろうけど、俺は、さっぱりわからない。
あまり関心のなさげな俺にエドワードは、うっすらと笑みを浮かべた。
「君は、あまり演劇に詳しくはないようだな、リチャード。君の兄上たちは、観劇もお好きなようだが」
「兄たちが、ですか?」
俺は、ビックリしていた。
下の兄であるクリストファーは、まだしも長兄のロベルトは、どっちかというと硬派な武人として有名であり、観劇などに興味を持つとは思えない。
俺の様子にエドワードの思念が伝わってくる。
『どうやら兄弟中があまりよくないという噂は本当のようだな。同じ王都に住みながら兄たちが住む男爵家のタウンハウスには、あまり足を運んでいないようだし』
いや!
別に没交渉だとはいえ、兄弟仲が悪いというわけではない。
ただ、正妻の子供である2人の兄とは子供の頃からあまり関わってこなかっただけだ。
好きでも嫌いでもない。
まあ、好んで会いたいとも思わないのは確かなんだが。
『このままリチャードとの仲を深めていく上で兄たちとはうまくやりたいものだ。将を射んとすればだからな』
エドワードは、俺にそっけなく告げた。
「もしかすれば君の兄たちも観劇にきているかもしれないよ、リチャード」
「はぁ・・」
俺は、頷いた。
とはいえ、俺が兄たちと出会ったところで何の話も膨らむことはないのだが。
というか、兄たちに会うとしたら何年ぶりになるのか。
お互いに顔もわからないかもしれない。
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