乙女系モブ騎士は、只今絶賛婚活中~子作りを前提にお付き合いを希望しているのになぜか男ばかりに執着されています~

トモモト ヨシユキ

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2 婚活の邪魔をしないでくれよ!

2ー13 他にもある筈だ!

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 2ー13 他にもある筈だ!

 うつ向いた俺の肩にラミリアがそっと手を置いた。
 「何があったのかは、もう、聞きません」
 俺は、ラミリアを潤んだ目で見上げた。ラミリアは、俺に慈母のごとき微笑みを向ける。
 「聞かずともあなたのその艶めいたお顔が全てを物語っていますから」
 はい?
 俺は、ぎょっとしてラミリアのことを見ていた。ラミリアは、俺のことなど無視して頬を上気させてほうっと吐息をついた。
 「ああっ!なんて素晴らしいのかしら!愛し合う二人が馬車の中でつかの間の会瀬を楽しむ。見つめる瞳と瞳。触れあう手と手。そして、二人は・・・」
 ぼぅっと俺の顔が火を吹きそうなぐらい熱くなって俺は、ラミリアを止めた。
 「ち、違うって!俺とエドワードは、そんな関係じゃ、ないし!」
 「なら、どんな関係ですの?」
 ラミリアがふふっと暖かい眼差しで俺を見つめた。
 「秘められた恋に身を焦がす様は、なんだかとっても・・尊いもの。繋がる手と手。重なる唇。ああっ!堪りませんわ!」
 ラミリアは、んふぅっと鼻息も荒く文机に向かって猛烈な勢いでペンを走らせ始めた。
 俺は、ラミリアの背に手を伸ばしたまま口をはくはくさせていた。
 違う、といっても聞いてはもらえない。
 俺は、伸ばした手を胸元に引き寄せるとぐっと拳を握った。
 俺は、どうすればいいんだ?
 こんなことで悩んでいる暇はないというのに。
 一刻もはやく嫁を見つけてばあ様の前にひ孫をつれていかなくてはいけないというのに。
 頼みのラミリアは、俺の話が耳にも入らない様子だし。
 俺は、ため息をつくと膝の上の作りかけのぬいぐるみの洋服を縫う作業に戻った。
 ふりふりのかわいいフリルを縫い付けながらも、頭の中にはエドワードの美しい横顔が浮かんでくる。
 あの人は、いったい何を考えているのか。
 いや!
 何を考えているのかは、すっごくよくわかってるんだけど!
 その・・なんで、俺、なんだ?
 あんなにもイケメンだし、家柄もよくて女に不自由はしてなさそうなのに。
 なんで俺にキス、なんて。
 気がつくと俺は、作業の手を止めてまた自分の唇に触れていた。
 あの、キス。
 荒々しくって、俺の全てを食らいつくそうとするような、情熱的な口づけだった。
 そして、俺の生まれて始めてのキス。
 いやいやいや!
 そんなわけは、ないだろう!
 落ち着け、俺!
 よく思い出せ!
 他にもキスしたことはある筈だ!
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