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2 婚活の邪魔をしないでくれよ!

2ー10 思念

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 2ー10 思念

 俺は、顔に血が集まってくるのを感じてうつ向いた。
 思い出しちゃ、ダメだ!
 そう思っていても思い出してしまう。
 エドワードの温もり。
 彼の匂い。
 そして。
 『なぜ、そんなつれないことを言うんだ?リチャード。君は、あの夜、あんなにも私の手で登り詰め、何度も精を放ったというのに。それを、あの姿を忘れられるわけが、ない!』
 「忘れろ、と?」
 エドワードが俺の頬を掴んで上を向かせるとその唇を俺の唇へ押し付けた。
 「んぅっ!?」
 『逃がしは、しない!』
 エドワードの舌が俺の唇を割り入り込んでくる。俺は、エドワードから逃れようと彼の胸を両手で叩いた。しかし、彼の手に両手をとらえられてしまう。その間にも、エドワードのキスは、どんどん深まっていく。
 『なぜだ?この私の手であんなにも感じながらそれをなかったことにしようなどと!許さない!二度とそんなことが言えないようにその体に私の記憶を刻んでやる!』
 エドワードの舌に口内をなぶられ、俺は、意識が白濁してきていた。俺は、エドワードの口づけに翻弄されていた。それは、激しく、甘く、俺を責め続けた。
 俺の口の端からはどちらのものともわからない唾液が滴り、俺は、そのまま崩れ落ちそうになってエドワードの胸元にしがみついていた。
 「ん・・くっ・・」
 俺が口の中に溢れる唾液を飲み込むとエドワードがようやく俺の唇を解放した。
 『ああ・・なんということだ・・この口づけは、なんと罪深いのか。リチャードに口づけしたことで彼のことを忘れられなくなったのは私の方だ!私の唾液を飲んだリチャードの陶然とした表情。頬は、薄桃色に染まり、唇は、バラのように赤く染まっている。そして、けなげに私にしがみついてくる様。なんと、愛おしいのか。ああ!リチャード!』
 エドワードは、涙ぐんでいる俺をぎゅっと抱きよせた。耳元でエドワードの息づかいが聞こえて俺は、胸がどくん、と高鳴る。
 「・・なん、で・・」
 俺は、エドワードの力強い腕に抱かれたまま低く呻いた。
 なんで、俺まで、こんなにも気を高ぶらせているんだ?
 エドワードは、ともかく、俺は、彼のことが好きなわけでもなんでもない筈なのに!
 まるで、エドワードの思念が俺の中に染み込んでくるように俺の心を高ぶらせている。
 どういうことなんだ?
 
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