乙女系モブ騎士は、只今絶賛婚活中~子作りを前提にお付き合いを希望しているのになぜか男ばかりに執着されています~

トモモト ヨシユキ

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2 婚活の邪魔をしないでくれよ!

2ー4 離したくない!

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 2ー4 離したくない!

 その夜は、俺たち第3騎士団は、近くの町に宿をとった。
 みな、宿の1階にある酒場に繰り出して任務が完了した祝杯をあげていたが、俺は、一人で部屋で過ごしていた。
 あれは。
 俺は、窓辺にもたれてため息を漏らした。
 あのレイダース騎士団長から伝わってきた思念は何だったんだ?
 あの後、レイダース騎士団長は、俺に後退を命じた。
 「お前のような腑抜けは、後ろに下がっていろ!」
 俺は、厳しく命じる騎士団長の横顔を見上げて戸惑っていた。
 『ああっ!また、だ。俺という奴は!愛おしいリチャードにまた嫌われてしまうじゃないか!俺は、なんで、笑顔でリチャードに接することができないんだ?こんなにも可愛いと思っているのに!』
 土怒涛のように流れ込んでくるその思念は、熱くて俺の胸までも高鳴らせる。
 俺は、思わず顔が熱くなるのを感じていた。
 『どうしたんだ?リチャードの顔が赤い?もしかして何か、魔物の影響を受けているのか?はやく。一刻もはやく、後方にいる治癒師のもとに連れていかなくては!』
 「この軟弱者が!」
 レイダース騎士団長がいきなり俺を抱き上げた。
 俺は、驚きのあまり声もでなかった。
 レイダース騎士団長は、そのまま俺を横抱きにして後方にある陣営へと戻っていく。
 『なんてことだ!羽のように軽い。ああっ!今、俺の腕の中に天使がいる!なんていい匂いなんだ!まるで可憐なスズランのような香りがする。神様、ありがとう!リチャードをこの手に抱けるなんて!』
 俺は、レイダース騎士団長の腕に抱かれたまま呆然として彼の横顔を眺めていた。
 まさか、こんなことが現実のわけがない!
 あの、鬼のレイダース騎士団長がこんなこと考えてるなんて。
 ありえないし!
 レイダース騎士団長は、俺を後方の陣営に連れていくと治癒師を呼んだ。そして、騎士団長は、いぶかっている治癒師に向かって命じた。
 「この軟弱者を手当てしてやれ!済んだらそのまま薬湯でも与えて休ませろ!」
 『リチャードが怪我でもしたら!俺は、どうなるかわからん。どうか、安全な場所でじっとしていてくれ。しかし、リチャードの抱き心地、最高だな!暖かくて、柔らかくて!ほんとに離したくない!』
 
 
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