乙女系モブ騎士は、只今絶賛婚活中～子作りを前提にお付き合いを希望しているのになぜか男ばかりに執着されています～

1 婚活始めました！

1ー13 媚薬

　１ー１３　媚薬

　「しっかりしろ、リチャード！」
　エドワードが俺を軽々と抱き上げると人混みをぬって屋敷の奥へと運んでいく。
　『どうしたというんだ？リチャードは、病気なのか？しかし、さっきまで変わりなかった筈。これは・・もしかして、毒？』
　俺を運んでいきながらエドワードは、考えているようだった。
　『こんなに顔を赤くして・・苦しそうに息を荒げて・・待ってろ、すぐに楽にしてやる』
　エドワードは、俺を屋敷の奥にある客室らしき部屋へと運ぶとベッドの上に横たえた。そして、俺の着ていた上着を脱がせるとズボンを緩める。
　そのとき、一瞬、エドワードの手が止まった。
　『これは？まさか、たってる？リチャードは、欲情している？』
　俺の衣服を緩めていたエドワードが不意に俺の口元へ顔を寄せて俺の呼気の匂いを嗅いだ。
　『甘い・・』
　「これは、媚薬だ」
　エドワードが俺に訊ねた。
　「何か、心当たりはあるか？リチャード」
　俺は、ふるふると首を振った。それを見てエドワードが動きを止める。
　『なんて・・蠱惑的なんだ・・赤く染まった頬。そんなにも呼吸を喘がせて。彼は、感じているのか？いや。彼は、そんな男ではない筈だ。乙女のように可憐だが芯の通った騎士団員なのだ。媚薬を飲んだぐらいで感じたりしていない筈だ。だが・・彼の体は、確かに熱を帯びている？こんなにも高ぶらせて。苦しいだろう。早く、楽にしてやらなくては！』
　真面目な顔をしてエドワードは、俺の股間へと手を伸ばしてくるので俺は、必死に両手でそこをガードする。
　「やっ！やめてくれ！」
　「しかし、このままでは」
　エドワードが俺の両手をひとまとめにして頭上で押さえつけると俺の体を跨いでくる。のし掛かられたときに体に触れられて俺は、びくんっと体を震わせた。
　『感じているのか？』
　エドワードから流れ込んでくる彼の感情の波が俺を混乱させていた。
　彼の思念は、俺の頭の奥をくすぐり、甘く酔わせていく。
　こんなことは、今までなかった。
　女神の祝福なんていっても、ただの第六感的なものでしかなかった筈なのに。
　エドワードの金色の瞳が俺を見下ろしているのを俺は、熱い吐息を漏らしながら潤んだ目で見上げていた。
　「お、願い・・このまま、そっとしといてくれれば、すぐに楽になるから・・」