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1ー9 舞踏会への招待
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1ー9 舞踏会への招待
俺は、その夜、アデレイド公爵家の晩餐に招かれていた。
豪華な黒いつやつやしたテーブルでエドワード・フィン・アデレイドと向かい合って見たこともないような料理を食っていた。料理は、どれもうまかったが、俺は、それどころではなかった。
駄々漏れなのだ。
何がって?
エドワード・フィン・アデレイドの心の声がだ!
確かに俺には、女神の祝福があるが、こんなにはっきりと声が聞こえるのは初めてだった。
しかも。
彼の心の声は、なんというか、その、すごく俺に好意的だった。
「どうしましたか?料理が口に合いませんでしたか?リチャード」
そう呼ばれて俺は、びくっと体を固くした。
すると。
『しまったかな。
いきなり名前呼びは、驚かせたかな?しかし、本当に可愛らしい人だ。女性なら、絶対に側に置きたい。いや、妻にしたいぐらい可愛らしい』
はいっ?
俺の背筋をぞわぞわっと冷たいものが這い上がっていくのを感じた。
いや!
俺は、男だし!
女じゃないし!
「ところでリチャード。君は、最近、見合いをしているそうじゃないか」
「はぁ・・」
俺は、ため息のような声を漏らした。
「何人かのご令嬢とお会いはしていますが、なかなかまとまることもなく」
「そうなのか」
エドワードが、名前呼びされたので俺も心の中では呼び捨てにしているんだが、彼は、ふむ、と俺のことをまじまじと眺めた。
『そうだな。彼のようなタイプだとなかなかお付き合いを望む令嬢はいないかもしれないな。令嬢たちは、騎士団に夢を求めているからな。筋骨隆々とした美しい男というには、リチャードは、可愛らしすぎる。どちらかというと彼の方が令嬢方より可愛らしい』
いやいやいや!
俺は、令嬢方より可愛らしくなんてねぇし!
というか、この人、目が悪いんじゃね?
俺は、普通の男だし!
可愛らしくなんてねぇし!
俺がうつ向いて唇を噛んでいるとエドワードがふふっと低く笑った。
「令嬢というものは、追われると逃げるものですからね。君が追うのをやめれば案外、よってくるかもしれませんよ」
「はぁ・・」
「そうだ!もうすぐ母がダンスパーティーを催すとか言っていましたから、ぜひ、そこに参加されてみては?きっといいお相手が見つかるよ、リチャード」
はぁ?
俺は、信じられなかった。
この俺がアデレイド公爵家の舞踏会に招待されるとか、ありえねぇし!
俺は、その夜、アデレイド公爵家の晩餐に招かれていた。
豪華な黒いつやつやしたテーブルでエドワード・フィン・アデレイドと向かい合って見たこともないような料理を食っていた。料理は、どれもうまかったが、俺は、それどころではなかった。
駄々漏れなのだ。
何がって?
エドワード・フィン・アデレイドの心の声がだ!
確かに俺には、女神の祝福があるが、こんなにはっきりと声が聞こえるのは初めてだった。
しかも。
彼の心の声は、なんというか、その、すごく俺に好意的だった。
「どうしましたか?料理が口に合いませんでしたか?リチャード」
そう呼ばれて俺は、びくっと体を固くした。
すると。
『しまったかな。
いきなり名前呼びは、驚かせたかな?しかし、本当に可愛らしい人だ。女性なら、絶対に側に置きたい。いや、妻にしたいぐらい可愛らしい』
はいっ?
俺の背筋をぞわぞわっと冷たいものが這い上がっていくのを感じた。
いや!
俺は、男だし!
女じゃないし!
「ところでリチャード。君は、最近、見合いをしているそうじゃないか」
「はぁ・・」
俺は、ため息のような声を漏らした。
「何人かのご令嬢とお会いはしていますが、なかなかまとまることもなく」
「そうなのか」
エドワードが、名前呼びされたので俺も心の中では呼び捨てにしているんだが、彼は、ふむ、と俺のことをまじまじと眺めた。
『そうだな。彼のようなタイプだとなかなかお付き合いを望む令嬢はいないかもしれないな。令嬢たちは、騎士団に夢を求めているからな。筋骨隆々とした美しい男というには、リチャードは、可愛らしすぎる。どちらかというと彼の方が令嬢方より可愛らしい』
いやいやいや!
俺は、令嬢方より可愛らしくなんてねぇし!
というか、この人、目が悪いんじゃね?
俺は、普通の男だし!
可愛らしくなんてねぇし!
俺がうつ向いて唇を噛んでいるとエドワードがふふっと低く笑った。
「令嬢というものは、追われると逃げるものですからね。君が追うのをやめれば案外、よってくるかもしれませんよ」
「はぁ・・」
「そうだ!もうすぐ母がダンスパーティーを催すとか言っていましたから、ぜひ、そこに参加されてみては?きっといいお相手が見つかるよ、リチャード」
はぁ?
俺は、信じられなかった。
この俺がアデレイド公爵家の舞踏会に招待されるとか、ありえねぇし!
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