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1 婚活始めました!
1ー7 カイ
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1ー7 カイ
俺は、騎士団の寮への帰路を急いでいた。
結局、ラミリアのもとに引き留められて新作についての感想などを求められる内にすっかり帰りが遅くなってしまった。
俺は、自然と足が速まるのを感じていた。
いくら平和な王都とはいえやはり夜は、暗い。悪い輩の一人や二人はいる。
俺は、騎士団員だし、それなりには、剣の技術も鍛えているし、体術だって普通の貴族よりは励んでいる。だが、しょせんは、その程度。
俺の専門は、弓術であり、俺は、スナイパーなのだ。
つまり、俺は、あまり肉弾戦には、自信がないのだ。
もともと騎士団員とは思えないぐらい小柄だし、体重も軽い。
万が一にも騎士団員がそこら辺のちょっとした犯罪者にのされるようなことがあったら騎士団の恥だ。
俺は、足を速めた。
そのとき。
甲高い悲鳴が聞こえた。
女?
俺は、その声の方へと向き直ると駆け出した。
暗い裏路地へと向かうとそこには、子供の腕を掴んで路地の壁に押し付けている男たちの姿があった。
「お前たち!何をしている!」
俺が鋭い声を浴びせると男たちは、慌てて逃げ出した。
俺は、ちょっと胸を撫で下ろしていた。
ほんと、声を掛けたぐらいで立ち去るような連中が相手でよかった。
もし、こちらに向かってくるような連中なら俺は、やばかったかもしれない。
「大丈夫か?」
俺が駆け寄るとその子供は、ぐすぐすっと泣きながら俺に抱きついてきた。
俺は、しばらくその子の背を撫でてやった。
うん。
そりゃ、怖かっただろうな。
大の男が複数でこんな小さな子に何をしようとしたんだか。
その子は、男の子だったが、きれいな身なりをしていたし、きっとどこかのお屋敷の使用人なのだろう。
子供が落ち着くと俺は、その子の前に屈んで顔を覗き込んだ。
「送っていくよ。君は、どこの子なんだ?」
少年は、カイと名乗った。
どうやらアデレイド公爵家の使用人のようだった。
アデレイド公爵家。
それは、この国に四つある公爵家の筆頭で、この国でもっとも古い血筋を持つ貴族だった。
俺は、子供の手をひき貴族街の中心にあるアデレイド公爵の屋敷を目指して歩きだした。
カイは、俺の手をぎゅっと握りしめて歩いていた。
道々話したことによると、どうやらカイは、アデレイド公爵家に仕えるようになって最初の休暇で裏路地にある実家に帰っていたらしいんだが、母との別れが辛くて家を出るのが遅くなってしまったのだという。
まあ、まだまだ子供だしな。
一人親元を離れて働くのは厳しいだろう。
貴族街でも一際目をひく立派な屋敷であるアデレイド公爵家の使用人用の出入り口の前までカイを見送ると俺は、騎士団の寮へと向かって歩きだした。
俺は、騎士団の寮への帰路を急いでいた。
結局、ラミリアのもとに引き留められて新作についての感想などを求められる内にすっかり帰りが遅くなってしまった。
俺は、自然と足が速まるのを感じていた。
いくら平和な王都とはいえやはり夜は、暗い。悪い輩の一人や二人はいる。
俺は、騎士団員だし、それなりには、剣の技術も鍛えているし、体術だって普通の貴族よりは励んでいる。だが、しょせんは、その程度。
俺の専門は、弓術であり、俺は、スナイパーなのだ。
つまり、俺は、あまり肉弾戦には、自信がないのだ。
もともと騎士団員とは思えないぐらい小柄だし、体重も軽い。
万が一にも騎士団員がそこら辺のちょっとした犯罪者にのされるようなことがあったら騎士団の恥だ。
俺は、足を速めた。
そのとき。
甲高い悲鳴が聞こえた。
女?
俺は、その声の方へと向き直ると駆け出した。
暗い裏路地へと向かうとそこには、子供の腕を掴んで路地の壁に押し付けている男たちの姿があった。
「お前たち!何をしている!」
俺が鋭い声を浴びせると男たちは、慌てて逃げ出した。
俺は、ちょっと胸を撫で下ろしていた。
ほんと、声を掛けたぐらいで立ち去るような連中が相手でよかった。
もし、こちらに向かってくるような連中なら俺は、やばかったかもしれない。
「大丈夫か?」
俺が駆け寄るとその子供は、ぐすぐすっと泣きながら俺に抱きついてきた。
俺は、しばらくその子の背を撫でてやった。
うん。
そりゃ、怖かっただろうな。
大の男が複数でこんな小さな子に何をしようとしたんだか。
その子は、男の子だったが、きれいな身なりをしていたし、きっとどこかのお屋敷の使用人なのだろう。
子供が落ち着くと俺は、その子の前に屈んで顔を覗き込んだ。
「送っていくよ。君は、どこの子なんだ?」
少年は、カイと名乗った。
どうやらアデレイド公爵家の使用人のようだった。
アデレイド公爵家。
それは、この国に四つある公爵家の筆頭で、この国でもっとも古い血筋を持つ貴族だった。
俺は、子供の手をひき貴族街の中心にあるアデレイド公爵の屋敷を目指して歩きだした。
カイは、俺の手をぎゅっと握りしめて歩いていた。
道々話したことによると、どうやらカイは、アデレイド公爵家に仕えるようになって最初の休暇で裏路地にある実家に帰っていたらしいんだが、母との別れが辛くて家を出るのが遅くなってしまったのだという。
まあ、まだまだ子供だしな。
一人親元を離れて働くのは厳しいだろう。
貴族街でも一際目をひく立派な屋敷であるアデレイド公爵家の使用人用の出入り口の前までカイを見送ると俺は、騎士団の寮へと向かって歩きだした。
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