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6 再生と改革
6ー8 魔法
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6ー8 魔法
背後を振り向くとそこには、肉色の触手がいた。
ええっ?
僕は、きょろきょろと辺りを見回した。
「はい、わたしですよ、触手です」
僕は、ぎょっとしてその触手を見た。
心なしかピンクがかった血色のよいその触手は、僕に話しかけてきた。
「わたしは、邪神様の命でレリアス様にお仕えすることになりました触手でございます。どうぞ、お見知りおきを」
「ラクウェル兄上の?」
僕がきくと触手は、こくこくと先端を揺らした。
「今、お困りなのは、国を運営する財政が苦しいということでしたね。それならいい方法があります」
触手が僕に話した。
「まず、この王城にある金目のものを売り払い資金を作ります。そして、それを元手にして隣国のマハラート王国との交易を始めます」
なるほど。
僕は、触手の言葉に頷いた。
確かに、隣国のマハラート王国は、裕福な国だ。
豊かな大地に恵まれたマハラート王国は、この大陸でも屈指の恵まれた、つまり金持ちの国だった。
「でも、何も取引できるようなものが我が国にはないんだけど」
僕が言うと触手が首を振った。
「マハラート王国になくて、このシュテルツ王国にあるものがあるでしょ?」
僕は、思い付かなくて。
考えている僕に触手がちっと舌打ち?をした。
「ほら、あるじゃないですか。あなたの唯一の使い処でしょ?」
僕の使い処?
僕は、わからなくって。
正直に訊ねると触手が呆れたように頭をふりながら答えた。
「だから、魔法ですよ、魔法」
「魔法?」
「マハラート王国には、魔法がないんですよ、レリアス様」
それは、本当だった。
マハラート王国には、魔法がなかった。
というか魔法文化がない。
「でも、だからといって魔法を売るなんてできないだろう?」
僕が言うと触手が答えた。
「優秀な魔道師を派遣すればいいでしょう?その見返りに食料を売ってもらうんです。そうすれば、この冬を乗り越えることができます」
それは、そうだけど。
「魔道師を派遣っていっても、誰が行ってくれる?」
「あなたが行けばいいでしょ?レリアス様」
触手がさらっと言い放つ。
背後を振り向くとそこには、肉色の触手がいた。
ええっ?
僕は、きょろきょろと辺りを見回した。
「はい、わたしですよ、触手です」
僕は、ぎょっとしてその触手を見た。
心なしかピンクがかった血色のよいその触手は、僕に話しかけてきた。
「わたしは、邪神様の命でレリアス様にお仕えすることになりました触手でございます。どうぞ、お見知りおきを」
「ラクウェル兄上の?」
僕がきくと触手は、こくこくと先端を揺らした。
「今、お困りなのは、国を運営する財政が苦しいということでしたね。それならいい方法があります」
触手が僕に話した。
「まず、この王城にある金目のものを売り払い資金を作ります。そして、それを元手にして隣国のマハラート王国との交易を始めます」
なるほど。
僕は、触手の言葉に頷いた。
確かに、隣国のマハラート王国は、裕福な国だ。
豊かな大地に恵まれたマハラート王国は、この大陸でも屈指の恵まれた、つまり金持ちの国だった。
「でも、何も取引できるようなものが我が国にはないんだけど」
僕が言うと触手が首を振った。
「マハラート王国になくて、このシュテルツ王国にあるものがあるでしょ?」
僕は、思い付かなくて。
考えている僕に触手がちっと舌打ち?をした。
「ほら、あるじゃないですか。あなたの唯一の使い処でしょ?」
僕の使い処?
僕は、わからなくって。
正直に訊ねると触手が呆れたように頭をふりながら答えた。
「だから、魔法ですよ、魔法」
「魔法?」
「マハラート王国には、魔法がないんですよ、レリアス様」
それは、本当だった。
マハラート王国には、魔法がなかった。
というか魔法文化がない。
「でも、だからといって魔法を売るなんてできないだろう?」
僕が言うと触手が答えた。
「優秀な魔道師を派遣すればいいでしょう?その見返りに食料を売ってもらうんです。そうすれば、この冬を乗り越えることができます」
それは、そうだけど。
「魔道師を派遣っていっても、誰が行ってくれる?」
「あなたが行けばいいでしょ?レリアス様」
触手がさらっと言い放つ。
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