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9 バサーラ王国からの使者

9ー9 剣術大会

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 9ー9 剣術大会

 こんなことを数日続けていたが、当然、エルム王子の剣術のレベルが剣術大会に出れるレベルに届くことはなかった。
 それは、そうだ。
 もし、2、3日素振りをしただけで剣豪になれたりしたら俺は、もう、悲しくて泣いてしまう。
 なぜなら俺は、今のレベルにまでなるために何百回と死んできたんだからな。
 「今回は、俺は、剣術大会は、棄権する」
 エルム王子がきっぱりと男らしく言ったのを聞いて、みな、ほっと胸を撫で下ろしていた。
 いや、だってね。
 一応、この魔法学園は、将来、このルシナード王国の騎士団に入団する人とか、あるいは、魔法師団に入る人ばっかなわけだよ。
 その剣術大会にずぶの素人が参加したら怪我する未来以外思い付けない。
 だけど、他国の王族であるエルム王子がもし絶対に参加したいとなれば、それを拒否することは、魔法学園側にはできない。
 だから、エルム王子が自ら棄権してくれたことは僥倖なのだ。
 「私たちは、みなさんの応援をさせていただきます!」
 ノルドが満面の笑みで俺とバルトレット王女殿下とアウラ王女殿下を剣術大会へと送り出した。
 この魔法学園の剣術大会は、参加資格は特にない。
 だが、自然と剣術の実技の上位実力者のみが参加希望していた。
 全学年共通での大会なので、上級生の参加が多くなる。
 その中で俺とアウラ王女殿下だけは、一年生だった。
 「お前がオルナムか?」
 剣術大会の参加者の控え室で俺は、上級生たちに声をかけられた。
 彼女らは、俺に興味津々だった。
 「魔族と戦い、一人で倒したというのは本当なのか?」
 「本当だ!」
 なぜか、俺ではなく、バルトレット王女殿下が答えると俺に群がる上級生たちを追い払った。
 「話するぐらいいいじゃないですか、バルトレット王女殿下」
 上級生の一人が恨めしげにバルトレット王女殿下に文句を言うとバルトレット王女殿下がしっしっと手を振りながら応じた。
 「ダメだ!オルナムがお前たちの欲情で汚れる!というか、妊娠されたら困る!」
 誰が?
 俺は、ひきつった笑いを浮かべてバルトレット王女殿下を見つめていた。
 
 
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