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9 バサーラ王国からの使者

9ー7 お買い物

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 9ー7 お買い物

 冬季休暇が近づいてくると学園中がざわついてくる。
 それというのも冬季休暇前には、剣術大会があるからだった。
 「たかが剣術大会でなぜ、そんなに盛り上がっているんだ?」
 エルム王子が俺に訊ねた。
 うん。
 俺、ほんと、この人と距離を置きたいんだけど、なんでかエルム王子は、俺に付きまとってくる。
 しかし、ここで俺が冷たくしたりすればそれを理由に断罪されかねない。
 俺は、笑顔で答えた。
 「それは、この剣術大会で優勝したら願いが叶うことになっているからじゃないかと」
 「なんでも願いが叶えてもらえるのか?」
 エルム王子の目がきらきらと輝く。
 俺は、慌てて付け加えた。
 「なんでも、というわけじゃないです。死んだ人を生き返らすとか、そういうことは無理です。物理的に王家の力で叶えられることであれば、ということです」
 「そうなんだ」
 エルム王子は、俺に笑顔で宣言した。
 「誰でも参加できるんだよね?なら、ぜひ、私も参加したいな」
 「エルム様!」
 ノルドが怖い顔で俺を睨む。
 「エルム様に余計なことを言うな!」
 「オルナムが悪いことなどない。私が聞いたことに答えてくれただけだ」
 エルム王子は、ノルドに告げた。
 「今日は、放課後、武器を探しに行く」
 「しかし、そんなこと我々の判断では」
 うん。
 ノルドが正しい。
 王族は、自由に買い物になんて行けないし。
 ちょっと出掛けるだけでも警備とか大変なんだよ、本当は。
 まあ、アウラ王女殿下とかは、けっこう自由にうろうろしてるけどな。
 そのせいで、いつも護衛の騎士たちは、泣いてるし。
 俺は、エルム王子は、その日外出できないだろうと思っていた。
 だけど。
 蓋を開けたらなせか、俺とアウラ王女殿下とエルム王子は、並んで武器屋街を歩いていた。
 なんで?
 バルトレット王女殿下まで一緒だし。
 というか、護衛の騎士たちが気の毒。
 少し離れたところからこっちをじっと見ているし。
 騎士団も大変だな。
 俺たちは、街に詳しいアウラ王女殿下の案内で買い物をして、帰りには、カフェでお茶を飲んだ。
 もちろん、ロタとノルドも一緒だった。
 
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