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8 恋か、愛か

8ー9 魔法の復興

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 8ー9 魔法の復興

 俺は、人工魔道回路を量産するために王都の魔道具の工房を訪れた。
 アウラ王女殿下が紹介してくれたので腕は間違いない筈だ。
 最初、アウラ王女殿下も同行してくれる予定だったんだが、バサーラ王国に和平のために行っていたバルトレット王女殿下一行が戻ってきたので出掛けることができなくなったのだとか。
 俺は、ロタと一緒にその工房へと向かった。
 王都のかなり下町の方にあるその魔道具工房は、看板も出してないような小さな店だった。
 応対に出てきた女は、小柄でぽっちゃりした抱き心地の良さそうなかわいい女だった。
 「アウラ様から話しはきいてるよ」
 その店主は、ローナと名乗った。
 「貴族のお坊っちゃんがあたしに何を作って欲しいってんだい?」
 俺は、人工魔道回路を取り出して見せた。
 その木製の小さな鞄を見てローナは、目を細めた。
 「これは、いったいなんだい?お坊っちゃん」
 ローナが興味を隠しきれない様子で手をわきわきさせながら俺にきいた。
 「こんなもの、見たこともきいたこともない!」
 「これは、人工魔道回路だ」
 俺は、ローナに説明した。
 「普通の魔法を使えない人間、つまり体内に魔力を通す回路を持たない人間が魔法を使えるようになるための魔道具だ」
 「なんと!」
 ローナがつぶらな瞳を煌めかせて俺を見た。
 「人工的に普通の人を魔法使いにできるってことかい?」
 俺は、頷いた。
 「これを俺は、商品化して売り出したいんだが作れるか?」
 「うーん」
 ローナが木の鞄を開いて中の回路を見ながら俺に答えた。
 「とにかく一つ、複製してみるわ」
 俺は、ローナに人工魔道回路を預けると複製品を作ってもらうことにした。
 「あんた、魔法学園の生徒さんかい?」
 「ああ」
 俺が頷くと、ローナが告げた。
 「あたしの妹が魔法学園に通ってるから複製品ができたら届けさせるよ」
 「お願いします」
 俺は、ローナに頼むとロタと一緒に店を後にした。
 「しかし、魔法使い以外の者が魔法を使えるようになって何かいいことがあるんですか?」
 ロタの質問に俺は、通りの屋台を覗き込みながら答えた。
 「うん、普通の人たちが魔法を使えるようになれば魔法文化が一段と進化するだろう?」
 今、この世界では、魔法は、思ったほど浸透していなのだ。
 使えるものが限られているために、多くの人は、魔法に触れることなく生きている。
 それを俺は、変えたいんだ。
 もっと気楽に魔法を生活に取り入れられたら。
 そうすれば、きっと、この世界の文化レベルも上がるだろうしな。
 
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