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8 恋か、愛か

8ー5 温もり

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 8ー5 温もり

 うん?
 俺は、何か暖かいものに包まれるのを感じていた。
 柔らかくて暖かい。
 俺は、吐息を漏らした。
 心地よい温もりの中で俺は、目覚めた。
 「気がついたのか?オルナム」
 目の前にアウラ王女殿下の顔があった。
 はい?
 俺は、目をぱちくりしながらアウラ王女殿下を見つめていた。
 何?
 どんな状況なんだ?
 俺は、ゆっくりと頭を動かしていく。
 そこは、更衣室だった。
 その床の上に俺とアウラ王女殿下が座り込んでいる。
 というか、床に座り込んだアウラ王女殿下の膝の上に俺が座らされている?
 俺は、アウラ王女殿下の腕の中に抱きすくめられていた。
 はいぃっ?
 俺は、慌ててアウラ王女殿下の腕から逃れようとした。
 だが、体に力が入らない。
 「無理をするな、オルナム」
 アウラ王女殿下が俺を抱いたまま立ち上がる。
 いやっ!
 お姫様だっことか、ありえねぇし!
 「おろして、くださいっ!」
 俺は、抵抗したがアウラ王女殿下は、俺を抱いたまま歩き出した。
 「ど、何処へ行くつもりですか?」
 俺がきくとアウラ王女殿下が答えた。 
 「安心しろ。すぐに保健室に連れていってやる」
 保健室は、この更衣室のすぐ隣の部屋だ。
 俺は、アウラ王女殿下にもう一度言った。
 「おろしてください!歩いて行くから」
 「いいから、じっとしてろ」
 アウラ王女殿下は、更衣室を出ると隣の部屋まで俺を運んで行くとベッドの上に俺を横たわらせた。
 保健室の先生は、アウラ王女殿下に抱かれて俺が運ばれてくるのを口をぽかんと開けて見ていたが、すぐに近づいてきて俺の様子を伺った。
 俺は、シャツ一枚の姿で倒れていたらしくて。
 アウラ王女殿下が倒れている俺を見つけて声をかけたときには、俺の体は、生きているのが信じられないぐらい冷たくなっていたのだとか。
 「だから、しばらく私が抱いて暖めていた」
 マジで?
 俺は、顔が熱くなるのを感じていた。
 アウラ王女殿下も心なしか少し頬を赤らめていた。
 「無事に目覚めてよかった」
 「あ、ありがとうごじます、アウラ王女殿下」
 俺が礼を言うとアウラ王女殿下が照れ臭げに頭をかいた。
 「当然のことをしたまでだ。第一お前は、私の婚約者だしな」
 
   
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