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4 魔法学園の花ですか?(3)

4ー2 賊の狙い

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 4ー2 賊の狙い

 「いや、俺が行こう」
 俺は、ロタを押し止めると立ち上がった。
 バルトレット王女殿下がぎょっとして声をかける。
 「オルナム。お前は、ここにいろ。賊がなんの目的かもわからないのだ。軽率に動くべきではない」
 「だから、俺がいくんですよ?王女殿下は、ここにいてください。ロタ、頼んだぞ」
 「はっ!オルナム様、お気をつけて!」
 俺は、馬車のドアを開けると外に出た。
 馬車の外では、王族を警護している第1騎士団の騎士たちが賊と対峙していた。
 「どうなっている?」
 「はっ!」
 騎士達のリーダーらしい茶髪の若い女が俺をチラッと見た。
 「街道を走っていると前方に馬車が横止めされていて、停車したところ、この連中が」
 「バルトレット王女殿下の馬車とお見受けする」
 黒衣の連中の中から一人前に出てくる。
 他の連中より少し年齢が上のように思われるその女が俺に話しかける。
 「おお、あなたが噂に高い男騎士殿か」
 「だとしたら?」
 俺は、剣を抜くと切っ先をその女の方へと向けた。
 女が口元を歪めた。
 「ずいぶんと勇ましいことですな、男にしておくのが惜しいことだ」
 「お前達、目的は、なんだ?」
 俺は、女に訊ねた。
 こいつらの目的が俺だとは思えない。
 俺は、しょせんは、ただの辺境伯家の三男に過ぎん。
 おそらく、王女殿下の命を狙ってのことだろう。
 だとしたら生かして捕らえなくては。
 女がくっくっと低く笑った。
 「勇ましいのは結構だが、狙った獲物が飛び込んできてくれるとは願ったり叶ったりですな」
 はい?
 俺は、女を睨んだ。
 目的は、俺?
 女がパチンと指を鳴らすと馬車を囲っていた連中がいっせいに俺に飛びかかってきた。
 「殺すな!大事な商品だ」
 俺は、切り結びながら女の声をきいていた。
 商品?
 俺は、賊を斬りながら考えていた。
 騎士たちも俺を守るために戦ってくれたから、勝負は、ほんの一瞬だった。
 仲間達が次々捕らえられていくのを見てリーダー格と思われる女が逃げようとするが、そうは、問屋が卸さない。
 俺は、女の前に回り込むと剣を突きつけた。
 「誰に命じられた?」
 「そ、それは」
 女が口を開こうとした瞬間、どこからか放たれた矢が女の胸を射た。
 「ぐぁっ!」
 「しまった!」
 俺は、矢が飛んできた方向から身を隠すように馬車の影に入った。
 「大丈夫ですか?エルガーナ様」
 騎士のリーダーである茶髪の若い女が駆け寄ってくる。
 「怪我は?」
 「俺は、大丈夫だ」
 俺は、騎士団の面々のことをきいた。
 数名が敵との戦いで傷を負っているとのこと。
 俺は、エリアヒールを発動する。
 だって、一人一人直してる場合じゃないし。
 騎士たちが目を丸くして俺を見て口々に「聖者」とか呟いている。 
 
  
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