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18 人生はさんまの味

18ー9 楽しみにしているがいい

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 18ー9 楽しみにしているがいい

 何をよろしくすればいいわけ?
 わたしが思っているとマックス様が付け加えた。
 「こちらをお前に推挙しようと思ってね」
 推挙?
 ああ。
 わたしは、ぽん、と手を打った。
 そういえばフェブリウス伯爵領の治療院の院長がまだ決まってなかったのだ。
 「そうですか。失礼ですが、まだお若いようですが」
 「若いがメイリー嬢は、優秀な方だ。彼女の家は、代々が王家の侍医をつとめてきた家系だしね。彼女も大公閣下のもとにつかえていたそうだ」
 なるほど。
 わたしは、頷いた。
 「大公閣下の知り合いなら安心して治療院を任せられそうですね」
 わたしが言うとマックス様は、奇妙な表情を浮かべた。
 「治療院の院長は、もう決まっているぞ。タリアだ」
 「ほぇっ!?」
 わたしは、驚いてまた変な声を発してしまった。
 「タリアさんですと?」
 「ああ。彼女ならあそこのことを誰よりもよく理解しているし、人望もある」
 まあ、そうだよな。
 わたしは、うんうん、と頷いた。
 確かにタリアさんなら適任だろう。
 「じゃあ、この人は?」
 「決まっているだろう!お前が探しているときいたからつれてきたんじゃないか!」
 はい?
 わたしは、はっと気がついた。
 「もしかして、医療ギルドのギルド長のこと?」
 「そうだ」
 マジですか?
 わたしは、メイリーさんをじっと見つめた。
 芯の強そうな、少し冷たささえ感じさせる眼差し。
 ここにマックス様と一緒にきたということはもう心は決まっているのだろう。
 家柄的にも申し分ない。
 つまり、文句をいう人が少なくなるよってことね。
 「よろしく、メイリーさん」
 わたしは、メイリーさんに手を差し出した。
 「でも、こんな仕事を引き受けると婚期を逃しちゃうんしゃね?」
 「喜んで」
 メイリーさんは、にっこりと微笑んだ。
 「この国のために働けるなら、一生独身でもかまいませんわ」
 メイリーさんは、マックス様より先に家を出ていった。
 ラーズさんに連絡し、明日にでも浮島ラピュータスへと向かってもらうことしする。
 「大丈夫そうだな、トガー」
 マックス様は、久しぶりに二人きりになるとそっとわたしの頭に手を置いて微笑んだ。
 「学園は、どうだ?」
 「最悪です」
 わたしは、率直に答えた。
 「ガキどもは生意気だし、教師は無能だし」
 「なるほど」
 マックス様は、低く笑った。
 「それは、大変そうだな。ところでトガー」
 「はい?」
 「来週の週末は、あけておいてくれ。一緒に訪れたい場所がある」
 「どこです?」
 わたしの問いにマックス様は、にやっと笑った。
 「楽しみにしているがいい」
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