上 下
204 / 230
18 人生はさんまの味

18ー8 謎の女

しおりを挟む
 18ー8 謎の女

 こうしてわたしとシーラさんの契約が結ばれた。
 「私は、トガーが真の聖女であることを秘密にするし、もしもばれそうになったらばれなラさんがわたしの手をとった。
 「必ず、私たちでこの国が1000年続く王国になるようにしましょう!」
 1000年って。
 長いですよ?
 そう、わたしが言うとシーラさんは笑った。
 「エルフは寿命が長いのよ」

 それから3ヶ月があっという間に過ぎていった。
 わたしとシーラさんは、学園の仕事をしながら週末や空いた時間で、王国の各地を巡って医療の現場の調査やら、母子の出産時死亡率やらを調べていた。
 それでわかったんだが、この世界は、産婦人科がないんだな。
 というか内科も外科もないし。
 全てが同じ医者の担当になるわけだった。
 これは、あまりよろしくないんじゃね?
 あと、全ての医者が個人経営者であるにも関わらず、彼らのための組合とかもないし。
 わたしは、医療ギルドを創設することにした。
 全ての医療関係者のためのギルドを創る!
 ラーズさんと相談して浮島ラピュータスにその本部を置くことにした。
 ただ、問題があった。
 ギルド長に相応しい人物がなかなかみつからないことだ、
 そういっていたら、マックス様がわたしに連絡してきた。
 『会わせたい人物がいる』ですと。
 わたしは、学園の近くに借りている一軒家にマックス様を招くことにした。
 久しぶりに会うのだし、いろいろと話したいこともある。
 だがマックス様は、一人ではなかった。
 なんと、見たことのない女性と一緒だった。
 誰ですのん?
 わたしは、ききたくってききたくってそわそわしていた。
 いや。
 ライザのためにも、ね。
 マックス様の女性関係には目を光らせておかなくては!
 わたしは、二人を招き入れるとリビングへと通してお茶をすすめた。
 わたしは、ラーズさんからのすすめもあったのだが、メイドさんを置くことはなかった。
 だって、庶民ですもの。
 堅苦しいのも、気を使うのも嫌だし。
 テーブルにお茶の入ったカップを置く。
 マックス様のつれてきた女性は、にっこりと笑って頭をさげた。
 「ありがとうございます、トガー様」
 丸い黒縁のメガネをかけているハニーブロンドの若くて美しい人だった。
 もしかして、マックス様、再婚しちゃうのかな?
 なぜか、わたしは、胸が痛むのを感じていた。
 うん?
 もしかして心臓が悪いのかな?
 なんか胸が痛いし。
 最無理してたからかな?
 まずは自分の体からだよね!
 「トガー?」
 「ひゃいっ!?」
 急にマックス様に名前を呼ばれてわたしは、びびくっとなった。
 「な、なんですか?マックス様」
 「こちらのご婦人は、メイリー・シュナイツ。医者をしておられる」
 マックス様に紹介されてメイリーさんがペコリンとお辞儀した。
 「よろしくお願いいたします。トガー様」
 
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

召喚から外れたら、もふもふになりました?

みん
恋愛
私の名前は望月杏子。家が隣だと言う事で幼馴染みの梶原陽真とは腐れ縁で、高校も同じ。しかも、モテる。そんな陽真と仲が良い?と言うだけで目をつけられた私。 今日も女子達に嫌味を言われながら一緒に帰る事に。 すると、帰り道の途中で、私達の足下が光り出し、慌てる陽真に名前を呼ばれたが、間に居た子に突き飛ばされて─。 気が付いたら、1人、どこかの森の中に居た。しかも──もふもふになっていた!? 他視点による話もあります。 ❋今作品も、ゆるふわ設定となっております。独自の設定もあります。 メンタルも豆腐並みなので、軽い気持ちで読んで下さい❋

聖女を騙った少女は、二度目の生を自由に生きる

夕立悠理
恋愛
 ある日、聖女として異世界に召喚された美香。その国は、魔物と戦っているらしく、兵士たちを励まして欲しいと頼まれた。しかし、徐々に戦況もよくなってきたところで、魔法の力をもった本物の『聖女』様が現れてしまい、美香は、聖女を騙った罪で、処刑される。  しかし、ギロチンの刃が落とされた瞬間、時間が巻き戻り、美香が召喚された時に戻り、美香は二度目の生を得る。美香は今度は魔物の元へ行き、自由に生きることにすると、かつては敵だったはずの魔王に溺愛される。  しかし、なぜか、美香を見捨てたはずの護衛も執着してきて――。 ※小説家になろう様にも投稿しています ※感想をいただけると、とても嬉しいです ※著作権は放棄してません

召喚聖女に嫌われた召喚娘

ざっく
恋愛
闇に引きずり込まれてやってきた異世界。しかし、一緒に来た見覚えのない女の子が聖女だと言われ、亜優は放置される。それに文句を言えば、聖女に悲しげにされて、その場の全員に嫌われてしまう。 どうにか、仕事を探し出したものの、聖女に嫌われた娘として、亜優は魔物が闊歩するという森に捨てられてしまった。そこで出会った人に助けられて、亜優は安全な場所に帰る。

追放聖女。自由気ままに生きていく ~聖魔法?そんなの知らないのです!~

夕姫
ファンタジー
「アリーゼ=ホーリーロック。お前をカトリーナ教会の聖女の任務から破門にする。話しは以上だ。荷物をまとめてここから立ち去れこの「異端の魔女」が!」 カトリーナ教会の聖女として在籍していたアリーゼは聖女の証である「聖痕」と言う身体のどこかに刻まれている痣がなくなり、聖魔法が使えなくなってしまう。 それを同じカトリーナ教会の聖女マルセナにオイゲン大司教に密告されることで、「異端の魔女」扱いを受け教会から破門にされてしまった。そう聖魔法が使えない聖女など「いらん」と。 でもアリーゼはめげなかった。逆にそんな小さな教会の聖女ではなく、逆に世界を旅して世界の聖女になればいいのだと。そして自分を追い出したこと後悔させてやる。聖魔法?そんなの知らないのです!と。 そんなアリーゼは誰よりも「本」で培った知識が豊富だった。自分の意識の中に「世界書庫」と呼ばれる今まで読んだ本の内容を記憶する能力があり、その知識を生かし、時には人類の叡知と呼ばれる崇高な知識、熟練冒険者のようなサバイバル知識、子供が知っているような知識、そして間違った知識など……旅先の人々を助けながら冒険をしていく。そうこれは世界中の人々を助ける存在の『聖女』になるための物語。 ※追放物なので多少『ざまぁ』要素はありますが、W主人公なのでタグはありません。 ※基本はアリーゼ様のほのぼの旅がメインです。 ※追放側のマルセナsideもよろしくです。

冷宮の人形姫

りーさん
ファンタジー
冷宮に閉じ込められて育てられた姫がいた。父親である皇帝には関心を持たれず、少しの使用人と母親と共に育ってきた。 幼少の頃からの虐待により、感情を表に出せなくなった姫は、5歳になった時に母親が亡くなった。そんな時、皇帝が姫を迎えに来た。 ※すみません、完全にファンタジーになりそうなので、ファンタジーにしますね。 ※皇帝のミドルネームを、イント→レントに変えます。(第一皇妃のミドルネームと被りそうなので) そして、レンド→レクトに変えます。(皇帝のミドルネームと似てしまうため)変わってないよというところがあれば教えてください。

似非聖女呼ばわりされたのでスローライフ満喫しながら引き篭もります

秋月乃衣
恋愛
侯爵令嬢オリヴィアは聖女として今まで16年間生きてきたのにも関わらず、婚約者である王子から「お前は聖女ではない」と言われた挙句、婚約破棄をされてしまった。 そして、その瞬間オリヴィアの背中には何故か純白の羽が出現し、オリヴィアは泣き叫んだ。 「私、仰向け派なのに!これからどうやって寝たらいいの!?」 聖女じゃないみたいだし、婚約破棄されたし、何より羽が邪魔なので王都の外れでスローライフ始めます。

【完結】捨て去られた王妃は王宮で働く

ここ
ファンタジー
たしかに私は王妃になった。 5歳の頃に婚約が決まり、逃げようがなかった。完全なる政略結婚。 夫である国王陛下は、ハーレムで浮かれている。政務は王妃が行っていいらしい。私は仕事は得意だ。家臣たちが追いつけないほど、理解が早く、正確らしい。家臣たちは、王妃がいないと困るようになった。何とかしなければ…

《勘違い》で婚約破棄された令嬢は失意のうちに自殺しました。

友坂 悠
ファンタジー
「婚約を考え直そう」 貴族院の卒業パーティーの会場で、婚約者フリードよりそう告げられたエルザ。 「それは、婚約を破棄されるとそういうことなのでしょうか?」 耳を疑いそう聞き返すも、 「君も、その方が良いのだろう?」 苦虫を噛み潰すように、そう吐き出すフリードに。 全てに絶望し、失意のうちに自死を選ぶエルザ。 絶景と評判の観光地でありながら、自殺の名所としても知られる断崖絶壁から飛び降りた彼女。 だったのですが。

処理中です...