聖女なんかじゃありません！～異世界で介護始めたらなぜか伯爵様に愛でられてます～

17 王都で先生になりました。

17ー11 少子高齢化ですか？

　17ー11　少子高齢化ですか？

　「トガー先生に挨拶をしにきたんだが。そんな驚かなくっても」
　学園長が苦笑した。
　「トガー先生、はじめまして、フィリップ・デム・ジーニアス公爵です」
　「はじめまして、ジーニアス公爵。トガー　アリサです」
　「いつもライザとマックスが世話になっていてありがとう、トガー」
　はい？
　わたしがぱちくりしているとフィリップさんがにっこりと微笑んだ。
　「わたしは、ライザの祖父だよ」
　「祖父？」
　わたしは、じっとフィリップさんのことを見つめていた。
　そう言われてみれば、どことなくライザに似てるかな？
　「ライザは、父親似でね。母親のマリアナは、あまり似てないんだよ」
　いつの間にか手にお茶の入ったカップを持って職員室の中のソファに陣取ったフィリップさんは、くつろいだ様子で話し始めた。
　「あの子が、ライザが母親の死後にフェブリウス伯爵の屋敷の人々とうまくいってないことは、薄々知っていたんだが、他家のことだからな。私も妻も下手に手が出せなかった。何よりあの子の気持ちを動かすことはできなかった。あの子は、父親に見捨てられたと思い、自分から家人たちと関わりを失くそうとしていたところがあったからね」
　「でも、今じゃ、立派な中等部のリーダーですもの。えらいものですわね、学園長！」
　シーラさんがモミテしながら話すのをニコニコしながら見ていたフィリップさんがシーラさんに告げた。
　「そうそう。シーラ先生の出していた研究の件ですが、あれは却下でお願いします」
　「なんで？」
　「なんでって、ここは若者の学舎ですから。生殖についての研究なんて許可しかねますよ」
　「しかし、このままいけばエルフは、ほとんど子供ができなくなって、いずれは滅んでしまいます！」
　「だからといって生殖行為についての研究なんて認めるわけにはいかないでしょう？」
　フィリップさんが笑いながら答えると、シーラさんは、ぎりぎりと歯軋りした。
　「少子高齢化は、いずれ、人間社会にも起こるかもしれないんですよ！学園長！」