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16 メメント・モリ
16ー5 私は、もう長くはない。
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16ー5 私は、もう長くはない。
そのままわたしたちは、食卓についた。
小さなテーブルにところせましと皿が並べられている。
いや。
久しぶりに作ったらついつい作りすぎてしまった。
「すごいごちそうだな」
ライナス先生が嬉しげに微笑んだ。
わたしは、あわあわして応じた。
「そんなこと、ないし!」
ほんと。
最初は、ライナス先生の好きな和風パスタとシーザーサラダだけの予定だった。
それが、気がついたら煮込んだ肉やら、なんやらいろいろ作っていた。
ちっ!
わたしとしたことが。
乙女な脳に蝕まれているな!
ライナス先生は、どれも美味しそうに食べてくれたが、それでも半分も食べることなく食事を終えた。
心持ち顔色が悪い?
どうしたのか。
「大丈夫?」
わたしは、思いきってきいてしまう。
それが、呼び水になってしまうのではないかと思いつつ。
ライナス先生が重い口を開きかける。
わたしは、衝撃に身構えていた。
こんな年増の生意気な自己中女、愛想つかされたって仕方ないし!
きっと、婚約破棄されるんだろうな。
「トガー、話があるんだ」
食事もそこそこに食卓を片付けたわたしにライナス先生が真剣な表情で告げた。
来る!
これは来ますよ!
婚約破棄が!
でも。
わたしは、思っていた。
こんなわたしがイケメンライナス先生の婚約者になれただけでも幸運だし!
いい夢見せてもらったよ!
じっと身構えてライナス先生の言葉を待つわたしにライナス先生は言った。
「別れよう」
「はいぃっ?」
わたしは、一応ライナス先生に訊ねた。
「きいてもいいかな?他のみんなに説明するのに必要かもだから。理由をきいてもいいかな?」
「理由か?」
ライナス先生がため息をつく。
「理由は」
わたしは、体を固くして待った。
どんなに罵られても仕方がないな。
だけど。
ライナス先生は、静かに告げた。
「私は、結婚できない体なんだよ、トガー」
はい?
ライナス先生は、淡々と続けた。
「私は、もう長くはない」
ええっ?
わたしは、意味がわからなかった。
長くないって?
なんのことですっけ?
そのままわたしたちは、食卓についた。
小さなテーブルにところせましと皿が並べられている。
いや。
久しぶりに作ったらついつい作りすぎてしまった。
「すごいごちそうだな」
ライナス先生が嬉しげに微笑んだ。
わたしは、あわあわして応じた。
「そんなこと、ないし!」
ほんと。
最初は、ライナス先生の好きな和風パスタとシーザーサラダだけの予定だった。
それが、気がついたら煮込んだ肉やら、なんやらいろいろ作っていた。
ちっ!
わたしとしたことが。
乙女な脳に蝕まれているな!
ライナス先生は、どれも美味しそうに食べてくれたが、それでも半分も食べることなく食事を終えた。
心持ち顔色が悪い?
どうしたのか。
「大丈夫?」
わたしは、思いきってきいてしまう。
それが、呼び水になってしまうのではないかと思いつつ。
ライナス先生が重い口を開きかける。
わたしは、衝撃に身構えていた。
こんな年増の生意気な自己中女、愛想つかされたって仕方ないし!
きっと、婚約破棄されるんだろうな。
「トガー、話があるんだ」
食事もそこそこに食卓を片付けたわたしにライナス先生が真剣な表情で告げた。
来る!
これは来ますよ!
婚約破棄が!
でも。
わたしは、思っていた。
こんなわたしがイケメンライナス先生の婚約者になれただけでも幸運だし!
いい夢見せてもらったよ!
じっと身構えてライナス先生の言葉を待つわたしにライナス先生は言った。
「別れよう」
「はいぃっ?」
わたしは、一応ライナス先生に訊ねた。
「きいてもいいかな?他のみんなに説明するのに必要かもだから。理由をきいてもいいかな?」
「理由か?」
ライナス先生がため息をつく。
「理由は」
わたしは、体を固くして待った。
どんなに罵られても仕方がないな。
だけど。
ライナス先生は、静かに告げた。
「私は、結婚できない体なんだよ、トガー」
はい?
ライナス先生は、淡々と続けた。
「私は、もう長くはない」
ええっ?
わたしは、意味がわからなかった。
長くないって?
なんのことですっけ?
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