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14 忘却と罪
14ー10 エルフのために
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14ー10 エルフのために
もちろん見捨てることなく周囲のみんなの力をあわせて共にゴールを目指すという方法だってある。
それは、かなり難しいけどな。
変わっていく患者を見ているのが家族である以上は、日々を送る、ただそれだけで家族の心を苦しめることにもなる。
実の家族を忘れていくのだ。
母親や父親から、忘れられる。
それだけじゃない。
酷く罵られたりすることだってある。
この病は、わかっていても家族の心を、関係を綻ばせていく。
たぶん、大公閣下のような金持ちなら24時間自分たちの家でレイアさんを世話していくことも可能だろう。
だけど、わたしは、それをやるべきではないと思っている。
家族だからこそ。
愛情があるからこそ苦しむことも、悲しむこともあるのだ。
あかの他人の方がずっとまし。
何も思うことなく介護ができる。
家族がするべきことはただ一つだけ。
少しだけ離れた場所から余裕を持って見守り、そして、ほんとの愛情や優しさを注ぐこと。
「では、トガー殿、あなたは、治療院のような場所を用意してレイアやその一族のような人々をそこに集めて世話するというのか?」
わたしは頷く。
「そうです。そうするのが一番、いい」
問題は、どこに彼らを収容するための施設を作るか。
そして、そのために必要な資金と人材をあつめること。
わたしは、一つの計画を持っていた。
エルフの窮状を救うためのプランだ。
「もちろん、私のできることは全てさせてもらう。協力は惜しまない」
大公閣下は、わたしに約束した。
「私は、絶対に家族を守りたい。そのためならどんなことでもしてみせる」
わたしは、すぐにラーズさんと連絡をとった。
それから。
パーティーからライナス先生とご主人様に守られて笑顔でレイアさんが戻ってくるのを大公閣下と二人で出迎えた。
「あら、何?二人揃って」
レイアさんは、くすくすと笑った。
「何か、隠し事?」
「いえ、少しだけ、相談したいことがあったので大公閣下にきいてもらっていたんです」
「トガー様がロドニーに相談したいこと?」
レイアさんが怪しむように訊ねた。
「それは、どんなことかしら?」
「それは」
わたしは、低い声で告げた。
「エルフの未来のために我々に何ができるか、です」
「エルフの?」
レイアさんがはっとした表情を浮かべた。
「私は・・・そうなの?ロドニー?」
「大丈夫だ、レイア」
大公閣下は、優しくレイアさんを抱き寄せた。
「私達は、お前を『天国』に捨てたりはしない」
「あなた・・・」
レイアさんが涙ぐんだ。
わたしたちは、そっと部屋から去った。
もちろん見捨てることなく周囲のみんなの力をあわせて共にゴールを目指すという方法だってある。
それは、かなり難しいけどな。
変わっていく患者を見ているのが家族である以上は、日々を送る、ただそれだけで家族の心を苦しめることにもなる。
実の家族を忘れていくのだ。
母親や父親から、忘れられる。
それだけじゃない。
酷く罵られたりすることだってある。
この病は、わかっていても家族の心を、関係を綻ばせていく。
たぶん、大公閣下のような金持ちなら24時間自分たちの家でレイアさんを世話していくことも可能だろう。
だけど、わたしは、それをやるべきではないと思っている。
家族だからこそ。
愛情があるからこそ苦しむことも、悲しむこともあるのだ。
あかの他人の方がずっとまし。
何も思うことなく介護ができる。
家族がするべきことはただ一つだけ。
少しだけ離れた場所から余裕を持って見守り、そして、ほんとの愛情や優しさを注ぐこと。
「では、トガー殿、あなたは、治療院のような場所を用意してレイアやその一族のような人々をそこに集めて世話するというのか?」
わたしは頷く。
「そうです。そうするのが一番、いい」
問題は、どこに彼らを収容するための施設を作るか。
そして、そのために必要な資金と人材をあつめること。
わたしは、一つの計画を持っていた。
エルフの窮状を救うためのプランだ。
「もちろん、私のできることは全てさせてもらう。協力は惜しまない」
大公閣下は、わたしに約束した。
「私は、絶対に家族を守りたい。そのためならどんなことでもしてみせる」
わたしは、すぐにラーズさんと連絡をとった。
それから。
パーティーからライナス先生とご主人様に守られて笑顔でレイアさんが戻ってくるのを大公閣下と二人で出迎えた。
「あら、何?二人揃って」
レイアさんは、くすくすと笑った。
「何か、隠し事?」
「いえ、少しだけ、相談したいことがあったので大公閣下にきいてもらっていたんです」
「トガー様がロドニーに相談したいこと?」
レイアさんが怪しむように訊ねた。
「それは、どんなことかしら?」
「それは」
わたしは、低い声で告げた。
「エルフの未来のために我々に何ができるか、です」
「エルフの?」
レイアさんがはっとした表情を浮かべた。
「私は・・・そうなの?ロドニー?」
「大丈夫だ、レイア」
大公閣下は、優しくレイアさんを抱き寄せた。
「私達は、お前を『天国』に捨てたりはしない」
「あなた・・・」
レイアさんが涙ぐんだ。
わたしたちは、そっと部屋から去った。
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