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14 忘却と罪

14ー5 アルツハイマー型認知症

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 14ー5 アルツハイマー型認知症

 わたしは、精霊さんの力を借りることにした。
 『精霊さん、レイアさんの病を分析して教えてください。お願いしますぅ!』
 すると、ぴっかーんと輝くリングがレイアさんの頭上に現れたかと思うと、ゆっくりとレイアさんの体を包み込んでいった。
 幸いにも精霊が見えるものはいないようだ。
 誰も、レイアさんの身に何が起こっているのかも気づいてはいないようだった。
 わたしは、じっとレイアさんの体をスキャンしているらしい精霊さんのことを見守っていた。
 光は、数分で消えた。
 『肉体の健康状態は、問題ありません。ただし、脳の一部に萎縮が見られます』
 どこからか声が聞こえた。
 うん。
 わたしは、こくりと頷いた。
 レイアさんは、たぶん、アルツハイマー型認知症だ。
 アルツハイマー型認知症とは、もとの世界でいうところの三大認知症の内の一つで最大の患者数を占めるものだった。
 脳の一部が縮んでいくことによって物忘れなどがおこる病気だ。
 原因は、まだ完全には解明されていないが脳になんらかのたんぱく質がたまることで発症するとも言われている。
 やはりこれがエルフの人々を苦しめている奇病なのか?
 わたしは、レイアさんから付かず離れず彼女の様子をうかがっていた。
 だが、人々と接しているレイアさんには普段と違うところなどなさげだった。
 やっぱり何かの誤解じゃね?
 そうわたしが思っていた時、頭上からルゥの声が聞こえた。
 『違うよ、トガー。これは、まさしくエルフの奇病ってやつだよ』
 マジか?
 わたしは、きっとルゥの方を睨み付けた。
 ルゥは、わたしに語った。
 『この病は、一度発症するともうもとには戻らない。この人は、もう、もとには戻らないよ、トガー』
 「じゃあ、どうしたらいいっていうんだよ?」
 わたしは、小声で呟いた。
 レイアさんには、家族がいる。
 タリアさんは、フェブリウス領にある治療院でリハビリ中だけど、こっちに呼び戻すべきなのかな?
 だけど、レイアさんの状態によっては、新しい肉体を手に入れたタリアさんを受け入れることができない可能性もある。
 
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